沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり

ことわざ
沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり(しずむせあればうかぶせあり)

13文字の言葉し・じ」から始まる言葉
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人生、良いことばかりが続くわけではありません。かと思えば、悪いことばかりが続くわけでもない。
そんな人生の浮き沈みを言い表したことわざが「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」です。

この記事では、このことわざの正確な意味から使い方、似た言葉、英語での表現まで、詳しく解説していきます。

「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」の意味・教訓

このことわざは、「人生には、悪い時もあれば良い時もある」ということを意味します。

「瀬」とは川の流れの中で浅くなっている場所や、流れが速い場所を指します。
人生を川の流れに例え、時には流れが滞る(沈む瀬)ような不運な時期があっても、いずれは流れが良くなる(浮かぶ瀬)ような幸運な時期も訪れる、と教えています。
単に人生の波を表すだけでなく、悪い状況が永遠に続くわけではないから希望を失わないように、という励ましのニュアンスも含まれています。

「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」の語源

このことわざの直接的な出典は明らかではありませんが、人生を川の流れに例える表現は古くから存在します。
川の「瀬」が場所や時間によって状態を変えるように、人の運命も常に変化するという観察眼から生まれた言葉と考えられます。
厳しい状況(沈む瀬)もあれば、好転する時期(浮かぶ瀬)もあるという、自然の摂理と人生経験に基づいた知恵が込められています。

「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」が使われる場面と例文

主に、不運な状況にある人を励ます時や、人生の浮き沈みについて語る際に用いられます。
また、うまくいかないことがあっても、いずれ好機が訪れると信じて、諦めずに待つ心構えを示す場合にも使われます。

例文

  • 事業に失敗して落ち込んでいる友人に、「沈む瀬あれば浮かぶ瀬ありだよ。
    きっとまたチャンスが来るさ」と励ました。
  • 長年不遇の時代を過ごした彼がようやく成功を掴んだ。
    まさに「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」を体現したような人生だ。
  • 試験に落ちたくらいでくよくよするな。
    沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」と言うじゃないか。
    次を目指して頑張ろう。

「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」の類義語・言い換え表現

似たような意味を持つことわざや表現があります。状況に応じて使い分けると良いでしょう。

  • 苦あれば楽あり:苦しいことの後には、必ず楽しい時が来るということ。
    ※「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」は、楽の後にも苦が来る可能性も示唆しますが、「苦あれば楽あり」は主に苦労が報われる面に焦点を当てます。
  • 人間万事塞翁が馬:人生の幸不幸は予測不可能で、何が幸いし何が災いするかわからないことのたとえ。
    ※「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」は単なる浮き沈みを指すのに対し、「人間万事~」は幸運が不運の原因に、不運が幸運の原因になるという、より複雑な転換を示します。
  • 禍福は糾える縄の如し(かふくはあざなえるなわのごとし):幸福と不幸は、より合わせた縄のように交互にやってくるものだということ。
    ※人生における幸不幸の循環を示す点で非常に近しい意味を持ちます。

「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」の対義語

直接的な対義語として定まったことわざはありません。
しかし、人生には波がなく常に一定の状態が続く、あるいは一方の状態だけが続くという考え方は、このことわざとは対照的と言えます。

例えば、「常に順風満帆」や「不幸続き」といった状況や考え方は、「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」が示す変化や循環の考えとは異なります。

「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」の英語での類似表現

英語にも、人生の浮き沈みを表現する言い回しがあります。

  • Every tide has its ebb. / The tide comes in and the tide goes out.
    意味:どの潮にも引き潮がある。/ 潮は満ち、そして引いていく。
    ※潮の満ち引きに人生の浮き沈みを例える表現で、「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」と非常に似たニュアンスです。
  • Ups and downs.
    意味:浮き沈み、好不調の波。
    ※シンプルに人生や物事の好不調の波を表します。
    “Life is full of ups and downs.” (人生は山あり谷ありだ)のように使われます。
  • After rain comes sunshine. / Every cloud has a silver lining.
    意味:雨の後には太陽が輝く。/ どんな雲にも銀の裏地(明るい兆し)がある。
    ※悪いことの後には良いことがある、という希望を示す表現で、「苦あれば楽あり」や「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」の励ましの側面と共通します。

まとめ – 沈む瀬あれば浮かぶ瀬ありから学ぶ心の持ち方

「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」は、人生には良い時も悪い時もあるという、自然な変化を受け入れる知恵を教えてくれます。
不運な状況にあっても、それが永遠ではないと知り、希望を持つことの大切さを示唆しています。

このことわざは、私たちに変化に対する柔軟な心と、困難な時期を乗り越えるための忍耐力、そして未来への希望を与えてくれます。
人生の波を乗りこなすための、穏やかで力強い心構えと言えるでしょう。

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