六日の菖蒲十日の菊

ことわざ 慣用句
六日の菖蒲十日の菊(むいかのあやめとおかのきく)
異形:6日の菖蒲10日の菊

13文字の言葉」から始まる言葉
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意味

「六日の菖蒲十日の菊」とは、時期が過ぎて役に立たなくなったもののたとえ。手遅れで、もはや何の役にも立たないこと、無駄なこと、という意味です。

五月五日の節句に飾る菖蒲(しょうぶ、あやめ)も、九月九日の重陽の節句に飾る菊も、その日を過ぎれば意味がないことから、手遅れで役に立たないことを意味するようになりました。

なお、「菖蒲」を「あやめ」と読むのは、古くは「あやめ」が「しょうぶ」を含む広い範囲の植物を指していた名残です。

語源・由来

このことわざは、菖蒲や菊が特定の節句にのみ意味を持つという、日本の伝統的な風習に由来します。
菖蒲は、端午の節句(五月五日)に邪気を払うために用いられ、菊は重陽の節句(九月九日)に長寿を願って飾られました。
これらの植物が、節句を過ぎるとその効力や意味を失うと考えられていたことから、この言葉が生まれたとされています。
正確な初出は不明ですが、江戸時代にはすでに使われていたようです。

使用上の注意点

このことわざは、単に時期が遅れたことだけでなく、「もはや意味がない」「手遅れ」というニュアンスを含んでいます。
したがって、少し遅れただけで、まだ挽回可能な場合には適さない場合もあります。

例:
「提出期限が1日過ぎたレポートは、減点されるかもしれませんが、『六日の菖蒲十日の菊』とまでは言えません。」

使用される場面と例文

「六日の菖蒲十日の菊」は、機会を逃してしまい、もはや手遅れであることを表す際に用いられます。

例文

  • 「試験が終わった後に参考書を買っても、六日の菖蒲十日の菊だ。」
  • 「イベント終了後に宣伝を始めても、六日の菖蒲十日の菊だよ。」
  • 「期限切れのクーポンを見つけても、六日の菖蒲十日の菊でしかない。」
  • 「過ぎ去ったチャンスに今さら気づいても、六日の菖蒲十日の菊というものだ。」

類義語

  • 後の祭り:事が終わった後で、何かをしても手遅れであること。
  • 時すでに遅し:手遅れであること。
  • 後悔先に立たず:後になって悔やんでも、取り返しがつかないこと。
  • 覆水盆に返らず:一度してしまったことは、取り返しがつかないこと。

関連する時間の概念

  • 逸機(いっき): 機会を逃すこと。
  • 機を失する(きをしっする): ちょうど良い時期・機会を逃すこと。

対義語

  • 先んずれば人を制す:他人より先に行動すれば、有利な立場に立てること。
  • 思い立ったが吉日:何かをしようと思ったら、その日を吉日としてすぐに始めるのが良いということ。
  • 善は急げ(ぜんはいそげ):良いことは、ためらわずにすぐに行うべきということ。
  • 遅かりし由良之助(おそかりしゆらのすけ): 時期を逃してしまって手遅れなこと。

英語表現(類似の表現)

  • Too little, too late.
    意味:少なすぎるし、遅すぎる。
  • It’s too late to shut the stable door after the horse has bolted.
    直訳:馬が逃げた後で馬小屋の扉を閉めても遅すぎる。
    意味:手遅れであること。
  • Locking the barn door after the horse is stolen.
    直訳:馬が盗まれた後で納屋の戸を閉める。
    意味:手遅れ。後の祭り。
  • Missed the boat.
    意味:機会を逃した。
  • “It’s no use crying over spilled milk.”
    意味:こぼれたミルクを嘆いても無駄): 済んでしまったことを悔やんでも仕方がない。
    (「六日の菖蒲十日の菊」の「手遅れ」のニュアンスに通じます。)

まとめ

「六日の菖蒲十日の菊」は、時期を逃して役に立たなくなったものを指すことわざです。
節句を過ぎた菖蒲や菊が意味をなさなくなるように、タイミングを逸すると価値が失われることを示唆しています。
この言葉は、手遅れであること、機会を逃すことの無意味さを伝える際に用いられます。

重要なのは、タイミング。
好機を逃さぬよう、日ごろからの準備と、迅速な決断、そして行動が大切である、という教訓として受け止めたいものです。

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