麒麟も老いては駑馬に劣る

ことわざ
麒麟も老いては駑馬に劣る(きりんもおいてはどばにおとる)

14文字の言葉き・ぎ」から始まる言葉
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意味

優れた才能を持つ者(麒麟)でも、年老いて衰えると、並の能力の者にも及ばなくなるという意味のことわざです。

才能や能力は永遠に続くものではなく、年齢や状況によって変化することを表しています。
どんなに優れた人でも、努力を怠ったり、慢心したりすれば、その能力は衰えてしまうという戒めも込められています。

語源・由来

このことわざは、中国の故事に由来します。
「麒麟(きりん)」は、中国の伝説上の霊獣で、優れた才能や人格を持つ人物の象徴とされています。
「駑馬(どば)」は、足の遅い馬、才能のない人物のたとえです。

出典は、『戦国策』や『説苑』などの文献に見られますが、直接的に「麒麟も老いては駑馬に劣る」という形で記されているわけではありません。
これらの文献にある、才能ある者も老いには勝てない、という意味の記述が、後にことわざとして定着したと考えられます。

伝説の生物「麒麟」

ここで言う「麒麟」は、動物園などにいる「キリン」とは違います。

使用される場面と例文

「麒麟も老いては駑馬に劣る」は、主に、才能がある人でも、年齢や衰えには逆らえないことを示す場面で使われます。
また、若い人に対して、努力を怠らないように促す文脈でも使われます。

例文

  • かつて天才と呼ばれた彼も、「麒麟も老いては駑馬に劣る」で、今では普通のサラリーマンだ。
  • 麒麟も老いては駑馬に劣る」というから、若い頃から努力を続けることが大切だ。
  • ベテラン選手も、「麒麟も老いては駑馬に劣る」とならないように、日々のトレーニングを欠かさない。
  • どんなに優れた技術も、「麒麟も老いては駑馬に劣る」で、常に磨き続けなければ、いずれは失われてしまう。

類義語

  • 獅子も老いぬれば犬に欺かる(ししもおいぬればいぬにあざむかる): 強い者でも老いてしまえば弱い者に馬鹿にされる。
  • 英雄も老いには勝てぬ(えいゆうもおいにはかてぬ): どんな英雄でも、年齢による衰えには勝てない。
  • 昔の剣今の菜刀(むかしのつるぎいまのながたな):昔は鋭い剣も、今は錆びて野菜を切る包丁にしかならない。才能も使わなければ衰えるということ。

関連する哲学の概念

  • 諸行無常(しょぎょうむじょう):
    この世のすべてのものは、常に変化し、永遠に変わらないものはないという仏教の教えです。「麒麟も老いては駑馬に劣る」は、この諸行無常の考え方を、人の能力に当てはめたものと解釈できます。

対義語

  • 老いてますます壮んなり(おいてますますさかんなり): 年をとっても、ますます意欲的で元気であること。
  • 老当益壮(ろうとうえきそう): 年をとるほどますます盛んになるべきである。
  • 老い木に花咲く(おいきにはなさく):老いて衰えた木にも花が咲くように、盛りを過ぎた人が再び勢いを取り戻すこと。

英語表現(類似の表現)

  • Even Homer sometimes nods.
    直訳:ホメロスでさえ、時には居眠りをする。
    意味:どんなに優れた人でも、時には失敗をする。
  • Time and tide wait for no man.
    直訳:歳月人を待たず
    意味:時間の流れは誰にも止められない。
    (「麒麟も老いては~」の「老い」や「変化」の側面に通じます。)
  • The best of men are but men at best.
    直訳:どんなに優れた人でも所詮は人。
    意味:人間は不完全な存在である。

使用上の注意点

このことわざは、能力の衰えを指摘する際に使われるため、相手や状況によっては失礼にあたる可能性があります。
高齢者や、かつて才能を発揮していた人に直接使うのは避けた方が良いでしょう。
一般論として、または自分自身への戒めとして使うのが適切です。
この点を常に意識し、慎重に使うようにしましょう。

まとめ

「麒麟も老いては駑馬に劣る」は、優れた才能を持つ者でも、老いや衰えには勝てないという、普遍的な真理を表すことわざです。
この言葉は、私たちに、若さや才能に慢心せず、常に努力を続けることの大切さを教えてくれます。
また、変化を受け入れ、しなやかに生きることの重要性を示唆しているとも言えるでしょう。

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