鉄は熱いうちに打て

ことわざ
鉄は熱いうちに打て(てつはあついうちにうて)

11文字の言葉て・で」から始まる言葉
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意味

「鉄は熱いうちに打て」とは、物事を成し遂げるには、タイミングが重要であり、関係者の意欲や熱意が高いうちに、迅速に行動することが肝心だという教えです。

鉄を加工するためには、熱くて柔らかいうちに叩いて形を作る必要がある、ということから転じて、このことわざが生まれました。

関係者の熱意があるうちに実行しないと、後では問題が生じたり、やる気が失われたりして、物事がうまくいかなくなる可能性があることを示唆しています。

語源・由来

このことわざは、鍛冶屋(かじや)が鉄を加工する様子に由来します。
熱した鉄は、冷えると硬くなってしまい加工が難しくなります。
そのため、柔軟性がある熱いうちに、目的の形に打ち鍛える(鍛錬する)必要があります。
この様子から、物事も関係者の熱意があるうちに実行しないと、あとでは手遅れになる、という教訓として使われるようになりました。
英語のことわざ”Strike while the iron is hot.”が元になっているという説もありますが、日本でも古くから鍛冶の技術は存在し、似たような表現は存在したと考えられます。

使用される場面と例文

「鉄は熱いうちに打て」は、教育、ビジネス、プロジェクトの推進など、さまざまな場面で、好機を逃さずに行動することの重要性を示すために使われます。

例文

  • 新製品への関心が高まっているいま広告を出すべきだ。鉄は熱いうちに打てだ。
  • 意欲が高いうちに新しいことに挑戦してみるといいよ。鉄は熱いうちに打てというからね!
  • お客様が興味を示しているうちに契約を結ぶべきです。鉄は熱いうちに打てという諺にもあるように、タイミングが重要です。

文学作品等での使用例

夏目漱石の小説『坊っちゃん』より

「全く鉄は熱いうちに打てと云うからね、早速明日から」

この一文では、「鉄は熱いうちに打て」ということわざを用いて、坊っちゃんが数学教師(山嵐)に柔道を勧められ、承諾するシーンが描かれています。
山嵐は、坊っちゃんが着任早々で意欲的であり、また、同僚の赤シャツに対抗するためには、今すぐに行動を起こすべきだと考えて、このことわざを使いました。

類義語

  • 善は急げ:良いと思ったことは、ためらわずにすぐ実行に移すべきだということ。
  • 思い立ったが吉日:何かをしようと思い立ったら、その日を吉日と思ってすぐに始めるのが良いということ。
  • 先んずれば人を制す:他人より先に行動を起こせば、有利な立場に立てること。
  • 機先を制す(きせんをせいす):先手を取って、相手を抑えること。
  • 好機逸すべからず(こうきいっすべからず):良い機会は逃してはならない。

関連する心理学の概念

  • ツァイガルニク効果:
    人は、達成できた事柄よりも、達成できなかった事柄や中断している事柄の方をよく覚えているという心理現象です。
    「鉄は熱いうちに打て」を実践し、早めに着手することで、中途半端な状態を防ぎ、記憶に残りやすくなるかもしれません。

対義語

英語表現(直訳と、ことわざの意味)

  • Strike while the iron is hot.
    直訳:鉄が熱いうちに打て。
    意味:機会を逃さずに行動せよ。「鉄は熱いうちに打て」に最も近い英語表現です。
  • Make hay while the sun shines.
    直訳:日が照っているうちに干し草を作れ。
    意味:好機を生かせ。
  • There is a tide in the affairs of men.
    直訳:人の仕事には潮時がある。
    意味:何事にも絶好の機会があり、それを逃してはならない。
    (シェイクスピアの戯曲『ジュリアス・シーザー』のセリフより)

使用上の注意点

時と場合によっては、熟考することも大切です。
「鉄は熱いうちに打て」は、状況をよく判断した上で、行動を促す言葉として使うと良いでしょう。

まとめ

「鉄は熱いうちに打て」は、物事には適切なタイミングがあり、関係者の意欲や熱意が高いうちに、時期を逃さずに行動することが大切だという教えです。
このことわざは、ビジネス、教育、個人的な目標達成など、さまざまな場面で活用できます。
状況に応じて、スピードと慎重さのバランスを取りながら、この教訓を活かしていきましょう。

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