「急いては事を仕損じる

ことわざ
急いては事を仕損じる(せいてはことをしそんじる)

12文字の言葉せ・ぜ」から始まる言葉
スポンサーリンク

意味

「急いては事を仕損じる」とは、焦って急ぐと、かえって失敗しやすくなるという意味です。
物事を成し遂げるためには、冷静に、着実に、順序立てて進めることが大切であり、急ぐあまりに手順を省略したり、注意を怠ったりすると、良い結果は得られないという教訓を含んでいます。

由来・語源

このことわざの正確な由来は特定されていませんが、古くから日本で使われてきたことわざであり、人々の経験則から生まれた言葉と考えられます。
「急いては(せいては)」は、「急ぐと」という意味です。
「事を仕損じる(ことをしそんじる)」は、「物事をやりそこなう」「失敗する」という意味です。
急がば回れ」と似た状況で使われますが、「急いては事を仕損じる」は、より「焦ること」の弊害に焦点を当てています。

使用される場面と例文

「急いては事を仕損じる」は、主に以下のような場面で使われます。

  • 焦って失敗した人をなだめる時
  • 急いでいる人に、落ち着くよう忠告する時
  • 計画や準備の重要性を説く時

例文

  • 「試験勉強、一夜漬けでやろうとしたけど、全然頭に入らなかった。急いては事を仕損じる、って本当だね。」
  • 「そんなに慌てて作業したら、ミスをするよ。急いては事を仕損じる、っていうから、落ち着いて。」
  • 「企画書の提出、急ぐのは分かるけど、内容が伴わないと意味がない。急いては事を仕損じる、だよ。」
  • 「結婚は焦らない方がいい。急いては事を仕損じる、ということもある。」
  • 「新しいプロジェクト、早く結果を出したいのは分かるけど、まずはしっかりと計画を立てよう。急いては事を仕損じる、にならないように。」

類義語

焦りは禁物ということを表すことわざは多く存在します。

  • 急がば回れ:急ぐ時ほど、危険な近道よりも、安全で確実な遠回りを選んだ方が、結果的に早く着く。
  • 短気は損気:短気を起こすと、結局は自分の損になる。
  • 慌てる乞食は貰いが少ない:焦って行動するとかえって得るものが少なくなるという教え。
  • 念には念を入れよ:物事は十分すぎるほどに確認して、手落ちのないようにせよ、という意味。

関連する概念・心理

  • 焦燥感(しょうそうかん):焦って、いらいらする気持ち。
  • 時間割引(じかんわりびき):将来の価値よりも、目先の利益を優先してしまう心理傾向。
  • 正常性バイアス:異常事態に直面したときに、「これは正常の範囲内である」と判断し、危険性を過小評価してしまう心理的傾向。

対義語

「急いては事を仕損じる」の対義語は、迅速に行動することの重要性を示す言葉です。

  • 善は急げ:良いことは、ためらわずにすぐに行うべきであるという意味。
  • 思い立ったが吉日:何かをしようと思い立ったら、その日が吉日と思ってすぐに始めるのが良いという意味。
  • 機を見るに敏(きをみるにびん):チャンスを逃さず、すぐに行動すること。

使用上の注意点

「急いては事を仕損じる」は、「何事もゆっくりやれば良い」という意味ではありません。
時には、迅速な判断や行動が求められることもあります。
大切なのは、状況に応じて、冷静に判断し、適切なペースで物事を進めることです。

英語表現(類似の表現)

Haste makes waste.

直訳:急ぐことは無駄を生む。
意味:急ぐと失敗しやすく、かえって時間や労力を無駄にする。

例文:
Take your time and do it right. Haste makes waste.
(時間をかけて、きちんとやりなさい。
急いては事を仕損じる、だよ。)

More haste, less speed.

直訳:急げば急ぐほど、速度は落ちる。
意味:急ぐと、かえって効率が悪くなる。

例文:
Don’t rush the project. More haste, less speed.
(プロジェクトを急がないで。
急いては事を仕損じる、だよ。)

Slow and steady wins the race.

直訳:ゆっくりと着実に進む者が競争に勝つ
意味:焦らず着実に進めば、最後には良い結果がでる。
例文:
You don’t need to solve the problem all at once. Slow and steady wins the race.
(一度に問題を解決する必要はありません。ゆっくり着実な人が競争に勝ちます。)

まとめ

「急いては事を仕損じる」は、焦って急ぐと、かえって失敗しやすくなるという意味のことわざです。
物事を成し遂げるためには、冷静に、着実に進めることが大切であるという教訓を示しています。

最も重要なのは、このことわざを「焦らないための言い訳」として使うのではなく、「冷静さを保つための指針」として捉えることです。
状況に応じて、スピードと正確さのバランスを取りながら、最善の結果を目指すことが大切です。

コメント