「いろはかるた」とは?歴史と「江戸かるた」と「上方かるた」の比較

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いろはかるたとは?

いろはかるたは、日本の伝統的なカードゲームの一つであり、ことわざを覚えるための教材としても使われてきました。

「いろはかるた」と呼ばれるものには、「江戸かるた」「上方かるた」そして、上方かるたの中でも特に京都のものを指す「京かるた」などがあります。
いずれも、48枚の読み札と、それぞれに対応する48枚の取り札、合計96枚の札で構成されています。
各組の札には、「いろは歌」の仮名文字と、それに対応することわざ(またはそれに準ずる句)が書かれています。

「いろはにほへと ちりぬるを…」で始まる「いろは歌」は、全ての仮名を重複なく使った歌です。
いろはかるたは、この「いろは歌」の順に、ことわざや教訓を当てはめたものです。
ただし、「京」の字はいろは歌には含まれないため、京かるたでは通常、最後に「京の夢 大阪の夢」という句が加えられます。

いろはかるたの魅力は、遊びながら自然にことわざを覚えられること、そして、そのことわざを通して、昔の人々の知恵や教訓に触れられることにあります。
子供にとっては学習の道具として、大人にとってはコミュニケーションツールや、人生のヒントを得るきっかけとして、幅広い世代に親しまれています。

「いろはかるた」と「百人一首」の違い

いろはかるたは、同じく日本の伝統的なカードゲームである百人一首と比較されることもあります。
百人一首が和歌を題材としているのに対し、いろはかるたは「ことわざ」を題材としている点が大きな違いです。
百人一首がより優雅で技巧を凝らしているのに対して、いろはかるたは庶民的で、より日常の生活、教訓に密着しています。

いろはかるたの歴史

いろはかるたの起源ははっきりとは分かっていませんが、室町時代末期から江戸時代初期にかけて成立したという説があります。

上方かるたは、慶長年間(1596年-1615年)に京都で作られたものが最古であるとする説が有力で、江戸かるたはこれより少し遅れて成立したと考えられています。
当初は、子供たちの学習教材として、また、庶民の娯楽として広まりました。
いろはかるたは、単なる遊び道具ではなく、ことわざを通して道徳や教訓を伝える役割も担っていました。

明治時代以降も、いろはかるたは形を変えながら現代まで受け継がれています。
戦時中には、「愛国かるた」などの戦意高揚を目的としたかるたも作られました。

現代では、伝統的なデザインのものだけでなく、キャラクターやご当地の特色を取り入れたユニークな「現代版いろはかるた」も登場しています。

「江戸かるた」と「上方かるた」の違い。そして多様性

いろはかるたは、地域によって使われていることわざが異なります。
代表的なものとしては、江戸かるた上方かるたの2つが挙げられます。
しかし、特に上方かるたには非常に多くのバリエーションがあり、ここに挙げるのはあくまで一例です。
上方かるたの中でも、特に京都で作られ、京都の文化や風俗を反映したものを「京かるた」と呼ぶことがあります。京かるたは、より洗練された絵柄や、京都独特の言い回しが特徴です。

「江戸かるた」と「上方かるた」の比較(代表例)

仮名江戸かるた上方かるた(京かるたを含む)
※代表例
犬も歩けば棒に当たる一寸先は闇
論より証拠論語読みの論語知らず
花より団子針の穴から天のぞく
憎まれっ子世にはばかる二階から目薬
骨折り損のくたびれ儲け仏の顔も三度
屁をひって尻つぼめる下手の長談義
年寄りの冷や水豆腐に鎹
塵も積もれば山となる地獄の沙汰も金次第
旅律義者の子沢山綸言汗のごとし
盗人の昼寝糠に釘
瑠璃も玻璃も照らせば光る類を以て集まる
老いては子に従え鬼も十八
破鍋に綴蓋笑う門には福来る
かったいの瘡うらみ蛙の面に水
葭の髄から天井(天上)を見る夜目遠目笠のうち
旅は道連れ立て板に水
良薬は口に苦し連木で腹を切る
総領の甚六袖振り合うも多生の縁
月とすっぽん月夜に釜を抜く
念には念を入れよ猫に小判
泣きっ面に蜂済す時の閻魔顔
楽あれば苦あり来年のことを言えば鬼が笑う
無理が通れば道理引っ込む馬の耳に風
嘘から出た実氏よりは育ち
芋の煮えたもご存じなく鰯の頭も信心から
喉元過ぎれば熱さを忘れる鑿と言わば槌
鬼に金棒負うた子に教えられて浅瀬を渡る
臭い物に蓋臭い物に蝿がたかる
安物買いの銭失い闇に鉄砲
負けるが勝ち蒔かぬ種は生えぬ
芸は身を助くる下駄と焼味噌
文を遣るにも書く手は持たぬ武士は食わねど高楊枝
子は三界の首枷これに懲りよ道斎坊(道才坊)
得手に帆を上げる縁の下の力持ち
亭主の好きな赤烏帽子寺から里へ
頭隠して尻隠さず足下から鳥が立つ
三遍回って煙草にしょ竿の先に鈴
聞いて極楽見て地獄鬼神に横道なし
油断大敵幽霊の浜風
目の上のたんこぶ盲の垣覗き
身から出た錆身は身で通る
知らぬが仏吝ん坊の柿の種
縁は異なもの縁の下の舞
貧乏暇なし瓢箪から駒
門前の小僧習わぬ経を読む餅は餅屋
背に腹はかえられぬ聖は道によって賢し
粋は身を食う雀百まで踊り忘れぬ
京の夢大阪の夢京に田舎あり

なぜ地域によってことわざが異なるのか、その理由ははっきりとは分かっていません。
しかし、それぞれの地域の文化や風俗、言葉の違いなどが影響していると考えられます。

現代版いろはかるた:ユニークなバリエーションを紹介

伝統的な「いろはかるた」をベースに、現代的なアレンジを加えた「現代版いろはかるた」も数多く登場しています。

ご当地かるた

  • 「上毛かるた」(群馬県)
  • 「さいたま郷土かるた」(埼玉県)
  • 「加賀郷土かるた」(石川県)
  • 「琉球歌加留多」(沖縄県)

…など全国に多数「ご当地かるた」が存在します。

SDGsかるた

SDGsの目標をかるたにしたもの。

以下のページから、ダウンロード&印刷して「SDGsかるた」を自分で作成することができます。

キャラクター、テレビ番組かるた

これらの現代版いろはかるたは、子供たちの学習意欲を高めたり、地域振興に貢献したり、企業理念の浸透を図ったりと、さまざまな目的で活用されています。

いろはかるたの遊び方

いろはかるたの基本的な遊び方は、以下の通りです。

  1. 準備
    • 読み札(48枚)と取り札(48枚)を用意します。
    • 読み手を一人決めます。
    • 取り札を、参加者の周りに広げます。
  2. ゲーム開始
    • 読み手は、読み札を一枚ずつ読み上げます。
    • 参加者は、読み上げられた句に対応する取り札を探して取ります。
  3. 勝敗
    • 最も多くの取り札を取った人が勝ちです。

■ バリエーション

  • 散らし取り:取り札を全て表向きに広げ、読み札に対応する札を取る、最も基本的な遊び方。
  • 源平合戦:2つのチームに分かれ、取り札を取り合う対戦形式。
  • 坊主めくり:読み札だけを使い、順番に札をめくっていく遊び方。「坊主」の札を引いた人が負け、など、ローカルルールがあります。

まとめ:いろはかるたは、時代を超えて愛される日本の文化

いろはかるたは、単なる遊び道具ではなく、日本の文化や歴史、そして人々の知恵が詰まった貴重な財産です。
子供から大人まで、幅広い世代が楽しみながら学べる、優れたコミュニケーションツールでもあります。
近年では、現代版いろはかるたも登場し、その魅力はさらに広がっています。
いろはかるたは、今後も時代を超えて、多くの人々に愛され続けることでしょう。

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