意味
「明日は明日の風が吹く」とは、先のことを心配しても仕方がない、なるようになる、という意味のことわざです。
未来は予測不可能であり、その時々で状況は変わるのだから、今できることに集中し、あとは流れに身を任せようという、前向きな考え方を表しています。
語源・由来
このことわざの正確な初出は不明です。
しかし、古くから人々の間で使われてきた言葉であり、同様の考え方は、様々な文学作品や宗教、哲学の中に見出すことができます。
風は、自然現象の代表的なものであり、その動きは予測が難しいことから、「移り気」や「不確実性」の象徴として用いられてきました。
「明日は明日の風が吹く」は、このような風の性質を、人の運命や世の中の出来事に重ね合わせ、未来に対する心構えを説いたものと考えられます。
使用される場面と例文
「明日は明日の風が吹く」は、主に将来の見通しが立たない状況や、結果を気にしすぎる人に対して、気持ちを楽にするように促すために使われます。
例文
- 試験の結果がどうなるか心配だけど、明日は明日の風が吹くと思って、今はゆっくり休もう。
- 新しいプロジェクトがうまくいくか不安だけど、明日は明日の風が吹くと言うし、まずはできることから始めよう。
- 彼女に告白しようか迷っているけど、明日は明日の風が吹く。当たって砕けろの精神でいくぞ。
- 就職活動がなかなかうまくいかない…でも、明日は明日の風が吹くと信じて頑張ろう。
文学作品等での使用例
マーガレット・ミッチェルの小説『風と共に去りぬ』では、主人公のスカーレット・オハラが、困難な状況に直面した際に、この言葉を心の中で繰り返す場面があります。
After all, tomorrow is another day.
この「明日は明日の風が吹く」に相当する台詞は、スカーレットの不屈の精神と、未来への希望を象徴する言葉として、世界中で広く知られています。
この小説の原題は”Gone with the Wind”ですが、直訳すると「風と共に去りぬ」です。
類義語
- 人事を尽くして天命を待つ:人間としてできる限りのことをしたら、あとは天の意思に任せるしかないという意味。
- なるようになる:成り行きに任せるしかない、という意味。
- 行き当たりばったり(ゆきあたりばったり):その場その場の状況に応じて行動する様子。
- ケセラセラ(Que sera, sera):スペイン語で「なるようになる」という意味。
関連する禅の概念
- 放下著(ほうげじゃく): 執着を捨て去ること。
禅の教えでは、過去や未来へのとらわれを捨て、今この瞬間に集中することの重要性が説かれています。
「明日は明日の風が吹く」は、この放下着の考え方にも通じるものがあると言えるでしょう。
対義語
- 備えあれば憂いなし:普段から準備をしておけば、いざという時に心配がないという意味。
- 先んずれば人を制す:他人より先に行動を起こせば、有利な立場に立てるという意味。
- 転ばぬ先の杖:失敗しないように、前もって用心することのたとえ。
- 石橋を叩いて渡る:非常に用心深く、念には念を入れて物事を行うことのたとえ。
英語表現(類似の表現)
- Tomorrow is another day.
直訳:明日は別の日。
意味:今日がどんなに悪くても、明日はまた新しい一日が始まる、という希望を込めた表現。 - What will be, will be.
意味:なるようになる。 - Let it be.
意味:あるがままに。
まとめ
「明日は明日の風が吹く」は、未来のことは誰にも予測できないのだから、心配しすぎず、今できることに集中しよう、というメッセージが込められたことわざです。
先のことをあれこれ悩むよりも、その時々の状況を受け入れ、柔軟に対応していくことの大切さを教えてくれます。
今日がどんなに大変でも、明日はまた新しい一日が始まるという希望を忘れずにいたいものです。
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