人事を尽くして天命を待つ

ことわざ
人事を尽くして天命を待つ(じんじをつくしててんめいをまつ)

15文字の言葉し・じ」から始まる言葉
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意味

「人事を尽くして天命を待つ」とは、人間としてできる限りのことをしたら、あとは静かに天の定めた運命に従う、という意味のことわざです。
最善を尽くした上で、結果は運命に委ねるという心構えを表しています。

語源・由来

「人事を尽くして天命を待つ」は、中国の古典に直接の出典は見当たりません。
しかし、この言葉の背景には、中国の思想、特に儒教の考え方が深く関わっています。

儒教の影響

儒教では、「人事を尽くす」、つまり人間としての努力を最大限に行うことが重視されます。
同時に、人の力には限界があり、「天命」、すなわち天の意思や運命には逆らえないという考え方もあります。

胡寅(こいん)の言葉

宋の時代の儒学者、胡寅(こいん)の『読史管見』という書物の中に「尽人事待天命」という言葉があり、これが「人事を尽くして天命を待つ」の元になったという説が有力です。

使用される場面と例文

「人事を尽くして天命を待つ」は、主に以下のような場面で使われます。

  • 努力の重要性を強調する場面
  • 結果が不確実な状況で、最善を尽くすことを促す場面
  • 結果が出た後、自分の努力を肯定的に捉え、運命を受け入れる場面

例文

  • 「試験に向けてできる限りの勉強をした。あとは人事を尽くして天命を待つだけだ。」
  • 「プロジェクトの成功のために、全力を注いだ。人事を尽くして天命を待つ心境だ。」
  • 「プレゼンテーションは完璧だった。人事を尽くして天命を待つしかない。」
  • 「手術は成功したと聞いた。あとは、人事を尽くして天命を待つばかりだ。」

注意点

  • 努力を放棄する言い訳にしない
    「人事を尽くして天命を待つ」は、努力を放棄するための言葉ではありません。
    あくまで、最善を尽くした上での心構えを示す言葉です。
  • 「やれることはやった」という自己満足で終わらせない
    「人事を尽くした」という自己評価が甘い場合もあります。常に改善の余地がないか、反省することも大切です。

類義語

  • 一意専心(いちいせんしん): 他事に心を向けず、ひたすら一つのことに心を集中すること。
  • 全力を尽くす:持てる力のすべてを出し切ること。
  • ベストを尽くす:最善を尽くすこと。
  • 成るように成る: 物事はそのように決まっている。
  • 運を天に任せる:運を天にゆだねる。

関連する哲学の概念

  • ストア哲学:人間の力ではどうにもならないことを受け入れ、自分の力で変えられることに集中するという考え方。ストア派。

対義語

  • 射幸心(しゃこうしん):偶然の利益や成功を当てにする心。
  • 他力本願:自分の努力ではなく、他人の力に頼ること。
  • 無為無策:何もせず、何の対策も立てないこと。

英語表現(類似の表現)

  • Do your best and leave the rest to God.
    直訳:最善を尽くし、あとは神に任せなさい。
  • Do what you can, and then let fate take its course.
    直訳:できることをして、あとは運命に任せなさい。
  • Man proposes, God disposes.
    直訳:人が計画し、神が決める。
    意味:人が計画しても、それをどうするかは神が決める、つまり人知ではどうにもならないことがある。

まとめ

「人事を尽くして天命を待つ」は、人間としてできる限りの努力をした上で、結果は運命に委ねるという心構えを表すことわざです。
努力の重要性を強調すると同時に、人の力の限界を認め、謙虚な姿勢を持つことの大切さを示しています。
結果がどうであれ、「自分はやれるだけのことはやった」という納得感は、前向きに生きる力となるでしょう。
自己成長の過程と捉える事も重要かもしれません。


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