灯台下暗し

ことわざ
灯台下暗し(とうだいもとくらし)

9文字の言葉と・ど」から始まる言葉
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「灯台下暗し」の意味・語源・由来

意味

「灯台下暗し」とは、身近なことや近くの事柄ほど意外と気づきにくい、という意味のことわざです。
遠くばかりを見ていると、足元の大切なものを見落としてしまうことを戒める言葉でもあります。

語源・由来

このことわざの語源は、灯し台(ろうそく台)に由来します。

ここでいう「灯し台」とは、現代の海上灯台(lighthouse)ではなく、
江戸時代以前に使われていた室内照明の「灯し台(とうしだい)」や「ろうそく台」を指します。

灯台下暗し

昔の照明は、ろうそくや灯油を使った灯台(燭台)が一般的でした。灯台は周囲を広く照らしますが、その土台のすぐ下は影になり、意外と暗くなります。
この現象が「遠くは明るくても、足元は暗い」という比喩につながり、ことわざとして定着しました。

江戸時代の書物『俚言集覧』には、「灯台下暗しとは、近きを見ずして遠きを知るの意なり」と記されており、当時から「身近なことに気づかない」という意味で使われていたことがわかります。

「灯台下暗し」の使い方(例文)

  • 「財布が見つからないと思ったら、ポケットに入ってたよ。まさに灯台下暗しだね。」
  • 「あの店の美味しいラーメンを知らなかったなんて!地元なのに灯台下暗しだったな。」
  • 「彼は海外にばかり目を向けているが、灯台下暗しで、国内にも素晴らしい技術がたくさんあることに気づいていない。」
  • 「犯人は意外な人物だった。まさに灯台下暗しだ。」

注意! 間違った使い方

  • 「暗くてよく見えない。まるで灯台下暗しだ」(✕ 誤用)

この例文は、単に暗い場所を指しているだけで、ことわざの意味である「身近なことほど気づきにくい」という意味合いが含まれていません。

「灯台下暗し」の文学作品、小説などの使用例

具体的な作品名は挙げにくいですが、ミステリー小説やサスペンスドラマなどでは、犯人や重要な手がかりが、意外なほど身近な場所に隠されているという展開で、「灯台下暗し」の状況がよく描かれます。
例えば、以下のような引用が考えられます。

“捜査は行き詰まっていた。誰もが遠くの容疑者ばかりを追っていたが、真犯人は、被害者の一番身近な場所にいたのだ。まさに、灯台下暗し、であった。”

「灯台下暗し」の類義語

  • 岡目八目(おかめはちもく):当事者よりも、第三者の方が物事の状況をよく理解できること。
  • 紺屋の白袴(こうやのしろばかま):他人のことにばかり忙しくて、自分のことがおろそかになること。
    (※「自分のこと」に気づかない、という意味で共通性があります)
  • 木を見て森を見ず(きをみてもりをみず):細かいことに気を取られて、全体が見えなくなること。
    (※「身近なことに気づかない」という点では共通するが、ニュアンスはやや異なる。)
  • 井の中の蛙(いのなかのかわず):限られた環境の中では、外の世界の広さに気づけないこと
  • 青い鳥症候群 :幸せを求めて遠くばかり探し、身近な幸せに気づかないこと
    (シャルル・ペロー作『青い鳥』に由来)

「灯台下暗し」の対義語

  • 風が吹けば桶屋が儲かる:遠くの出来事が思わぬ形で影響を及ぼすこと
  • 灯火親しむべし(とうかしたしむべし):目の前の機会を活かし、学びを深めるべきこと

使用上の注意点

「灯台下暗し」は、相手に対して「あなたは身近なこと、大切なことに気づいていない」という意味で使うこともできますが、批判的に聞こえる可能性もあります。使う場面や相手には注意しましょう。自分自身への戒めとして使うのが、より無難な使い方です。

「灯台下暗し」に類似した英語表現

It is dark under the lamp.

直訳:灯りの下は暗い。
意味:灯台下暗し(ことわざの直訳に近い表現)。

The darkest place is under the candlestick.

直訳:燭台の下が最も暗い。
意味:灯台下暗し(ことわざの直訳に近い表現)。

One cannot see what is under their nose.

直訳:目の前にあるものは見えにくい。
意味:身近なことほど気づきにくい(「灯台下暗し」に最も近いニュアンスの表現)。

To overlook something that is right under one’s nose.

直訳:鼻の下にあるものを見落とす。
意味:すぐそばにあるものを見落とす(「灯台下暗し」と同じ意味)。

You cannot see the wood for the trees.

直訳:木を見て森を見ず。
意味:細かいことにとらわれて、全体を見失う。
(※「灯台下暗し」とは少し違うが、近い状況で使われることがある)

まとめ

「灯台下暗し」は、近くのことほど見落としがちであるという戒めの言葉です。  
日常生活やビジネスシーンでもよく使われる表現なので、意識して使ってみましょう。  
身の回りをもう一度見直せば、新しい発見があるかもしれませんね!

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