単刀直入

四字熟語
単刀直入(たんとうちょくにゅう)

10文字の言葉た・だ」から始まる言葉
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意味と本質 – すぐに核心へ

「単刀直入」とは、前置きや遠回しな言い方をせず、すぐに本題に入ること、または核心を突くさまを表す言葉です。

回りくどい説明や挨拶などを省き、いきなり要点や結論から話し始める様子を指します。
会話や文章において、物事をはっきりと、直接的に伝える際に用いられます。
効率や明確さが求められる場面で役立つ一方、状況によっては配慮が必要な表現でもあります。

語源 – 一本の刀で切り込むように

「単刀直入」は、文字通りには「一本の刀で、まっすぐに敵陣に切り入る」という意味です。

  • 単刀(たんとう):一本の刀。
  • 直入(ちょくにゅう):まっすぐに(直接)入ること。

この言葉は、もともと中国の宋代の禅の書物『五燈会元ごとうえげん』や『景徳伝灯録けいとくでんとうろく』などで、禅僧が煩悩や迷いを断ち切り、まっすぐに悟りの境地へ向かう様子を表す比喩として使われていたようです。
それが転じて、話や議論などで、前置きなしに本質や要点に触れるという意味で使われるようになりました。
一本の刀でためらわずに切り込むように、ズバリと核心に迫るイメージが、この言葉には込められています。

使われる場面と例文 – 現代社会での活用

「単刀直入」は、ビジネスシーンでの会議や交渉、あるいは日常生活で自分の意見をはっきり伝えたい時など、様々な場面で使われます。
特に、時間がない場合や、結論を明確に伝える必要がある場合に効果的です。

例文

  • 単刀直入に申し上げますが、この提案にはいくつか懸念点があります」
  • 「時間が限られていますので、単刀直入に結論からお話しします」
  • 「彼はいつも単刀直入な物言いをするが、悪気はないのだろう」
  • 単刀直入な質問で恐縮ですが、納期はいつになりますでしょうか」

類義語 – 様々な「ハッキリ」

  • 歯に衣着せぬ(はにきぬきせぬ):思ったことを遠慮なく、そのまま言うさま。
  • 開口一番(かいこういちばん):口を開いて最初に言うこと。本題に入る前の前置きがないニュアンス。
  • 直截(ちょくせつ):回りくどくなく、まっすぐであるさま。率直な様子。
  • 端的(たんてき):はっきりと要点をついているさま。手短に核心を述べる様子。
  • ずばり:ためらわず、核心を正確につくさま。副詞的に用いられることが多いです。

対義語 – 遠回しな表現

  • 迂遠(うえん):遠回しで、なかなか本題に入らないこと。目的達成までに手間や時間がかかる様子。
  • 婉曲(えんきょく):露骨な表現を避け、遠回しに、それとなく言うこと。表現が穏やかになる一方、意図が伝わりにくくなることもあります。
  • 持って回った(もってまわった):言い方などが回りくどいさま。

英語での類似表現 – Straight to the point

「単刀直入」のニュアンスに近い英語表現には、以下のようなものがあります。

  • straight to the point
    意味:まっすぐ要点へ。最もよく使われる表現の一つです。
  • directly
    意味:直接的に。
  • frankly
    意味:率直に言って。(文頭で使われることが多い)
  • bluntly
    意味:無遠慮に、ぶっきらぼうに。
    (率直さを通り越して、やや配慮に欠けるというニュアンスを含む場合があります)

使用上の注意点 – 配慮も忘れずに

「単刀直入」な表現は、明確で分かりやすい反面、相手や状況によっては唐突で失礼な印象を与えたり、冷たいと感じさせたりする可能性があります。

特に、相手への配慮が必要な場面や、人間関係を円滑に進めたい場合には、「恐縮ですが」「申し上げにくいのですが」といったクッション言葉を添えるなど、表現を和らげる工夫が大切になるでしょう。
TPO(時・場所・場合)をわきまえて使うことが重要です。

まとめ

「単刀直入」は、前置きなしに直接本題に入ったり、核心を突いたりする様子を表す四字熟語です。
その語源は、一本の刀で敵陣にまっすぐ切り込む様子に由来します。
ビジネスや議論の場で効率的に話を進める際に有効な表現ですが、相手への配慮を欠くと失礼にあたる可能性もあります。
状況に応じてクッション言葉を使うなど、TPOに合わせた使い方を心がけることで、円滑なコミュニケーションに繋がるでしょう。

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