「急がば回れ」の意味・語源・由来
意味
急いでいる時こそ、危険な近道よりも安全で確実な本道を選んだ方が、結果的に早く目的を達成できるという教えです。 一見遠回りに見える方法でも、焦らずに着実な手段を取るべきという戒めの言葉として使われます。
何事も焦りは禁物であり、特に重要な局面では冷静な判断が求められることを意味しています。
急いでいるからといって、危険な道や方法を選ぶことは、失敗やトラブルの原因となります。
確実に成功するためには、安全な方法を選ぶことが重要であり、結果的にその方が早く目的地に到達できる、という教訓です。
語源・由来
室町時代の連歌師である宗長(そうちょう)が詠んだ歌が由来とされています。
その歌とは、 「もののふの矢走らす道はゆみじくもなれし道にいそがば回れ」 というものです。
「もののふ」とは武士のことを指し、「矢走らす」とは「矢を射る」という意味です。
「ゆみじくも」とは、弓を射るように真っ直ぐな道のことです。
この歌は、 「武士が矢を射る道(戦場のこと)では、弓を射るように真っ直ぐな道(近道)を進みたくなるだろうが、たとえ慣れた道であっても、急ぐ時は遠回りをせよ」 という意味です。
戦場という危険な場所では、急いでいる時こそ、危険を避けて安全な道を行くべきだ、という教訓を歌ったものです。
この歌が「急がば回れ」の語源になったと言われています。
「急がば回れ」の使い方(例文)
- 初めてのプログラミング学習は難しいかもしれないが、急がば回れで基礎からしっかり学ぶことが重要だ。
- 受験勉強は長期戦だ。急がば回れで、毎日コツコツと学習を続けることが合格への近道となる。
- 山道を歩く時は、急がば回れだ。危険な近道は避け、安全なルートを選ぼう。
注意! 間違った使い方
- 今日中に終わらせなければならない仕事があるのに、急がば回れで、明日の朝からゆっくり始めよう。
この場合、「急がば回れ」は適切な表現ではありません。 緊急性の高い状況では、迅速な対応が求められるため、ことわざの意味と矛盾してしまいます。 あくまでも、安全かつ確実性を優先すべき場面で使う表現です。
「急がば回れ」の類語
- 急いては事を仕損じる:焦って行動すると失敗するという意味。
- 慌てる乞食は貰いが少ない:焦ると損をするという意味。
- 石橋を叩いて渡る:非常に用心深く行動する様子の例え。
「急がば回れ」の対義語
- 善は急げ:良いと思ったことは、ためらわずにすぐ実行すべきだという意味。
- 乗りかかった船:物事を始めたら、最後までやり通さなければならないという意味。
- 後悔先に立たず:終わってしまったことは取り返しがつかないという意味。
「急がば回れ」の英語表現
Make haste slowly.
「ゆっくり急げ」という意味で、一見矛盾しているように見えますが、着実な前進が重要であることを示しています。
例文:
You should make haste slowly when you learn a new language.
(新しい言語を学ぶときは、ゆっくり急ぐべきです。)
More haste, less speed.
急ぐほど遅くなるという意味で、急ぎすぎるとミスにつながることを示しています。
例文:
Don’t rush your work. More haste, less speed.
急いで仕事をしないで。急ぐほど遅くなるから。)
まとめ
「急がば回れ」は、物事を急ぐあまり危険な方法を選ぶよりも、安全で確実な方法を選んだ方が結果的に早く目的を達成できるという教訓です。
一見遠回りに見える方法でも、焦らずに着実な手段を取ることが重要であり、特に重要な局面では冷静な判断が求められることを意味します。
このことわざは、現代社会においても、ビジネス、学習、日常生活など、あらゆる場面で役立つ教訓と言えるでしょう。
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