「二度あることは三度ある」の意味 – 繰り返される出来事への警句
「二度あることは三度ある」とは、一度起きた出来事は再び起こりやすく、二度起きたことは、さらに繰り返して三度目も起こる可能性が高い、という意味を表わすことわざです。
この言葉は、良いことにも悪いことにも理論上は使えますが、実際には悪い出来事や不運、失敗などが繰り返される状況で使われることが圧倒的に多いです。
これは、過去の経験から「嫌なことは重なるものだ」という感覚や、同じ過ちを繰り返さないようにという警戒心が根底にあるためでしょう。
そのため、単に事実を述べるだけでなく、注意を促したり、油断を戒めたりするニュアンスを強く含んでいます。
「二度あることは三度ある」の語源 – 経験則から生まれた言葉
このことわざに、特定の人物や出来事といった明確な語源はありません。
古くから人々が経験的に「同じような出来事は繰り返されるものだ」と感じてきた、その実感から生まれた言葉と考えられています。
失敗や不運が続いた経験が、「二度あるなら、三度目もあるかもしれない」という警句になったのでしょう。
興味深いことに、英語にも「Trouble comes in threes.」(災いは3つやってくる)という類似表現があり、出来事の繰り返しに対する感覚は、世界共通のものと言えそうです。
「二度あることは三度ある」が使われる場面と例文 – 失敗や不運の繰り返しに
「二度あることは三度ある」は、主に好ましくない出来事が続いた際に、「また同じことが起こるのではないか」という懸念や警戒心を示す場面で使われます。
例文
- 「先月もシステム障害があったばかりなのに、またトラブルだ。二度あることは三度あると言うし、根本的な原因を突き止めないと。」
- 「彼は重要な会議で、これまで二度も同じような言い間違いをしている。二度あることは三度ある。次回のプレゼンは特に注意深く準備してほしい。」
- 「今年に入ってから、すでに二回も大きな台風が接近した。二度あることは三度あるとも言うから、防災グッズの見直しをしておこう。」
- 「あのチーム、前回、前々回と終盤で逆転負けを喫している。二度あることは三度ある。今日の試合も最後まで油断できないぞ。」
使用上の注意点 – 良いことには使う?
基本的に悪い出来事が続く際に使われることわざですが、稀に良いことについて使われる場合もあります。
例えば、「彼は宝くじで二度も高額当選した。二度あることは三度ある、次も当たるかもしれない」のような使い方です。
しかし、これは一般的な用法とは言えず、聞く人によっては違和感を覚えるかもしれません。
良いことの繰り返しを期待する場合は、「柳の下にいつも泥鰌はいない」(一度うまくいったからといって、次も同じようにうまくいくとは限らない)という言葉もあるように、幸運の再現性は低いと考えるのが自然でしょう。
「二度あることは三度ある」は、あくまで警戒や注意喚起を促す言葉として捉えるのが適切です。
「二度あることは三度ある」の類義語 – 繰り返される失敗や不運
- 同じ轍を踏む(おなじてつをふむ):
前の人と同じ失敗を繰り返すこと。 - 前車の覆るは後車の戒め(ぜんしゃのくつがえるはこうしゃのいましめ):
前の車の転覆は、後の車への警告となること。他者の失敗から学ぶべきという教訓。 - 仏の顔も三度まで:
どんなに温厚な人でも、何度も無礼なことをされれば怒ること。「三度」が共通するが、我慢の限界を示す言葉。
※出来事の反復そのものを指すわけではない点で注意が必要。
「二度あることは三度ある」の対義語 – 繰り返しを断ち切る意識
直接的な意味で完全に対になることわざは多くありませんが、出来事の繰り返しに対して異なる見方や結果を示す言葉があります。
- 三度目の正直:
一度目、二度目はうまくいかなくても、三度目には成功する、または期待通りの結果になること。
※「二度あることは三度ある」が三度目の失敗や不運を予期させるのに対し、こちらは三度目の成功を期待させる点で対照的。
「二度あることは三度ある」の英語での類似表現
英語にも、「二度あることは三度ある」と似たニュアンスを持つ表現が存在します。
- Things happen in threes. / Trouble comes in threes.
意味:物事は3回起こるものだ/災いは3つやってくる。特に悪いことが重なる状況での表現。 - It never rains but it pours.
直訳:降れば必ず土砂降り。
意味:悪いことは重なるものだ、ということ。「二度」や「三度」といった回数には触れないが、不運が続く状況を示す。 - Lightning never strikes the same place twice.
直訳:雷は同じ場所に二度落ちない。
意味:同じような珍しい出来事(特に不運)は、二度も起こらないものだ、ということ。
※「二度あることは三度ある」とは逆の意味合いだが、皮肉として「いや、また起こるかも」というニュアンスで使われることもある。なお、科学的には雷は同じ場所に落ちることがある。
まとめ – 「二度あることは三度ある」を戒めとして活かす
「二度あることは三度ある」は、特に悪い出来事が繰り返されやすいという、経験から生まれた警句です。
これは単なる迷信ではなく、「油断への戒め」として心に留めておくべき言葉です。 もし不運が二度続いたなら、それは三度目を防ぐために原因を見つめ直し、対策を講じるべきサインと捉えましょう。
このことわざは、未来への備えを促す、実践的な知恵と言えるでしょう。
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