血は水よりも濃い

ことわざ
血は水よりも濃い(ちはみずよりもこい)
異形:血は水よりも濃し

9文字の言葉ち・ぢ」から始まる言葉
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「血は水よりも濃い」の意味・教訓

「血は水よりも濃い」とは、血のつながりのある関係(家族・親族)は、他人との関係(水でたとえられる)よりも、はるかに強いつながりであり、大切であるという意味のことわざです。

多くの場合、血縁関係は生まれながらにして決まっている、切っても切れない縁です。

利害関係を超えた無償の愛情や、本能的な結びつき、困難な時に助け合おうとする気持ちなどが、他人との関係よりも強いとされる背景にある考え方と言えるでしょう。

この言葉は、家族の絆の尊さや、血縁者の結束の大切さを説く教訓として使われます。

「血は水よりも濃い」の語源

このことわざの語源には諸説ありますが、英語のことわざ “Blood is thicker than water.” の翻訳であるという説が有力です。

ただし、この英語のことわざの本来の意味については議論があります。

古代において「誓約の血」(blood of the covenant)は、「子宮の水(=生まれながらの血縁)」(water of the womb)よりも濃い(重要である)という意味で使われていたものが、時代とともに逆の意味で解釈されるようになった、という説も存在します。

しかし、現代の英語圏でも日本と同様に、一般的には「血縁は他人との関係より強い」という意味で使われています。

「血は水よりも濃い」が使われる場面と例文

「血は水よりも濃い」は、家族や親族間の強い結びつきや助け合いが感じられる場面、あるいは逆に、血縁ゆえのしがらみや対立が起きた場面などで使われます。

日常会話や、小説、ドラマなどで、家族関係の重要性や複雑さを表現する際に用いられることがあります。

例文

  • 長年疎遠だった兄弟が、親の介護をきっかけに協力し合う姿を見て、血は水よりも濃いという言葉を実感した。
  • あれほど仲違いしていた親族たちが、遺産相続のことになると結束するのだから、血は水よりも濃いとはよく言ったものだ。
  • どんなに親しい友人でも、最終的に頼れるのは家族なのかもしれない。血は水よりも濃いというけれど、少し寂しい気もする。
  • 彼は会社を裏切って、経営難の兄の会社を助けた。血は水よりも濃いということなのだろうか。

「血は水よりも濃い」の類義語

  • 親子は一世:親子の縁は、この世に生きている間だけのものだということ。血縁の結びつきの強さとともに、その縁のはかなさも示すことがある。
  • 兄弟は左右の手:兄弟は、左右の手のように互いに助け合うべき存在であるということ。血縁者の協力の重要性を説く。
  • 血は争えない:親子や兄弟姉妹の間では、顔つきや性格、才能などが似ているものだということ。血縁による遺伝的なつながりの強さを示す。
  • 内輪揉め:家族や仲間など、内部での争い。血縁関係が近いからこそ起こる争いという意味合いで、「血は水よりも濃い」の示す結束とは逆の側面を表すが、根底には強い結びつきがあることを示唆する場合もある。

「血は水よりも濃い」の関連語

  • (きずな):人と人との断ち切れない結びつき。血縁関係に限らず使われるが、「血は水よりも濃い」の根底にある感情。
  • 家族愛(かぞくあい):家族に対する愛情。このことわざが肯定する中心的な価値観。
  • 血縁(けつえん):血のつながりのある関係。このことわざの直接的なテーマ。
  • 地縁(ちえん):住んでいる土地に基づくつながり。血縁と対比されることがある人間関係の一つ。

「血は水よりも濃い」の対義語

「血は水よりも濃い」の直接的な対義語は多くありませんが、血縁以外のつながりの重要性を示す言葉はあります。

  • 水は血よりも濃し:近年、血縁よりも精神的なつながりや後天的な人間関係の方が強い、あるいは重要だと考える文脈で、意図的に「血は水よりも濃い」を逆にして使われることがある表現。ただし、一般的に定着したことわざではない。
  • 袖振り合うも多生の縁:道で見知らぬ人と袖が触れ合うような些細な出来事も、前世からの因縁によるものだということ。血縁に限らない、あらゆる出会いや縁の不思議さ、大切さを示す。
    ※ 血縁の絶対性を説く「血は水よりも濃い」とは対照的に、偶然の縁の価値を認める点で対義的と言える。
  • 遠い親戚より近くの他人:遠くに住んでいて疎遠な親戚よりも、近くに住んでいて日常的に交流のある他人の方が、いざという時に頼りになるということ。
    ※ 血縁よりも実際の生活における人間関係の重要性を説く点で、「血は水よりも濃い」と対立する考え方を示す。

「血は水よりも濃い」の英語での類似表現

  • Blood is thicker than water.
    意味:血縁関係は、他のどんな人間関係よりも強い。
    文字通り「血は水よりも濃い」と同じ意味で使われる最も一般的な表現です。家族の絆や忠誠心が試される状況などで用いられます。前述の通り、元々の意味は異なっていたという説もありますが、現代ではこの意味で広く理解されています。
  • Family comes first.
    意味:家族が第一である、何よりも家族を優先する。
    直接的なことわざではありませんが、「血は水よりも濃い」と同様の価値観を示す際によく使われるフレーズです。

まとめ – 「血は水よりも濃い」が示す絆の形

「血は水よりも濃い」ということわざは、古くから多くの文化で共有されてきた、血縁関係の特別な強さを示す言葉です。
家族や親族との間には、他の人間関係とは異なる、本能的で深い結びつきがあることを教えてくれます。
しかし、現代社会においては、血縁だけが全てではありません。
友人、同僚、地域の人々など、血のつながりがない人々との間に築かれる「水の関係」とも言える絆もまた、私たちの人生を豊かに彩る大切なものです。
この言葉を、血縁の価値を絶対視するものとして捉えるのではなく、多様な人間関係の中の一つとして、家族との絆を見つめ直すきっかけと捉えてみてはいかがでしょうか。

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