九死に一生を得る

慣用句 四字熟語
九死に一生を得る(きゅうしにいっしょうをえる)

13文字の言葉き・ぎ」から始まる言葉
スポンサーリンク

「九死に一生を得る」の意味・語源・由来

意味

ほとんど助かる見込みのない絶望的な状況から、かろうじて命拾いをすること。
死を覚悟するほどの危機から、奇跡的に生還することを表します。
「九死」は「ほとんど死ぬこと」、「一生」は「わずかな生きる可能性」を意味します。

語源・由来

「十死一生」という言葉もありましたが、より可能性の高い「九死一生」が一般的になりました。
なお、「十死一生」は『史記』の「淮陰侯列伝」に登場し、「十回死ぬほどの危険のうち、一度だけ生き残る」という意味で使われています。

「九死に一生を得る」の使い方(例文)

  • 「交通事故で車は大破したが、幸いにもかすり傷で済んだ。まさに九死に一生を得た。」
  • 「登山中に滑落し、意識不明の重体となったが、奇跡的に回復した。九死に一生を得る思いだった。」
  • 「戦場で銃弾が胸をかすめた。まさに九死に一生を得た瞬間だった。」
  • 「大病を患い、医師からは余命宣告を受けたが、最新の治療法が功を奏し、九死に一生を得た。」
  • 「乗っていた飛行機がエンジントラブルに見舞われたが、ベテランパイロットの操縦で無事着陸。九死に一生を得た。」

注意! 間違った使い方

  • 「テストの点が悪かったが、追試で合格できた。九死に一生を得た気分だ。」(✕ 誤用)

※ 命に関わるような状況ではないため、大げさな表現であり、不適切です。

「九死に一生を得る」の類義語

  • 命拾いする(いのちびろいする):死ぬところを助かること。
  • 虎口を脱する(ここうをだっする):非常に危険な場所や状況から逃れること。
  • 死線を越える(しせんをこえる):死の危険を乗り越えること。
  • 危機一髪ききいっぱつ):髪の毛一本ほどのわずかな差で、危険な状態を免れること。
  • 薄氷を踏む(はくひょうをふむ):非常に危険な状況に身を置くこと。
  • 万死に一生を得る万死一生:九死によりも、さらに助かる確率が低い

「九死に一生を得る」の対義語

直接的な対義語はありませんが、反対の状況を表す言葉としては、以下のものが挙げられます。

  • 一巻の終わり:すべてが終わること。絶望的な状況。
  • 万事休す:どうすることもできない状態。
  • 命を落とす:死ぬこと。
  • 即死:一瞬で命を失うこと。
  • 泡沫の夢(うたかたのゆめ):はかなく消えてしまうこと。

使用上の注意点

この言葉は、本当に命の危険があった場合にのみ使うようにしましょう。
軽い失敗や困難に対して使うと、大げさな表現になり、言葉の重みが失われてしまいます。

「九死に一生を得る」に類似した英語表現

Have a narrow escape.

直訳:狭い逃げ道を持つ
意味:かろうじて逃れる、九死に一生を得る

例文:
He had a narrow escape when a car nearly hit him.
(彼はもう少しで車にひかれるところだったが、九死に一生を得た。)

Escape by the skin of one’s teeth.

直訳:歯の皮一枚で逃れる
意味:間一髪で逃れる、九死に一生を得る

例文:
The hiker escaped by the skin of his teeth when he almost fell off the cliff.
(その登山家は崖から落ちそうになったが、九死に一生を得た。)

Cheat death.

直訳:死をだます
意味:死を免れる、九死に一生を得る

例文:
The pilot cheated death when his plane crashed.
(そのパイロットは飛行機が墜落したが、九死に一生を得た)

まとめ

「九死に一生を得る」は、ほぼ助かる見込みのない状況から奇跡的に生還する、非常に強い意味を持つ言葉です。
そのため、軽いトラブルや単なる困難に対して使うのは適切ではありません。本当に命に関わるような出来事にのみ使用し、言葉の重みを大切にしましょう。

コメント