日本語には、名前に「色」が入っていたり「色」にまつわる表現がたくさんあります。ことわざ、慣用句、四字熟語など、それぞれの「色」が持つイメージと結びつき、様々な状況や感情を豊かに表現しています。
今回は、日常会話でも使いやすい「色」に関係する言葉を、その種類ごとに分類してご紹介します。

「色」に関することわざ
(ことわざ:主に教訓や風刺を含む、古くから言い伝えられてきた短い句)
- 青菜に塩(あおなにしお):
急に元気がなくなり、しょんぼりする様子のたとえ。 - 紺屋の白袴(こうやのしろばかま):
他人のことにばかり忙しく、自分のことがおろそかになることのたとえ。 - 隣の芝生は青い(となりのしばふはあおい):
他人のものは何でもよく見えてしまうことのたとえ。(※「青い」は緑色の意)
「色」に関する慣用句
(慣用句:二つ以上の語が結びついて、元の語の意味とは異なる特定の意味を表す言い回し)
- 赤恥をかく(あかはじをかく):
人前でひどく恥ずかしい思いをすること。 - 頬を染める(ほほをそめる):
恥ずかしさや照れなどで顔を赤らめる様子。 - 真っ赤な嘘(まっかなうそ):
誰が見てもわかるような、全くのでたらめ。 - 白い目で見る(しろいめでみる):
冷淡な、あるいは非難するような視線を送ること。 - 白羽の矢が立つ(しらはのやがたつ):
多くの中から犠牲者や特定の役割に選び出されること。(※神話・伝説に由来) - 白を切る(しらをきる):
本当は知っているのに、知らないふりをすること。とぼけること。 - 鼻白む(はなじろむ):
場の雰囲気が壊れたり、がっかりしたりして興ざめする様子。 - 黄色い声(きいろいこえ):
女性や子供などが興奮して出す、甲高い声援や歓声。 - 血相を変える(けっそうをかえる):
怒りや興奮、恐怖などで顔色が一変する様子。 - 顔色無し(かおいろなし):
相手の勢いや力量に圧倒され、元気をなくすこと。顔面蒼白になる様子。 - 顔色を失う(かおいろをうしなう):
驚きや恐怖で、顔から血の気が引いて青ざめること。 - 顔色を窺う(かおいろをうかがう):
相手の機嫌や意向を知ろうとして、表情や様子を注意深く見ること。 - 色を正す(いろをただす):
表情を引き締め、真面目な顔つきになること。改まった態度をとること。 - 目の色を変える(めのいろをかえる):
怒ったり、何かに熱中したりして、普段と違う真剣な目つきになること。 - 色眼鏡で見る(いろめがねでみる):
偏見や先入観にとらわれて、物事を客観的に見ないこと。 - 黒白をつける(こくびゃくをつける):
物事の是非、善悪、真偽などをはっきりと決めること。 - 腹黒い(はらぐろい):
心の中に悪だくみを隠し持っていること。陰険で意地が悪いさま。 - 緑の黒髪(みどりのくろかみ):
若々しく艶やかで豊かな黒髪のこと。(※「緑」は新芽のような生命力を表す)
「色」に関する四字熟語
(四字熟語:漢字四字で構成され、ある特定の意味や状況を表す熟語)
- 青息吐息(あおいきといき):
非常に困窮したり、苦しかったりするときの深いため息。また、そのためいきの出るような状態。 - 十人十色(じゅうにんといろ):
考え方、好み、性格などが、人それぞれに異なること。 - 顔面蒼白(がんめんそうはく):
驚きや恐怖、または病気などで、顔が真っ青になっている様子。 - 千紫万紅(せんしばんこう):
- 様々な色の花が色とりどりに咲き乱れる様子。転じて、種類が非常に多く、彩り豊かなこと。
「色」を使ったその他の表現
(その他の表現:上記以外の色を用いた一般的な語句、比喩表現、美称など)
- 青二才(あおにさい):
年齢が若く、経験の足りない未熟な男性を嘲っていう語。 - 赤い糸(あかいと):
結婚する運命にある男女の小指同士を結んでいるとされる、目に見えない伝説の糸。 - 紅一点(こういってん):
多くの男性の中に一人だけいる女性のこと。転じて、多くのものの中で一つだけ異彩を放つ存在。(※王安石の詩に由来) - 黄金色(こがねいろ):
山吹色。豊かに実った稲穂の色など、豊かさや価値の高さを象徴する色。 - 色恋沙汰(いろこいざた):
男女間の恋愛に関するもめごとや事件。 - 色男(いろおとこ):
女性に人気のある、魅力的な男性。美男子。 - 色女(いろおんな):
- 男心を惹きつける魅力的な女性。
- バラ色の人生(ばらいろのじんせい):
希望に満ち、幸福で輝かしい人生の比喩。 - 灰色の青春(はいいろのせいしゅん):
喜びや楽しみがなく、暗く単調な青春時代の比喩。 - 漆黒の闇(しっこくのやみ):
光が全くない、本当の真っ暗闇。 - 銀世界(ぎんせかい):
雪が一面に降り積もり、白一色になった美しい景色。 - 玉虫色(たまむしいろ):
光の加減で色が変わる玉虫のように、どちらとも解釈できる、あいまいではっきりしない態度や表現。
まとめ
「色」を使ったことわざ・慣用句・四字熟語、そして様々な表現は、日本語の奥深さや日本人の感性を映し出していますね。
これらの言葉を分類ごとに理解し、会話や文章に取り入れることで、表現がより豊かになり、コミュニケーションに彩りが生まれるでしょう。
日本語の持つ豊かな表現力を楽しみながら、ぜひ日々の暮らしの中で活用してみてください。
コメント