紺屋の白袴

ことわざ 慣用句
紺屋の白袴(こうやのしろばかま)
異形:こうやのしろはかま、こんやのしろばかま、こんやのしろはかま

9文字の言葉こ・ご」から始まる言葉
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意味・教訓

「紺屋の白袴」とは、他人のことにばかり忙しく、自分のことは後回しになってしまうことのたとえです。
自分のことをおろそかにしてしまう状況を表し、周囲への貢献と自己管理のバランスを取ることの難しさを示唆しています。
このことわざは、自己犠牲の精神は尊い一方で、自分自身を大切にすることも忘れてはならないという教訓を含んでいます。

語源・由来

「紺屋(こうや)」とは、布を藍色に染める染物屋のことです。
紺屋は、日々、他人の着物や布を染める仕事に追われています。
そのため、自分の袴は染める暇がなく、いつも白いまま(染めていないまま)である、ということからこのことわざが生まれました。
他人のことばかりに気を使い、自分のことがおろそかになっている状況を表しています。

使用上の注意点

「紺屋の白袴」は、やや皮肉めいたニュアンスを含むことわざです。
使う相手や状況には注意が必要です。
目上の人や、あまり親しくない人に使うのは避けたほうが良いでしょう。

使用される場面と例文

「紺屋の白袴」は、他人のために尽力する人が、自分のことを疎かにしてしまっている状況を指摘する際に使われます。

例文

  • 「彼は、いつも地域ボランティアで忙しくしているが、自分の家のことは何もできていない。まさに紺屋の白袴だ。」
  • 「彼女は、他人の相談に乗ってばかりで、自分の仕事が進まない。紺屋の白袴にならないように気を付けなければ。」
  • 「毎日、顧客対応に追われ、自分のスキルアップのための勉強が全くできていない。これでは紺屋の白袴だ。」
  • 「人の世話ばかり焼いて、自分のことは後回し。それでは紺屋の白袴だよ。」

類義語

  • 医者の不養生(いしゃのふようじょう):
    医者が他人の健康には気を配るが、自分の健康管理はおろそかにしがちなこと。
  • 坊主の不信心(ぼうずのふしんじん):
    僧侶が他人に説教をするが、自分自身は信仰心が薄いこと。
  • 髪結いの乱れ髪(かみゆいのみだれがみ):
    髪結いは他人の髪は綺麗に結うが、自分の髪は手入れが行き届かず乱れていること。
  • 大工の掘っ立て(だいくのほったて):
    大工は他人の立派な家を建てるが、自分の家は粗末なままであること。

関連語

  • お節介:必要以上に他人のことに口出ししたり、世話を焼いたりすること。
  • 献身:自分の身を捧げて尽くすこと

対義語

※特定の決まった対義語はありませんが、意味が反対になる言葉をいくつか紹介します。

  • 我が身を磨く(わがみをみがく):自分自身を向上させることに努めること。
    (自己の成長に重点を置いている。)
  • 自己研鑽(じこけんさん):自分自身の能力や人格を高めるために努力すること。
    (自己啓発に焦点を当てている。)

英語表現(類似の表現)

  • The cobbler’s children go barefoot.
    直訳:靴屋の子供は裸足で歩く。
    意味:他人のために仕事をする人は、自分のことがおろそかになりがちである、という意味です。
  • The shoemaker’s son always goes barefoot.
    直訳:靴屋の息子はいつも裸足だ。
    意味:上記の表現とほぼ同義です。

まとめ

「紺屋の白袴」は、他人のために忙しく働く人が、自分のことは後回しになってしまう状況を表すことわざです。
この言葉は、周囲への貢献も大切ですが、自分自身を大切にすることも忘れてはならないという、教訓を含んでいます。
類語も多く、さまざまな職業に当てはめて使うことができます。
ただし、皮肉を込めて使われることもあるので、使用する際には注意が必要です。

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