「あの会社、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いだね!」
「彼の人気は飛ぶ鳥を落とす勢いだ」
…こんな風に、何かがものすごい力を持っている様子を表す言葉を聞いたことはありませんか?
この記事では、「飛ぶ鳥を落とす勢い」の意味や由来、使い方、そして関連する言葉などを分かりやすく解説していきます。
「飛ぶ鳥を落とす勢い」の意味・教訓
「飛ぶ鳥を落とす勢い」とは、権力や威光、人気などが非常に盛んで、とどまるところを知らないさまをたとえたことわざであり、慣用句です。
空を自由に飛んでいる鳥でさえ、そのあまりの勢いに恐れをなして(あるいは威光に射止められて)地上に落ちてしまうだろう、という大げさな比喩によって、その凄まじい勢いを表現しています。
主に、人や組織などが持つ力や影響力が頂点に達している状態を描写する際に使われます。直接的な教訓というよりは、状況を生き生きと伝えるための比喩表現としての意味合いが強い言葉です。
「飛ぶ鳥を落とす勢い」の語源
この言葉の明確な語源や特定の由来となる話は、はっきりとは分かっていません。
しかし、「飛んでいる鳥さえも落としてしまうほどの凄まじい勢い」という、非常に誇張されたイメージから生まれた比喩表現であると考えられています。
その圧倒的な力や影響力を、誰もが想像しやすい「鳥が落ちる」という現象にたとえることで、聞き手に強い印象を与える効果を狙ったものなのでしょう。
「飛ぶ鳥を落とす勢い」が使われる場面と例文
この言葉は、個人や組織などが、その分野で圧倒的な力や人気を誇っている状況を表すのに使われます。
- 急成長を遂げ、業界を席巻している企業。
- 国民的な人気を集め、メディアに引っ張りだこの芸能人やアスリート。
- 絶大な権力を持ち、政界などで大きな影響力を持つ人物。
- 社会現象となるほど流行している商品やサービス。
肯定的な意味で使われることが多いですが、文脈によっては、その強すぎる権力や勢いに対する警戒心や批判的なニュアンスを含むこともあります。
例文
- 「そのIT企業は、新サービスの大ヒットにより、今や飛ぶ鳥を落とす勢いだ。」
- 「彼はデビュー以来、飛ぶ鳥を落とす勢いでスターダムを駆け上がった。」
- 「かつて、あの政治家は飛ぶ鳥を落とす勢いを誇っていたが、今は見る影もない。」
- 「当時、そのアイドルグループの人気は飛ぶ鳥を落とす勢いで、社会現象にもなった。」
「飛ぶ鳥を落とす勢い」の類義語
勢いが非常に盛んな様子を表す言葉は他にもあります。
- 破竹の勢い(はちくのいきおい):
意味:竹が割れるように、止めることができないほどの激しい勢いで進むさま。
ニュアンス:物事の進撃や進行が非常に速く、抵抗をものともしない様子を強調する。 - 日の出の勢い:
意味:朝日が昇るように、これからますます盛んになろうとする勢いのあるさま。
ニュアンス:成長の初期段階や、これから発展していく将来性を感じさせる勢いを表す。 - 昇竜の勢い(しょうりゅうのいきおい):
意味:竜が天に昇るように、非常に勢いが盛んなさま。
ニュアンス:「日の出の勢い」と同様に、力強く上昇していく様子を表す。 - 隆盛を極める(りゅうせいをきわめる):
意味:勢いが非常に盛んで、頂点に達していること。
ニュアンス:「飛ぶ鳥を落とす勢い」と非常に近い、全盛期の状態を示す。
「飛ぶ鳥を落とす勢い」の対義語
勢いが衰えたり、人気がなくなったりした状態を表す言葉です。
- 落日の勢い(らくじつのいきおい):
意味:沈む太陽のように、勢いが衰え滅びに向かっているさま。
※ 「日の出の勢い」と対になり、「飛ぶ鳥を落とす勢い」とは正反対の状況。 - 地に落ちる:
意味:名誉や評判、権威などがすっかり失われること。
※ かつての勢いを失い、評価が著しく低下した状態。 - 見る影もない:
意味:以前の勢いや華やかさが全くなくなり、見るに堪えないほど衰え果てたさま。 - 落ち目:
意味:運が悪くなったり、勢いが衰えたりしている状態。
「飛ぶ鳥を落とす勢い」の英語での類似表現
「鳥を落とす」という直接的な比喩はありませんが、勢いや人気の絶頂を表す表現はあります。
- riding high
意味:成功して意気揚々としている、絶好調である。人気や成功の波に乗っている様子。 - in one’s heyday
意味:~の全盛期に。個人や物事の最も成功し、力を持っていた時期を指す。 - at the height of one’s power / popularity
意味:権力(人気)の絶頂にあって。 - (be) on a roll
意味:幸運や成功が続いている、波に乗っている、絶好調である。
まとめ – 「飛ぶ鳥を落とす勢い」の凄まじさと使い方
「飛ぶ鳥を落とす勢い」は、権力や人気がまさに頂点にある、その凄まじい様子を鮮やかに描き出す表現です。
飛んでいる鳥さえ落ちてしまう、という比喩は、その勢いの強さを効果的に伝えます。
成長著しい企業や、絶大な人気を誇る人物などを描写する際にぴったりの言葉ですが、やや大げさな表現でもあります。
また、特に権力者に対して使う場合は、その強すぎる力への畏敬だけでなく、皮肉や批判的なニュアンスを帯びることもあります。
使う場面や相手、文脈を考慮して、この印象的な言葉を効果的に使いたいものですね。
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