意味・教訓
「捨てる神あれば拾う神あり」とは、世の中、一方で見捨てられることがあっても、他方で救いの手を差し伸べられることがある、という意味のことわざです。
たとえある人や場所で不要とされても、別の場所では必要とされる可能性がある、という希望を示唆しています。
人生には様々な局面がありますが、一つの道が閉ざされても、必ず別の道が開けるという教訓を含んでいます。
このことわざは、失業、失恋、人間関係のトラブルなど、人生の様々な困難に直面した人々を励ます言葉として用いられます。
語源・由来
「捨てる神」と「拾う神」は、それぞれ特定の実在する神を指すわけではありません。
「神」は、ここでは人知を超えた力や運命、あるいは世間一般を指すと解釈できます。
由来は明確ではありませんが、古くから日本人に根付いている「縁」や「運」の思想と関連していると考えられます。
「袖振り合うも多生の縁」ということわざがあるように、日本人は人との出会いや別れを、単なる偶然ではなく、何らかの因果関係や運命として捉える傾向があります。
このことわざも、そのような日本人の考え方を反映していると言えるでしょう。
使用される場面と例文
「捨てる神あれば拾う神あり」は、主に以下のような場面で使われます。
- 失業やリストラなどで職を失った人を励ます時
- 失恋や離婚などでパートナーを失った人を慰める時
- 何らかの理由で所属していたグループから外された人を勇気づける時
- 事業に失敗した人などを再起を促す時
例文
- 「会社をクビになったけど、捨てる神あれば拾う神ありで、すぐに新しい仕事が見つかったよ。」
- 「彼氏に振られたけど、捨てる神あれば拾う神ありって言うし、きっともっといい人に出会えるはず。」
- 「今回のプロジェクトからは外されたけど、捨てる神あれば拾う神あり。別のチャンスが必ず来る。」
- 「事業は失敗に終わったが、捨てる神あれば拾う神ありの精神で、また新たな挑戦を始めるつもりだ。」
物語での例
赤鼻のトナカイ ルドルフ:
赤い鼻を理由に仲間外れにされていたトナカイのルドルフ。
しかし、その鼻がクリスマスの夜にサンタクロースの役に立ち、一躍ヒーローに。
欠点と思われたものが、実は才能だったという物語は、このことわざを体現しています。
類義語
- 人間万事塞翁が馬:人生における幸不幸は予測できず、幸が不幸に、不幸が幸に転じることもあるという意味。
- 禍福は糾える縄の如し(かふくはあざなえるなわのごとし):幸福と不幸は、より合わせた縄のように交互にやってくるものだということ。
- 沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり(しずむせあればうかぶせあり):人生には悪い時もあれば良い時もあるというたとえ。
関連語
- 一期一会:一生に一度だけの出会いであるという茶道の心得。人との出会いを大切にすることの教え。
- 袖振り合うも多生の縁:道で人と袖が触れ合うような些細なことも、前世からの因縁によるものだという仏教の教え。
対義語
英語表現(類似の表現)
- When one door shuts, another opens.
意味:一つのドアが閉まれば、別のドアが開く。 - Every cloud has a silver lining.
直訳:すべての雲は銀の裏地を持っている。
意味:どんな悪いことにも良い面がある。 - There are plenty more fish in the sea.
意味:海にはたくさんの魚がいる。(失恋した相手を慰める際に使われる表現。)
まとめ
「捨てる神あれば拾う神あり」は、人生において困難や挫折を経験しても、必ず別の道が開けるという希望を教えてくれることわざです。
失業、失恋、人間関係のトラブルなど、様々な場面で人々を励まし、勇気づける言葉として使われます。
このことわざは、古くから日本人に根付いている「縁」や「運」の思想を反映しており、一つの道が閉ざされても、別の場所で必ず救いの手が差し伸べられるという、前向きな考え方を表しています。
この言葉を胸に刻んでおけば、どんな困難にも立ち向かうことができるでしょう。
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