「火に油を注ぐ」「火がつく」「火の車」など、日本語には「火」を使ったことわざや慣用句が数多く存在します。
私たちの日常会話に自然と溶け込んでいるこれらの表現ですが、その正確な意味や由来をご存知ですか?
本記事では、日本語の豊かな表現力を感じられる「火」にまつわることわざ・慣用句を厳選し、意味や使い方、例文までわかりやすく解説します。
ビジネスシーンでも使える表現から、日本の伝統文化を反映した言葉まで、言葉の知識を深めたい方必見の内容です。
「火」のことわざ・慣用句一覧
ここでは、「火」を使ったことわざ・慣用句を、その意味と例文とともにご紹介します。
飛んで火に入る夏の虫 (とんでひにいるなつのむし)
- 意味: 自ら進んで危険や災難に飛び込んでいくことのたとえ。
- 例文: 警告を無視して危険な投資に手を出すなんて、飛んで火に入る夏の虫だ。
火の車 (ひのくるま)
- 意味: 経済状態が非常に苦しいこと。借金などでやりくりがつかない状態。
- 例文: 今月も支払いが重なり、家計は火の車だ。
火を見るよりも明らか (ひをみるよりもあきらか)
- 意味: 疑う余地がないほど明白であること。
- 例文: 彼が犯人であることは、火を見るよりも明らかだ。
火に油を注ぐ (ひにあぶらをそそぐ)
- 意味: 事態をさらに悪化させること。
- 例文: 二人の喧嘩に口出しするのは、火に油を注ぐようなものだ。
火中の栗を拾う (かちゅうのくりをひろう)
- 意味: 自分の利益にならないのに、他人のために危険なことをすること。
- 例文: 彼は、火中の栗を拾うような真似はしないだろう。
消火に追われる (しょうかにおわれる)
- 意味: 問題やトラブルの解決に追われること。
- 例文: クレーム対応で、毎日消火に追われている。
飛び火 (とびひ)
- 意味: 災難や事件の影響が、関係のないところにまで及ぶこと。
- 例文: 彼の不祥事のせいで、会社全体に飛び火してしまった。
火がつく (ひがつく)
- 意味: 感情や事件などが急に激しくなること。
- 例文: 彼の発言がきっかけで、議論に火がついた。
火を消す (ひをけす)
- 意味: 問題やトラブルを解決すること。
- 例文: 早急に事態の火を消さなければならない。
火の手が上がる (ひのてがあがる)
- 意味: 火事が発生すること。事件や騒動が始まること。
- 例文: 近所で火の手が上がった。
焼け石に水 (やけいしにみず)
- 意味: わずかなもので、効果がないこと。
- 例文: 彼への援助は、焼け石に水だった。
火事場泥棒 (かじばどろぼう)
- 意味: 混乱に乗じて、不正な利益を得ること。
- 例文: 火事場泥棒のような行為は許せない。
火のない所に煙は立たぬ (ひのないところにけむりはたたぬ)
- 意味: 噂が立つからには、何かしら原因があるはずだ。
- 例文: 彼が辞職するらしい。火のない所に煙は立たぬと言うから、何かあったのだろう。
熱い火箸も扱いよう(あついはしもあつかいよう)
- 意味: どんなに気難しい人も、扱い方によっては、大人しくなるということ。
- 例文: あの人は短気だが、熱い火箸も扱いようだから、言い方には気をつけて頼んでみよう。
尻に火がつく (しりにひがつく)
- 意味: 差し迫った状況になり、急いで行動すること。
- 例文: 締め切りが近づき、尻に火がついた。
対岸の火事 (たいがんのかじ)
- 意味: 自分には関係のないこと。
- 例文: 彼の会社の経営危機は、私にとっては対岸の火事だ。
灯火親しむべし (とうかしたしむべし)
- 意味: 秋の夜長は、灯火の下で読書をするのに適しているということ。
- 例文: 灯火親しむべし、というから、今夜はゆっくり読書を楽しもう。
火花を散らす(ひばなをちらす)
- 意味: 激しく争うこと。
- 例文: 彼らはライバル同士、常に火花を散らしている。
火ぶたを切る (ひぶたをきる)
- 意味: 戦いや競争などを開始すること。
- 例文: 選挙戦の火ぶたが切られた。
水火も辞さない (すいかもじさない)
- 意味: どんな困難や危険も恐れないこと。
- 例文: 彼は、友のためなら水火も辞さない覚悟だ。
眼に火を燃やす(めにひをもやす)
- 意味: 激しい怒りや、意欲を表情に表すこと。
- 例文: 彼は目に火を燃やして、必ず成功してみせると言った。
燎原の火(りょうげんのひ)
- 意味: 野原を焼く火のように、激しく勢いがあり、防ぎ止めることができないことのたとえ。
- 例文: 彼の改革への情熱は、燎原の火の如く、誰も止めることはできなかった。
火が消えたよう(ひがきえたよう)
- 意味: 急に活気がなくなること。
- 例文: 彼が去ってから、職場は火が消えたようだ。
火の粉を払う(ひのこをはらう)
- 意味: 自分に降りかかる災難を取り除くこと。
- 例文: 降りかかる火の粉を払うのに精一杯だ。
火事と喧嘩は江戸の華 (かじとけんかはえどのはな)
- 意味: 江戸っ子の気性を表す言葉。火事と喧嘩が江戸の名物であるとともに、それらをいさぎよしとする気風を言う。(「火事」は入るが、少し特殊なケース)
- 例文: 火事と喧嘩は江戸の華と言うけれど、現代では迷惑なだけだ。
風前の灯火 (ふうぜんのともしび)
- 意味: 危険が迫っていて、今にも消えそうな様子。
- 例文: 彼の会社は、資金繰りが悪化し、まさに風前の灯火だ。
心頭滅却すれば火もまた涼し (しんとうめっきゃくすればひもまたすずし)
- 意味: 無念無想の境地に至れば、火さえも熱く感じない。
- 例文: 彼はどんな困難にも動じない。心頭滅却すれば火もまた涼し、という境地なのだろう。
水火の争い(すいかのあらそい)
- 意味: 激しい争い。相容れないものの争い。
- 例文: 両国は資源をめぐって、長年、水火の争いを繰り広げている。
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