白を切る

慣用句
白を切る(しらをきる)
異形:しらを切る

5文字の言葉し・じ」から始まる言葉
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「あの件について聞いても、彼は白を切るばかりだった」
「問い詰められて、つい白を切ってしまった」

このように使われる「白を切る」という言葉。
何かを隠したり、ごまかしたりするような、少し後ろめたい場面で耳にすることが多いのではないでしょうか。

この記事では、「白を切る」という慣用句の意味やその由来、具体的な使い方、さらには似た言葉や反対の言葉について、分かりやすく解説していきます。

「白を切る」の意味

「白を切る」とは、本当は知っているのに、知らないふりをする、わざととぼけることを意味する慣用句です。

自分にとって都合の悪いことや、答えたくない質問に対して、あえて知らない、関係ないという態度をとる様子を表します。

しばしば「惚ける(とぼける)」と似た意味で使われますが、「白を切る」には、より意図的に、強く知らないふりをしているというニュアンスが含まれることがあります。

「白を切る」の語源 – 由来を探る

「白を切る」の「白(しら)」は、「知らない」が変化した言葉だと考えられています。
つまり、「知らない」ということをはっきりと言い切る、断言する、という意味合いから「白を切る」という表現が生まれたという説が有力です。

また、一説には、歌舞伎の世界で使われていた隠語が一般に広まったとも言われています。
役者が舞台上で知らないふりをする際に「しら」という言葉を使ったことから、「しらを切る」=「知らないふりをする」という意味で定着したというものです。

「白々しい」という言葉もありますが、「白を切る」の「白」は、色そのものよりも「知らない」という状態を指していると解釈するのが一般的です。
「しらを切る」と表記されることも多く、こちらが元の形に近いとも言われます。

「白を切る」が使われる場面と例文

この言葉は、主に自分がやったことや知っている事実を隠そうとする時、追求や質問から逃れようとする時に使われます。

例えば、いたずらが見つかった子供が「僕じゃないよ」と言う時や、何か隠し事をしている人が問い詰められた時に、「知らない」「聞いていない」と答えるような状況が当てはまります。
多くの場合、ごまかしたり、嘘をついたりしているというネガティブな文脈で用いられます。

例文

  • 問い詰められた犯人は、最後まで白を切った
  • 証拠を突きつけられても、彼は「何も知らない」と白を切るばかりだった。
  • 彼女はその件について何か知っているはずなのに、うまく白を切って話をそらした。
  • 子供がお菓子をつまみ食いしたのを白を切ってごまかそうとした。

「白を切る」の類義語 – 似ている表現

「白を切る」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。

  • しらを切る:「白を切る」とほぼ同じ意味。表記の違い。
  • とぼける:知っていながら知らないふりをする、または意図的に間の抜けた言動をすること。より軽いニュアンスの場合もある。
  • 空とぼける(そらとぼける):「とぼける」を強調した言い方。わざとらしさが加わる。
  • 頬被り(ほおかむり/ほっかむり):知っていながら知らないふりをすること。見て見ぬふりをする様子。
  • 知らぬ存ぜぬ:全く知らない、自分には関係ない、という態度を強く示す言葉。
  • 猫をかぶる:本性を隠しておとなしそうに見せかけること。知らないふりとは少し異なるが、本心や事実を偽る点で共通する。

「白を切る」の対義語 – 反対の意味の表現

「白を切る」とは反対に、隠さずに打ち明けたり、認めたりする様子を表す言葉です。

  • 白状する:隠していた罪や秘密などを、洗いざらい打ち明けること。
  • 認める:事実として受け入れたり、肯定したりすること。
  • 正直に話す:嘘や隠し事をせず、ありのままを語ること。
  • 観念する:抵抗や言い逃れをあきらめて、罪や運命などを受け入れる覚悟をすること。「白を切る」ことをやめる状態。
    ※ 知らないふりをせず、事実を明らかにするこれらの言葉は、「白を切る」とは正反対の行動を示す。

「白を切る」の英語での類似表現

英語で「白を切る」に近い意味を表す表現には、以下のようなものがあります。

  • play dumb
    意味:ばかなふりをする、とぼける、知らないふりをする。意図的に無知を装う状況で広く使われる。
  • feign ignorance (feign = 〜のふりをする)
    意味:無知を装う、知らないふりをする。やや硬い表現。
  • plead ignorance
    意味:知らなかったと言い張る、無知を申し立てる。特に責任や非難を逃れようとする文脈や、法的な場面で使われることがある。

これらの表現も、文脈によってニュアンスが異なりますが、「知らないふりをする」という点で「白を切る」と共通しています。

まとめ – 「白を切る」ことから考える正直さ

「白を切る」とは、知っていることを知らないふりをする、意図的にとぼけるという意味の慣用句です。
その語源は「知らない」と言い切ることに由来するとされています。

この行為は、一時的に追求を逃れたり、都合の悪い状況をごまかしたりするために行われることがありますが、多くの場合、不誠実な印象を与え、信頼を損なうことにつながります。

私たちは、時に本当のことを言いたくない、隠したいと思うことがあるかもしれません。
しかし、「白を切る」という言葉に触れるたび、正直であることの大切さや、誠実なコミュニケーションの重要性を改めて考えさせられます。
状況によっては難しいこともありますが、できる限り正直でありたいものです。

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