「犬も歩けば棒に当たる」の意味・語源・由来
意味
犬も歩けば棒に当たるということわざには、主に二つの意味があります。
一つ目は、何か行動を起こせば、思いがけない幸運に巡り合う可能性があるという意味です。
外に出て歩き回る犬が棒に当たるように、積極的に行動することで、良いことや悪いことに遭遇するというたとえです。
二つ目は、でしゃばったり、余計なことをすると災難にあうという意味です。
うろつき歩く犬が人に棒で打たれることを想像するとわかりやすいでしょう。
語源・由来:
このことわざの語源は、江戸時代中期に作られた「いろはかるた」の一つであるとされています。
「いろはかるた」は、ことわざを仮名文字に合わせて覚えやすくしたもので、子供たちの教育にも使われました。 「い」の札に「犬も歩けば棒に当たる」と書かれていたことから、このことわざが広く知られるようになったと言われています。
元々は、災難に遭う方の意味で使われていたという説が有力です。
「犬も歩けば棒に当たる」の使い方(例文)
- 「宝くじなんて当たらないだろうと思っていたけど、犬も歩けば棒に当たるって言うし、買ってみようかな。」
- 「毎日家でゴロゴロしてないで、犬も歩けば棒に当たるの精神で、何か新しい趣味でも始めよう。」
- 「犬も歩けば棒に当たるっていうから、積極的に行動してみたら、思わぬ出会いがあった。」
- 「今回のプロジェクト、失敗するかもしれないけど、犬も歩けば棒に当たるかもしれないから、挑戦してみる価値はある。」
注意! 間違った使い方
- 「彼は犬も歩けば棒に当たるような行動ばかりしているから、いつもトラブルに巻き込まれる。」
(この文脈だと、「いつも幸運に恵まれるような行動」という意味にはなりにくく、「いつも災難にあうような行動」というネガティブな意味合いに捉えられやすいです。)
「犬も歩けば棒に当たる」の文学作品などの用例
夏目漱石の小説『吾輩は猫である』の中で、次のような一節があります。
「全く犬も歩けば棒に当ると云う世の中だから油断も隙もあったものではない。」
この一節では、「災難に遭う」方の意味で使われています。
世の中はいつ何が起こるかわからないから、油断できない、という意味合いです。
「犬も歩けば棒に当たる」の類義語
- 果報は寝て待て:幸運は焦らずに待つのが良い。
- 蒔かぬ種は生えぬ:何もしなければ良い結果は得られない。
- 当たるも八卦当たらぬも八卦:占いの結果は当たることもあれば外れることもあるように、何事も予測できない。
- 一寸先は闇:未来のことは誰にもわからない。
- 災い転じて福となす:悪いこと(災い)が良いこと(福)のきっかけになる。
- 人間万事塞翁が馬: 人生の幸不幸は予測できない。
「犬も歩けば棒に当たる」の対義語
- 虎穴に入らずんば虎子を得ず:危険を冒さなければ、大きな成果は得られない。
(幸運を得るには積極的に行動すべき、という意味で対義語といえる。)
使用上の注意点
「犬も歩けば棒に当たる」は、文脈によって二つの意味に解釈できるため、誤解を招かないように注意が必要です。
どちらの意味で使っているのかを明確にするために、前後の文脈で補足説明を加えるなどの工夫をすると良いでしょう。
「犬も歩けば棒に当たる」の英語表現
Something unexpected may happen when you go out.
(出かけると思いがけないことが起こるかもしれない。)
例文: You never know what you’ll find. Something unexpected may happen when you go out.
Every dog has his day.
(誰にでも得意な時や幸運な時期がある。)
※「犬も歩けば棒に当たる」の「幸運に巡り合う」というニュアンスに近い表現。
例文: Don’t give up. Every dog has his day.
まとめ
「犬も歩けば棒に当たる」は「幸運」と「災難」の両方の意味を持つことわざです。
行動すれば何かに出会うことを表し、良いことも悪いこともあり得ます。
このことわざの由来や類似表現を知ることで、日常会話で適切に使えるようになります。
行動することの大切さと、世の中の予測できない性質を教えてくれる言葉です。
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