「一寸の虫にも五分の魂」の意味・語源・由来
意味
一寸(約3センチメートル)ほどの小さな虫にも、その半分(五分)ほどの魂が宿っている、という意味です。
小さく弱いものでも、それ相応の意地や誇り、感情を持っているのだから、どんな相手でも侮ったり軽んじたりしてはいけない、という戒めの言葉です。
また、小さいものにも存在価値があるという考え方を示すこともあります。
語源・由来
直接的な出典は不明ですが、江戸時代の文献などにすでに見られることわざです。
また、日本には古くから「弱い者を侮るな」という価値観があり、それがことわざとして形を成したと考えられます。
仏教の「一切衆生悉有仏性(いっさいしゅじょうしつうぶっしょう)」、つまり、すべての生き物には仏性(仏になる可能性)があるという思想が背景にあるとも言われています。
小さな虫にも命があり、魂が宿っているという考え方は、日本人の生命観や自然観を反映していると言えるでしょう。
「一寸の虫にも五分の魂」の使い方(例文)
- 「小さくても、一寸の虫にも五分の魂。彼なりのプライドがあるんだ。」
- 「一寸の虫にも五分の魂。弱い相手でも、侮れば手痛い反撃を受けることがある。」
- 「一寸の虫にも五分の魂と言うでしょう。誰にでも意地があるのよ。」
- 「あの会社は小さいが、一寸の虫にも五分の魂で、独自の技術を持っている。」
注意! 間違った使い方
- 「彼は、一寸の虫にも五分の魂で、とても体が大きい。」(✕ 誤用)
※「一寸の虫にも五分の魂」は体の大きさとは関係なく、小さくても立派なものを持っているというたとえです。
「一寸の虫にも五分の魂」の類義語
- 山椒は小粒でもぴりりと辛い: 体は小さくても、才能や力量が優れていて侮れないことのたとえ。
- 小さくても針は呑まれぬ: 小さなものでも、それなりの存在価値や力があることのたとえ。
- 舐めてかかると痛い目に遭う: 相手を侮ってかかると酷い目にあう
「一寸の虫にも五分の魂」の対義語
使用上の注意点
「一寸の虫にも五分の魂」は、相手を侮らないように戒める文脈で使われることが多いですが、相手に「あなたは小さく弱い存在だ」と受け取られる可能性もあるため、慎重に使う必要があります。
例えば、目上の人に対しては適切ではなく、同僚や目下の人に向けて使う場合も注意が必要です。
「一寸の虫にも五分の魂」に類似した英語表現
Even a worm will turn.
意味: 虫けらでさえも反撃してくる。おとなしい者でも、いじめられ続ければ反撃に出る。
例文:
Don’t push him too far. Even a worm will turn.
(彼をあまり追い詰めるな。どんなおとなしい人でも、我慢の限界を超えれば反撃する。)
The smallest dog barks the loudest.
直訳:一番小さな犬が一番大きな声で吠える。
意味: 小さく弱いものほど、自分を大きく見せようとする。小さい犬ほどよく吠える。(自分の存在を主張する。)
例文:
He talks big, but does little. Smallest dog barks the loudest.
(彼は大口をたたくが、実行は伴わない。小さい犬ほどよく吠える。)
まとめ
「一寸の虫にも五分の魂」は、小さく弱いものでも、それ相応の意地や誇りを持っているのだから、侮ってはいけないという戒めのことわざです。
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