金城湯池

四字熟語 故事成語
金城湯池(きんじょうとうち)

8文字の言葉き・ぎ」から始まる言葉
スポンサーリンク

「金城湯池」の意味 – 攻められない鉄壁の守り

「金城湯池」とは、守りが非常に堅固で、外部からの攻撃や侵入をまったく受け付けないような城や要塞、またはそのような場所や状態をたとえて言う言葉です。

  • 金城(きんじょう):金属で作られたように堅固な城壁。
  • 湯池(とうち):熱湯が満たされているかのように、敵が近づけない堀。

この二つの言葉が組み合わさり、「攻めることが極めて困難な、非常に守りの固い様子」を意味するようになりました。
物理的な城や砦だけでなく、比喩的に、組織の体制や地位、事業などが非常に安定していて揺るぎない状態を表す際にも用いられます。

「金城湯池」の語源 – 古代中国の堅固な城

「金城湯池」の語源は、中国前漢時代の歴史書『漢書』の「蒯通伝かいとうでん」にある故事に由来します。

秦の時代末期、弁舌家の蒯通が、当時大きな勢力を誇っていた武将・韓信かんしんに天下統一について説いた際、秦の都・咸陽(かんよう)の守りの堅固さを

「金城千里、湯池百仞(きんじょうせんり、とうちひゃくじん)」
(金属のような城壁が千里も続き、熱湯のような堀は非常に深い)と表現しました。

ここから、「金城湯池」という言葉が、守りが非常に堅いことのたとえとして使われるようになりました。

「金城湯池」が使われる場面と例文 – 揺るぎない守りを表す時

「金城湯池」は、以下のような、守りが非常に堅固で、簡単には攻められない状況や対象を表現する際に使われます。

  • 物理的な場所や施設の守り:厳重に警備された建物、難攻不落の要塞など。
  • 組織や体制の安定性:長年トップシェアを誇る企業の市場での地位、盤石な組織体制、強力な支持基盤を持つ政権など。
  • スポーツでの鉄壁の守備:失点を許さない強力なディフェンス陣。
  • セキュリティ対策の堅牢さ:不正アクセスや攻撃を許さない強固な情報セキュリティシステム。

ただし、比喩表現であるため、やや大げさに聞こえる場合もあります。

例文

  • 「我が社のこの分野におけるシェアは、まさに金城湯池と言えるだろう。」
  • 「最新のセキュリティシステムを導入し、情報管理体制は金城湯池の備えとなった。」
  • 「あのチームの守りは金城湯池で、なかなか得点を奪うことができない。」

「金城湯池」の類義語 – 似たような堅固さを表す言葉

「金城湯池」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。

  • 難攻不落(なんこうふらく):攻めるのが難しく、なかなか陥落しないこと。城や要塞について言うことが多いです。
  • 鉄壁(てっぺき):鉄でできた壁のように、非常に守りが堅いこと。「鉄壁の守り」のように使われます。
  • 堅塞固塁(けんさいこるい):守りの固いとりで。非常に守備が厳重な様子。
  • 盤石(ばんじゃく):大きな岩のように、どっしりと安定していて揺るがないさま。
    「盤石の体制」「地位は盤石だ」のように使われます。
    ※「金城湯池」が外部からの攻撃に対する堅固さを強調するのに対し、「盤石」は安定性や揺るぎなさに重点があります。

「金城湯池」の対義語 – もろく危険な状態

「金城湯池」が堅固な守りを表すのに対し、以下のような言葉は、守りがもろく、非常に危険な状態を表します。

  • 危急存亡(ききゅうそんぼう):危険が迫り、生き残るか滅びるかの瀬戸際であること。
  • 累卵の危うき(るいらんのあやうき):卵を積み重ねたように、非常に不安定で危険な状態のたとえ。(故事成語)
  • 風前の灯火(ふうぜんのともしび):風の前のともしびのように、今にも消えそうで非常に危うい状態のたとえ。(ことわざ)
  • 砂上の楼閣(さじょうのろうかく):砂の上に建てた高い建物のことで、見た目は立派だが基礎がもろく、長く維持できないもののたとえ。(ことわざ)
    ※ 堅固な「金城湯池」とは対照的に、不安定さやはかなさを表します。

「金城湯池」の英語での類似表現 – 世界で通じる難攻不落のイメージ

「金城湯池」のニュアンスに近い英語表現には、以下のようなものがあります。

  • Impregnable fortress
    意味:難攻不落の要塞。物理的な場所だけでなく、比喩的にも使われます。
    用例:The company built an impregnable fortress around its market share.
    (その会社は市場シェアの周りに難攻不落の要塞を築いた。)
  • Stronghold / Bastion
    意味:拠点、砦、牙城。守りが固く、頼りになる場所や組織を指します。
    用例:This region is known as a stronghold of the ruling party.
    (この地域は与党の牙城として知られている。)
  • Secure position
    意味:安全な地位、確固たる立場。
    用例:He established a secure position within the company hierarchy.
    (彼は社内の序列の中で確固たる地位を築いた。)

これらの表現は、「金城湯池」が持つ「守りの堅さ」「安定性」を伝える際に用いられます。

まとめ – 「金城湯池」が示す堅牢さと現代的な意味

「金城湯池」は、古代中国の故事に由来する、非常に守りが堅固で攻めにくい様子を表す四字熟語です。
金属の城と熱湯の堀という力強い比喩は、難攻不落のイメージを的確に伝えています。

現代では、物理的な城だけでなく、ビジネスにおける市場での地位、組織の体制、情報セキュリティなど、様々な「守り」の堅固さを表現するために使われます。
ただし、どんなに堅固に見えても油断は禁物です。
「金城湯池」という言葉は、盤石な備えの重要性を示すと同時に、時に過信への戒めとしても捉えることができるかもしれません。

コメント