意味・教訓
「天災は忘れた頃にやってくる」とは、地震、台風、洪水などの自然災害は、人々がその脅威を忘れかけた頃に、不意打ちのように発生するという教えです。
過去の災害の記憶が薄れ、防災意識が低下した時に、再び災害が起こる可能性を警告し、日頃からの備えの重要性を説いています。
語源・由来
この言葉は、物理学者であり随筆家でもあった寺田寅彦(てらだとらひこ)の言葉として広く知られています。
しかし、寺田寅彦自身の著作には、この言葉と全く同じ表現は見つかっていません。
彼の残した文章や講演録の中に、この言葉の趣旨と一致する内容が散見されることから、それらが集約され、後世にこの形で広まったと考えられています。
特に、彼の防災に関する随筆「天災と国防」「震災日記より」などには、自然災害の予測の難しさや、人間の油断に対する警鐘が記されており、このことわざの背景にある考え方を示しています。
使用される場面と例文
「天災は忘れた頃にやってくる」は、自然災害への警戒を促す場面や、防災意識の向上を呼びかける際に使われます。
また、過去の教訓を忘れがちな人間への戒めとしても用いられます。
例文
- 「天災は忘れた頃にやってくると言うから、日頃から防災グッズを準備しておこう。」
- 「大きな地震からしばらく経つけど、天災は忘れた頃にやってくるという言葉を忘れずに、気を引き締めないとね。」
- 「防災訓練なんて面倒だと言う人もいるけど、天災は忘れた頃にやってくるんだから、真剣に取り組むべきだよ。」
- 「過去の津波の被害を風化させないためにも、天災は忘れた頃にやってくるということを、次の世代にも語り継いでいく必要がある。」
類義語
- 喉元過ぎれば熱さを忘れる:苦しい経験も、過ぎ去ってしまえば簡単に忘れてしまうことのたとえ。
- 油断大敵:油断は失敗のもとであるから、最大の敵である。
関連語
- 防災(ぼうさい):災害を未然に防ぎ、被害を最小限に抑えるための対策。
- 減災(げんさい):災害による被害をできるだけ少なくするための対策。
関連する科学の概念
- 地震学:地震の発生メカニズムや伝播、影響などを研究する学問。
- 気象学:大気中で起こるさまざまな現象を研究する学問。
対義語
直接的な対義語はありませんが、以下に、対照的な意味合いを持つ表現を挙げます。
- 備えあれば憂いなし:事前に準備をしておけば、心配事はない。(このことわざは、災害への備えの重要性を説いており、「天災は忘れた頃にやってくる」と併せて用いられることもあります。)
英語表現(類似の表現)
- Disasters come when they are least expected.
意味:災害は予期せぬ時にやってくる。 - Natural disasters strike when people forget about them.
意味:自然災害は人々がそれらを忘れた時に襲ってくる。
使用上の注意点
このことわざは、自然災害への警戒を促すものですが、過度な不安を煽るべきではありません。
「忘れた頃に」という表現は、あくまで人間の防災意識が時間とともに薄れがちであることを指摘するものであり、具体的な時期を予測するものではないことを理解しておく必要があります。
重要なのは、過去の教訓を忘れず、日頃から適切な備えをしておくことです。
まとめ
「天災は忘れた頃にやってくる」は、自然災害の恐ろしさと、人間の油断に対する警鐘を鳴らす言葉です。
過去の災害の記憶が薄れ、防災意識が低下した時に、再び災害が起こる可能性を指摘し、日頃からの備えの重要性を説いています。
このことわざを心に刻み、防災意識を高く持ち続けることが、私たち自身の安全を守る上で不可欠です。
定期的に防災グッズを見直したり、避難経路を確認したりするなど、具体的な行動につなげていくことが大切です。
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