「一寸先は闇」「三人寄れば文殊の知恵」など、日本語には「数字」を取り入れたことわざや慣用句が数多く存在します。これらは、具体的な数を用いることで、物事の程度や状態、教訓などを分かりやすく表現しています。
今回は、そんな「数字」に関係する有名なことわざ・慣用句・故事成語を集めてご紹介します。
なお、こちらのページは「数字に関係する有名なことわざ・慣用句・故事成語」の一覧ページです。
「数字に関係する四字熟語」
(例:一石二鳥、四面楚歌など)については、下記のページで詳しく解説していますので、よろしければそちらもご覧ください。
「数字」に関することわざ
(主に教訓や風刺、昔からの言い伝えを含む短い句)
- 一寸先は闇(いっすんさきはやみ):
少し先のことも全く予測できないこと。油断大敵。 - 一事が万事(いちじがばんじ):
一つの事柄の様子から、他のすべてのことを推察できること。 - 一文惜しみの百知らず(いちもんおしみのひゃくしらず):
わずかな出費を惜しんで、結局大損すること。目先の利益にとらわれる愚かさ。 - 二度あることは三度ある(にどあることはさんどある):
同じことが二度起これば、三度目も起こりやすい。特に悪いことについて言う。 - 二兎を追う者は一兎をも得ず(にとをおうものはいっとをもえず):
同時に二つの目標を追うと、結局どちらも失敗することの戒め。 - 三度目の正直(さんどめのしょうじき):
一度や二度失敗しても、三度目には成功するだろうということ。 - 三人寄れば文殊の知恵(さんにんよればもんじゅのちえ):
平凡な人でも三人集まれば、良い知恵が浮かぶものだということ。 - 仏の顔も三度まで(ほとけのかおもさんどまで):
どんなに温厚な人でも、何度も無礼なことをされれば怒るということ。我慢の限界。 - 石の上にも三年(いしのうえにもさんねん):
辛抱強く続ければ、いつかは必ず成功するということ。忍耐の大切さ。 - 六日の菖蒲、十日の菊(むいかのあやめ、とおかのきく):
時期に遅れて役に立たなくなったもののたとえ。手遅れ。 - 七転び八起き(ななころびやおき):
何度失敗しても屈せずに立ち上がること。不屈の精神のたとえ。 - 人の噂も七十五日(ひとのうわさもしちじゅうごにち):
世間の噂は長続きせず、時が経てば忘れられるものだということ。 - 十人十色(じゅうにんといろ):
人の考えや好みなどは、それぞれ違っているということ。(※四字熟語でもある) - 百聞は一見に如かず(ひゃくぶんはいっけんにしかず):
何度も聞くより、一度自分の目で見た方が確かであること。 - 可愛さ余って憎さ百倍(かわいさあまってにくさひゃくばい):
愛情が深いほど、裏切られたときの憎しみは非常に強くなること。 - 百薬の長(ひゃくやくのちょう):
多くの薬の中で最も効果があるもの。転じて、適量の酒のこと。 - 一姫二太郎(いちひめにたろう):
子供を持つなら、一人目は育てやすい女の子、二人目は男の子が良いということ。 - 一年の計は元旦にあり(いちねんのけいはがんたんにあり):
物事を始めるにあたっては、最初にしっかり計画を立てるべきだということ。 - 天は二物を与えず(てんはにぶつをあたえず):
天は一人の人間に多くの才能を与えたりはしないものだということ。 - 三つ子の魂百まで(みつごのたましいひゃくまで):
幼い頃の性格は、年をとっても変わらないということ。 - 早起きは三文の徳(はやおきはさんもんのとく):
朝早く起きれば、わずかでも何か良いことがあるということ。 - 百害あって一利なし(ひゃくがいあっていちりなし):
害ばかりで、少しも良いところがないこと。 - 千里の道も一歩から(せんりのみちもいっぽから):
どんな大きな事業も、手近なところから着実に努力を重ねることで達成できるということ。
「数字」に関する慣用句
(二語以上の語が結びつき、特定の意味を持つ定型的な言い回し)
- 一石を投じる(いっせきをとうじる):
平穏な状況に、議論や問題を引き起こすような行動をすること。 - 一難去ってまた一難(いちなんさってまたいちなん):
一つの困難が過ぎると、また次の困難が起こること。苦労が絶えないさま。 - 一か八か(いちかばちか):
結果は分からないが、運を天に任せて思い切ってやってみること。 - 二階から目薬(にかいからめぐすり):
遠回しすぎて効果がないこと、もどかしいことのたとえ。 - 二の句が継げない(にのくがつげない):
驚きや呆れで、次の言葉が出てこない様子。 - 二の足を踏む(にのあしをふむ):
ためらって、先に進むのを躊躇すること。 - 三日坊主(みっかぼうず):
飽きっぽくて長続きしないこと。また、そのような人。 - 四の五の言う(しのごのいう):
あれこれと不平不満や文句を言うこと。 - 五臓六腑にしみわたる(ごぞうろっぷにしみわたる):
飲食物などが、体の隅々まで行き渡るように感じられること。深い満足感。 - 八方美人(はっぽうびじん):
誰に対しても愛想よく振る舞うこと。皮肉の意味で使われることが多い。(※四字熟語でもある) - 八百長(やおちょう):
事前に勝敗を決めておき、表面上だけ真剣に勝負するように見せかけること。 - 嘘八百(うそはっぴゃく):
たくさんの嘘。全くのでたらめ。「八百」は数が多い意。 - 九死に一生を得る(きゅうしにいっしょうをえる):
ほとんど助かる見込みのない危険な状態から、かろうじて命が助かること。(※四字熟語でもある) - 十把一絡げ(じっぱひとからげ):
様々なものを区別せず、一つにまとめて大雑把に扱うこと。 - 十中八九(じっちゅうはっく):
十のうち八か九。ほとんど。だいたい。ほぼ確実に。(※四字熟語でもある) - 百に一つの誤りもない(ひゃくにひとつのあやまりもない):
まったく間違いがなく、完璧であることのたとえ。 - 万全を期す(ばんぜんをきす):
少しの抜かりもないように、十分に準備し、備えること。 - 万死に値する(ばんしにあたいする):
何度死んでも償えないほど、重大な罪や過ちを犯したこと。深い反省や謝罪の意を表す。 - 一から十まで(いちからじゅうまで):
初めから終わりまで全部。何もかもすべて。 - 一にも二にも(いちにもににも):
あれこれ言うまでもなく、まず第一に大切なこととして。何をおいても。 - 二枚舌を使う(にまいじたをつかう):
状況に応じて矛盾したことを言うこと。嘘をつくこと。 - 二股をかける(ふたまたをかける):
同時に二つのものに関係を持つこと。特に恋愛関係で使う。 - 五本の指に入る(ごほんのゆびにはいる):
多くの中で、特に優れているものの一つとして数えられること。 - 十年一昔(じゅうねんひとむかし):
十年も経てば、世の中の様子はすっかり変わってしまうということ。 - 十人並み(じゅうにんなみ):
特に優れても劣ってもいない、ごく普通であること。平凡。 - 百も承知(ひゃくもしょうち):
十分に知っていること。よく分かっていること。 - 万感胸に迫る(ばんかんむねにせまる):
様々な思いが一度に心に込み上げてきて、胸がいっぱいになること。 - 万事休す(ばんじきゅうす):
すべての方法が尽きて、もはやどうすることもできない状態。絶体絶命。 - 万策尽きる(ばんさくつきる):
あらゆる手段や方法を試し尽くして、もはや打つ手がないこと。「万事休す」類。 - 千里眼(せんりがん):
千里先まで見通せる能力。転じて、将来や人の心を見抜く力。 - 万緑叢中紅一点(ばんりょくそうちゅうこういってん):
一面の緑の中に、一つだけ赤い点があること。多くの男性の中にいる一人の女性のたとえ。
(「紅一点」の語源)
「数字」に関する故事成語
(中国の古典や歴史的な出来事に由来する言葉)
- 一を聞いて十を知る:
物事の一部を聞いただけで全体を理解できる。非常に賢明で察しが良いこと。(孔子の言葉から) - 九仞の功を一簣に虧く(きゅうじんのこうをいっきにかく):
ほとんど完成に近いところで、わずかな油断や努力不足のために失敗すること。(『書経』より) - 千慮の一失(せんりょのいっしつ):
どんなに賢い人でも、多くの考えの中には一つくらいは誤りがあるものだということ。(『史記』より)
まとめ
数字を使ったことわざや慣用句、故事成語は、具体的なイメージを伴って意味を伝えてくれるため、非常に分かりやすい表現が多いです。
「一寸先は闇」のように戒めとなるもの「三人寄れば文殊の知恵」のように協力の大切さを説くものなど、内容は多岐にわたります。
これらの言葉を理解し、使いこなすことで表現の幅がぐっと広がることでしょう。
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