「虎は死して皮を留め人は死して名を残す」の意味・語源・由来
意味
虎は死後に美しい毛皮を残し、その価値が認められるように、人は死後、生前の功績や良い行いによって後世に評価されるべきである、という意味のことわざです。
人が生きる上で、名誉や功績を残すことの重要性を示唆しています。
単に名声を得るだけでなく、立派な行いをして、後世に名を残すように生きるべきだという教訓を含んでいます。
語源・由来
このことわざは、日本のことわざであるという説が有力ですが、確実な典拠は不明です。
虎の毛皮が珍重され、価値あるものとして扱われることと、人の名声や功績が後世まで残ることとを対比させています。
江戸時代以降に広く使われるようになったと考えられ、武士道精神や儒教的な価値観とも結びつき、人の生き方を示す教訓として広まったと推測されます。
「虎は死して皮を留め人は死して名を残す」の使い方(例文)
- 「彼は、まさに『虎は死して皮を留め人は死して名を残す』を体現した人生を送った。」
- 「政治家たるもの、『虎は死して皮を留め人は死して名を残す』という言葉を胸に刻んで職務に励むべきだ。」
- 「研究に一生を捧げた彼女は、『虎は死して皮を留め人は死して名を残す』の言葉通り、その業績を後世に残した。」
- 「『虎は死して皮を留め人は死して名を残す』。君も、何か後世に残せるようなことを成し遂げたいとは思わないか?」
- 「祖父は常々、『虎は死して皮を留め人は死して名を残す』と言って、私たちに立派な生き方を教えてくれた。」
「虎は死して皮を留め人は死して名を残す」の文学作品などの用例
山岡荘八の歴史小説『徳川家康』で、このことわざが使われています。
「虎は死して皮をのこし、人は死して名をのこすという。死んで名をのこすような仕事の出来る人間になれ」
「虎は死して皮を留め人は死して名を残す」の類義語
- 名を竹帛(ちくはく)に垂る:竹簡や絹の書物、転じて歴史書や記録に名を残すこと。
- 芳名を後世に流す/伝える:良い評判や名声を後世に残すこと。
- 名を残す:死後も名前が残ること。
使用上の注意点
このことわざは、立派な行いや功績によって名を残すことを勧めるものであり、単なる名声欲を肯定するものではありません。
また、現代では、「名を残す」ことだけが人生の価値ではないという考え方も一般的です。
このことわざを使う際には、文脈や相手の価値観に配慮する必要があります。
「虎は死して皮を留め人は死して名を残す」の英語表現
A tiger leaves its skin, and a man leaves his name.
意味:虎は皮を残し、人は名前を残す。(ことわざを直訳した表現です。)
例文:
He lived his life by the saying, ‘A tiger leaves its skin, and a man leaves his name.’
(彼は「虎は死して皮を留め人は死して名を残す」という言葉を胸に生きていた。)
A leopard dies and leaves its spots; a man dies and leaves his name.
直訳:豹は死んで斑点を残し、人は死んで名前を残す。
意味:虎の代わりに豹(leopard)を使って表現されることもあります。
まとめ
「虎は死して皮を留め人は死して名を残す」は、人が生きていく上で、立派な行いをして後世に名を残すことの重要性を示したことわざです。
現代社会においても、このことわざが示唆する生き方は、多くの人々に共感を呼ぶでしょう。
ただし、必ずしも全ての人にとって「名を残すこと」が人生の目的ではない、ということも心に留めておく必要があります。
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