「出物腫れ物所構わず」の意味・語源・由来
意味
「出物腫れ物所構わず」とは、屁(おなら)や腫れ物(ニキビ・おでき等)のように、時と場所を選ばずに出てきてしまうものがあるというたとえです。
「出物」には、「その季節に初めて出回るもの」や「掘り出し物」といった意味もありますが、このことわざでは「意図せずに出てきてしまう/できてしまうもの」を指します。
「(人前で)出てしまうと困るもの」の代表として「屁」、そして「いつどこにできるか予測できないもの」の代表として「腫れ物」が挙げられています。
このことわざは、「予期できないこと」「自分の意思でコントロールできないこと」という2つの意味が含まれています。生理現象や体の不調など、自分の意志ではコントロールできないことが、時と場所を選ばずに起こりうるという、ある種の諦観やユーモアを含んだ表現です。

語源・由来
「出物腫れ物所構わず」の語源について、明確な文献資料は見当たりませんでした。
江戸時代の文献やことわざ辞典にも記載がないことから、比較的新しいことわざである可能性も考えられます。
しかし、このことわざは、古くから人々の間で語り継がれてきた経験則に基づいていると考えられます。
昔から、予期せぬ体調不良や、突然できる腫れ物、そして人前で出てしまうと恥ずかしい屁は、人々にとって避けられない悩みでした。
時と場所を選ばず起こるこれらの出来事を、簡潔かつ的確に、そして少しユーモラスに表現したのがこのことわざです。
「出物腫れ物所構わず」の使い方(例文)
- 「静まり返った会議中に、盛大におならをしてしまった。出物腫れ物所構わずとは言うけれど、本当に恥ずかしかった。」
- 「結婚式を目前に控えた花嫁の顔に吹き出物ができてしまった。まさに出物腫れ物所構わずだ。」
- 「旅行中に突然の腹痛に襲われた。出物腫れ物所構わずとは言うけれど、本当に困った。」
- 「楽しみにしていたデートの日に限って、ひどい口内炎ができてしまった。全く、出物腫れ物所構わずだ。」
「出物腫れ物所構わず」の類義語
「出物腫れ物所構わず」の対義語
- 予定調和: あらかじめ定められた筋書きどおりに事が運び、何の波乱もないこと。
使用上の注意点
「出物腫れ物所構わず」は、基本的にはネガティブな状況で使われることが多いことわざです。
予期せぬ良い出来事に対して使うこともありますが、本来の意味からは外れるため、注意が必要です。
「出物腫れ物所構わず」に類似した英語表現
Time and tide wait for no man.
直訳:時と潮は人を待たない
意味:歳月は人の都合など構わず過ぎていく、という意味ですが、「出物腫れ物所構わず」と近い意味でも使用される場合があります。
例文:
The deadline is approaching. Time and tide wait for no man.
(締め切りが近づいている。時は人を待たない。)
Accidents will happen. / Shit happens.
意味:事故は起こるものだ/悪いことは起こるものだ。(Shit happens.はスラングなので使用には注意が必要。)
例文:
Don’t worry about the broken vase. Accidents will happen.
(割れた花瓶のことは気にしないで。事故は起こるものだから。)
Nature calls.
直訳:自然が呼んでいる。
意味:トイレに行きたい、という婉曲表現。生理現象に関しては、この表現が近い意味を表すこともあります。
まとめ
「出物腫れ物所構わず」は、予期せぬ出来事が時や場所を選ばずに起こることを表すことわざです。
人生には、良いことも悪いことも、予測できないことが起こりうるという教訓を含んでいます。
このことわざを心に留めておくことで、突然の出来事にも冷静に対処できるようになるかもしれません。
また、普段から準備や心構えをしておくことの大切さも教えてくれます。
まとめ
「出物腫れ物所構わず」は、予期せぬ出来事が時や場所を選ばずに起こることを表すことわざ。
人生、良いことも悪いことも、思い通りにならないことだらけ…という、ちょっとした諦めと教訓が込められています。
静まり返った会議中のおなら、大事な日の前の吹き出物…。
「出物腫れ物所構わず」は、そんな「しまった!」という状況で、自分や他人を慰めるための、ちょっとユーモラスな言い訳としても使われます。
「いや~、出物腫れ物所構わずって言うじゃないですか…」なんて言えば、場が和む…かもしれません。
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