捕らぬ狸の皮算用

ことわざ
捕らぬ狸の皮算用(とらぬたぬきのかわざんよう)

13文字の言葉と・ど」から始まる言葉
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「捕らぬ狸の皮算用」の意味・語源・由来

意味

「捕らぬ狸の皮算用」とは、まだ手に入れていないものを、あたかも手に入れたかのように考えて、あれこれ計画を立てることを意味することわざです。
不確実なことに期待をかけて、結果が出る前から利益を見積もるような、当てにならない計画を指します。
「捕らぬ狸の皮算用」と表記することもあります。

語源・由来

このことわざは、猟師がまだ捕まえてもいない狸の皮を売ることを想像し、そのお金の使い道をあれこれ考えている様子を表しています。
狸の皮は、かつては財布や火を起こす際の火吹き道具などに使われ、高値で取引されることもありました。
しかし、実際に狸を捕まえるまでは、皮が手に入る保証はありません。
このことから、「捕らぬ狸の皮算用」は、不確実な利益を当てにして計画を立てることの愚かさを戒める言葉として使われるようになりました。

「取らぬ狸の皮算用」と「捕らぬ狸の皮算用」どっちが正しい?

どちらの表現も「取らぬ狸の皮算用」と「捕らぬ狸の皮算用」は同じ意味の諺として使われています。
「取らぬ」と「捕らぬ」は表記の違いだけで、意味は同じです。

「取る」と「捕る」はどちらも「手に入れる」という意味を持ちますが、「捕る」は主に動物などを捕まえる場合に使われます。

一般的には「捕らぬ狸の皮算用」のほうがより一般的な表記として使われることが多いですが、どちらも正しい表現として認められています。

「捕らぬ狸の皮算用」の使い方(例文)

  • 「宝くじが当たったら…なんて、捕らぬ狸の皮算用はやめなさい。」
  • 「彼は、まだ契約も取れていないのに、ボーナスの使い道を考えている。捕らぬ狸の皮算用だ。」
  • 「彼女の計画はいつも、捕らぬ狸の皮算用に終わってしまう。」
  • 「まだ企画が通ったわけでもないのに、祝賀会の話をするなんて。とらぬ狸の皮算用だよ。」
  • 「新規事業の成功を確信して大規模な投資をするのは、捕らぬ狸の皮算用になりかねない。」

注意! 間違った使い方

「捕らぬ狸の皮算用」は、「まだ手に入れていないもの」を当てにして計画することを指します。
既に手に入っているものや、ほぼ確実に入手できる見込みがあるものに対して使うのは誤りです。

「捕らぬ狸の皮算用」の文学作品、小説などの使用例

このことわざは、直接的な表現として文学作品に登場することは少ないですが、同様の状況や教訓を描いた物語は数多く存在します。
例えば、イソップ寓話の「乳しぼりの女」は、「捕らぬ狸の皮算用」の典型的な例と言えるでしょう。

乳しぼりの女が、頭にミルクの入った桶を乗せて歩きながら、「このミルクが売れたら卵を買おう。卵がかえったら鶏になり、鶏を売って子豚を買おう。子豚が大きくなったら…」と、どんどん夢を膨らませていきます。
しかし、つまずいて桶を落としてしまい、ミルクは全てこぼれてしまいました。

「捕らぬ狸の皮算用」の類義語・関連表現

類義語(ことわざ・慣用句)

  • 絵に描いた餅:絵に描いた餅は食べられないことから、役に立たない計画や空想のこと。
  • 机上の空論:頭の中だけで考えた、実際には役に立たない理論や計画のこと。
  • 砂上の楼閣:砂の上に建てた高い建物は崩れやすいことから、見かけは立派だが、基礎がしっかりしていないため、すぐに崩れてしまうもののたとえ。
  • 糠喜び(ぬかよろこび):状況が変わって無駄になるような、当てにならない喜び。

関連する概念・心理

このことわざは、「期待」や「計画」と「現実」のギャップに関するものです。以下の言葉も関連性が高いです。

  • 希望的観測:「こうなってほしい」という願望に基づいて物事を判断すること。
  • 過度な期待:現実以上に良い結果を期待すること。
  • リスク管理:将来起こりうる危険を予測し、それに対応策を講じること。

「捕らぬ狸の皮算用」の対義語

  • 石橋を叩いて渡る:非常に用心深く、安全を確認してから物事を行うこと。
  • 堅実な計画:現実的で、着実に実行できる計画。

使用上の注意点

「捕らぬ狸の皮算用」は、相手の計画を批判したり、注意を促したりする際に使う言葉です。
言い方によっては、相手を傷つけたり、やる気をそいだりする可能性があるので、注意が必要です。

「捕らぬ狸の皮算用」に類似した英語表現

Count one’s chickens before they hatch.

直訳:卵がかえる前にひよこを数える。
意味:まだ手に入れていないものを当てにして計画を立てる、捕らぬ狸の皮算用。

例文:
He’s already planning how to spend his bonus, but he hasn’t even been offered the job yet. He’s counting his chickens before they hatch.
(彼はすでにボーナスの使い道を計画しているが、まだ仕事のオファーさえ受けていない。彼は捕らぬ狸の皮算用をしている。)

Don’t sell the bear’s skin before you’ve caught the bear.

直訳:熊を捕まえる前に熊の皮を売るな
意味:捕らぬ狸の皮算用

まとめ

「捕らぬ狸の皮算用」は、不確実なことを当てにして計画を立てることの愚かさを戒めることわざです。
将来の成功を夢見ることは大切ですが、現実的な視点も忘れずに、着実な計画を立てることが重要です。
ビジネスや投資など、リスクを伴う場面では、特にこのことわざを心に留めておきましょう。
過度な期待は禁物、堅実な計画と努力こそが、成功への近道です。

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