釣った魚に餌はやらない

ことわざ
釣った魚に餌はやらない(つったさかなにえさはやらぬ)

13文字の言葉つ・づ」から始まる言葉
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恋愛や人間関係において、相手の態度が変わってしまい、がっかりした経験はありませんか。
「釣った魚に餌はやらない」ということわざは、まさにそのような状況を表す言葉としてよく耳にします。

この少し皮肉な響きを持つことわざの意味や由来、使い方について、分かりやすく解説します。

「釣った魚に餌はやらない」の意味と教訓

このことわざは「一度手に入れたものや、自分のものになった相手に対しては、それ以上関心を払ったり、手間やお金をかけたりしなくなる」という意味です。

文字通り、釣り上げて自分のものになった魚には、もう餌を与える必要がないという状況に例えられています。

主に、恋愛関係で相手を手に入れた途端に態度が冷たくなることを揶揄する際に使われますが、広く人間関係やビジネスシーンなどでも、目的を達成した後に扱いがぞんざいになる様子を指して用いられます。
関係性を維持することの難しさや、人の心の変わりやすさを示す教訓とも言えるでしょう。

「釣った魚に餌はやらない」の語源 – 比喩的な表現

このことわざの語源は、文字通り「釣り上げた魚には、もう餌をやる必要がない」という状況そのものです。

魚を釣るためには餌が必要不可欠ですが、一度釣り上げてしまえば、その魚に対して餌を与える目的はなくなります。
この具体的な状況を、目標達成後の人間関係や対応の変化に重ね合わせた比喩表現です。

特定の人物や故事に由来するものではなく、人々の日常的な経験則から生まれたと考えられますが、いつ頃から使われるようになったか、はっきりとした記録は見当たりません。

「釣った魚に餌はやらない」が使われる場面と例文

最もよく使われるのは、恋愛や結婚において、相手を手に入れる前は熱心だったのに、関係が安定した途端に態度が変わることを指す場面です。

また、ビジネスシーンで、契約を取るまでは丁寧だったのに、契約後は対応が悪くなるといった状況にも使われます。

このことわざは、すでに関心や努力を失ってしまった状態を表すものであり「新しいものを求めている」という意味で使うのは誤りです。

例文

  • 「あんなにマメに連絡をくれたのに付き合い始めた途端に返信が遅くなった。まさに釣った魚に餌はやらないだ。」
  • 「新規顧客の獲得には熱心だが、既存顧客へのフォローは怠りがちだ。会社として釣った魚に餌はやらない姿勢は改めるべきだ。」
  • 「彼は結婚前は記念日を大切にしていたが、今ではすっかり忘れている。釣った魚に餌はやらないとはこのことか。」

「釣った魚に餌はやらない」の類義語

  • 手のひらを返す:それまでの態度を急に反対に変えること。状況によって態度を変える点で共通。
  • 豹変する(ひょうへんする):態度や性質などが、がらりと大きく変わること。変化の大きさを強調する点で近い。
  • 喉元過ぎれば熱さを忘れる:苦しいことも、過ぎ去ってしまえばその苦しさを忘れてしまうこと。恩義や苦労を忘れる点で共通する側面がある。

「釣った魚に餌はやらない」の対義語

  • 誠心誠意(せいしんせいい):真心をもって物事を行うこと。相手への態度が変わらない様子。
  • 初心忘るべからず:始めた頃の謙虚で真剣な気持ちを忘れてはならないという戒め。関係性が変わっても態度を変えない点で対照的。
  • (いつまでも)大切にする:手に入れた後も変わらず、相手や物事を大事に扱うこと。

「釣った魚に餌はやらない」の英語での類似表現

  • take someone for granted
    意味:(人)の存在を当たり前だと思う、(人)のありがたみを忘れる。
    例文:He started to take her for granted after they got married.
    (彼は結婚後、彼女の存在を当然のことと思うようになった。)
    ※関係性が安定したことで、相手への配慮や感謝を忘れる状況を表し「釣った魚に餌はやらない」のニュアンスに近い表現です。
  • (someone) no longer makes an effort
    意味:(誰かが)もはや努力しなくなる。
    例文:He no longer made an effort to please his wife.
    (彼はもはや妻を喜ばせる努力をしなくなった。)
    ※関係維持のための努力をしなくなる状況を表します。

「釣った魚に餌はやらない」を使う上での注意点

このことわざは、相手の態度が変わったことに対する不満や非難、皮肉を込めて使われることがほとんどです。
そのため、相手に直接言うと失礼にあたり、関係を悪化させる可能性があります。

陰で噂話をしたり、親しい間柄で冗談めかして使ったりする場合が多いですが、いずれにしても、相手への配慮を忘れずに、使う場面や状況をよく考える必要があります。

まとめ – 関係性を大切にするために

「釣った魚に餌はやらない」は、手に入れたものへの関心が薄れ、扱いがぞんざいになる人間の心理を的確に表したことわざです。
特に恋愛や結婚の文脈でよく聞かれますが、あらゆる人間関係に当てはまる可能性があります。

この言葉が示すような状況は、相手を深く傷つけ、信頼関係を損なう原因となります。
自分がそうならないよう、また、もし相手にそう感じさせてしまった場合は、関係修復のために誠意を示すことが大切です。
手に入れた後も、相手への感謝や思いやりを忘れずにいたいものですね。

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