意味・教訓
「待てば海路の日和あり」とは、焦らずに待っていれば、そのうち海が穏やかになり、航海に適した良い天気になる、という意味です。
転じて、今は状況が悪くても、辛抱強く待てば、必ず良い機会が訪れるという希望と忍耐の教訓を表しています。
どんなに困難な状況でも、希望を捨てずに待つことの大切さを説いています。
語源・由来
このことわざは、海が荒れて船が出せない状況でも、じっと待っていれば、必ず穏やかな航海日和がやってくる、という漁師や船乗りたちの経験則に由来すると考えられます。
「海路」とは、船で進む道、航路のこと。
「日和」とは、空模様、天候、特に晴天のことを指します。
古くから、人々は自然の力の前には無力であり、時化(しけ)が収まるのを待つしかありませんでした。
そこから、人生においても、焦らず待つことの重要性を説くことわざとして、広く使われるようになったのでしょう。
使用上の注意点
このことわざは、単に「何もしないで待てば良い」という意味ではありません。
状況を改善するための努力や準備をしながら、好機が訪れるのを待つ、という積極的な姿勢が重要です。
「待つ」ことと「何もしない」ことを混同しないように注意しましょう。
また、「待てば必ず良いことがある」と保証するものではありません。
あくまで、希望を持って待つことの価値を説く言葉です。
使用される場面と例文
「待てば海路の日和あり」は、ビジネス、恋愛、試験、病気療養など、さまざまな場面で、困難な状況を乗り越えるための励ましの言葉として使われます。
また、焦る気持ちを抑え、冷静に判断するための戒めとしても用いられます。
例文
- 「今は仕事がうまくいかないけど、待てば海路の日和ありと言うから、もう少し頑張ってみよう。」
- 「失恋したばかりで辛いけど、待てば海路の日和あり。きっと新しい出会いがあるよ。」
- 「試験の結果が不安だけど、待てば海路の日和あり。焦らずに結果を待とう。」
- 「病気で入院中だけど、待てば海路の日和あり。必ず良くなると信じて治療に専念しよう。」
類義語
- 果報は寝て待て:幸運は焦らずに待つのが良い。
- 急がば回れ:急いでいる時ほど、安全で確実な方法を選ぶべきである。
- 石の上にも三年:冷たい石の上でも三年座り続ければ暖まるように、辛抱強く耐えれば必ず成功する。
- 雨降って地固まる:雨が降った後は地面が固くなるように、揉め事の後はかえって良い結果や安定した状態を保てるようになることのたとえ。
- 沈黙は金:むやみに発言するよりも、沈黙を守っている方が価値があるということ。
- 成るように成る(なるようになる):物事は、人間の力が及ばないところで、定められた方向に進んでいく。
- 人事を尽くして天命を待つ:人間としてできる限りのことをしたら、あとは静かに天の意思に任せるしかない。
関連する経済学の概念
- 機会費用:
ある行動を選択したことによって失われた、別の行動を選択した場合に得られたであろう利益。
対義語
- 善は急げ(ぜんはいそげ):良いと思ったことは、ためらわずにすぐ実行すべきである。
- 思い立ったが吉日:何かをしようと思い立ったら、その日を吉日と思ってすぐに始めるのが良い。
- 先んずれば人を制す:他人より先に行動を起こせば、有利な立場に立つことができる。
- 鉄は熱いうちに打て:鉄は熱して軟らかいうちに鍛えなければならないように、人は柔軟性のある若いうちに鍛えることが大事だということ。また、物事を行うには、時期を逃さず、熱意のあるうちにするのが良いということ。
- 機を見るに敏(きをみるにびん):好機を捉えるのが素早いこと。
- 今日の一針、明日の十針(きょうのひとはり、あすのとおはり):ほころびを今日のうちに一針縫っておけば、明日の十針の手間が省ける。手遅れにならないうちに早く処置をすることのたとえ。
- 後悔先に立たず:物事が終わった後で悔やんでも、取り返しはつかない。
英語表現
- Everything comes to him who waits.
直訳:待つ者には全てが訪れる。
意味:忍耐強く待てば、最終的には望むものが手に入る。 - Patience is a virtue.
意味:忍耐は美徳である。 - Time will tell.
意味:時が経てばわかる。
まとめ
「待てば海路の日和あり」は、困難な状況でも、希望を捨てずに辛抱強く待てば、必ず良い機会が訪れるという教訓を表すことわざです。
「待つ」ことは、決して無駄な時間ではなく、力を蓄え、状況を見極め、次の行動への準備をするための大切な時間です。
焦らず、諦めず、希望を持って待つことの大切さを、このことわざは教えてくれます。
ただし、待つだけでなく、状況を打開するための努力も忘れないようにすることが肝要です。
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