寝耳に水

ことわざ
寝耳に水(ねみみにみず)

6文字の言葉」から始まる言葉
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「寝耳に水」の意味・語源・由来

意味

寝耳に水とは、思いがけない出来事や知らせに、びっくりすることのたとえです。
寝ている時に、耳に水が入ってくるような、全く予期していなかったことが突然起こる、という状況を表しています。

青天の霹靂」と似た意味で使われますが、「寝耳に水」は、より日常的な場面での驚きを表すことが多いです。

語源・由来:

「寝耳に水」の語源は、文字通り、寝ている時に耳に水が入ってくる、という状況から来ています。 寝ている時に、耳に水が入ってくると、誰でも驚き、飛び起きるでしょう。

この予期せぬ出来事を、思いがけない出来事や知らせに例えたのが、このことわざです。
具体的な文献や人物に由来するというよりも、人々の生活の中での経験則から生まれたことわざと考えられます。

江戸時代には、このことわざが広く使われていたことが確認されています。

「寝耳に水」の使い方(例文)

  • 彼の突然の退職は、私にとって寝耳に水だった。
  • 親友の結婚の知らせは、まさに寝耳に水だった。
  • 寝耳に水の話で、一瞬何が起こったのか理解できなかった。
  • 彼女の昇進は、同僚たちにとって寝耳に水だった。
  • 寝耳に水」の出来事に、どう対応すれば良いかわからない。

注意! 間違った使い方

このことわざは、基本的には誤用されにくいですが、以下のような使い方は不適切です。

  • 予想できたことに対して、「寝耳に水」と言う。(予想外の出来事を表す言葉なので不適切)
  • 些細なことに対して、「寝耳に水」と言う。(大げさな表現になるので不適切)

「寝耳に水」の文学作品などの用例

「寝耳に水」という言葉そのものが使われることもありますし、突然の出来事に驚く場面は、多くの文学作品で描かれています。 予期せぬ事件や、意外な人物の登場など、「寝耳に水」の状況が、物語の展開を大きく左右することがあります。

「寝耳に水」が使われている文学作品や、それに該当するエピソードをいくつか紹介します。

日本文学

  • 夏目漱石『こころ』
    先生が「K」の突然の死を知る場面は、まさに「寝耳に水」。Kと共に下宿生活を送っていた先生は、Kの自殺を予期しておらず、衝撃を受ける。
  • 太宰治『斜陽』
    主人公の「かず子」が、没落していく家庭の現実を次々と知る場面は、「寝耳に水」の連続。
    特に、母の病状が急変する場面や、兄がさらに堕落していく展開がそれにあたる。
  • 芥川龍之介『藪の中』
    事件の真相が次々と異なる証言で覆される中、読者にとっても「寝耳に水」な事実が続く。
    特に、殺された武士の霊が証言する場面は、予想外の展開。
  • 森鷗外『舞姫』
    主人公「豊太郎」が、日本へ帰国する決意をした矢先に、恋人エリスが発狂するという展開はまさに「寝耳に水」。彼にとっても、読者にとっても突然の出来事。

海外文学の類似表現

  • フランツ・カフカ『変身』
    主人公・グレゴールが目覚めたら虫になっていたのは、まさに「寝耳に水」な展開。彼自身も家族も突然の変化に対応できない。
  • シャーロット・ブロンテ『ジェーン・エア』
    ジェーンが結婚式当日に、ロチェスターがすでに結婚していたことを知らされる場面。まさに「寝耳に水」の衝撃的な事実。
  • 7. ジョージ・オーウェル『1984年』
    主人公ウィンストンが信じていた仲間が、実は党のスパイだったと知る場面は、驚愕の「寝耳に水」。
  • ウィリアム・シェイクスピア『リア王』
    国を娘たちに譲った後、リア王が最も信頼していた娘たちに裏切られる展開は、「寝耳に水」の典型。

「寝耳に水」の類義語

  • 青天の霹靂: 晴れた空に、突然雷が鳴り響くこと。思いがけない出来事のたとえ。
  • 藪から棒: 突然で、思いがけないこと。
  • 降って湧いたよう: 思いがけないことが、突然起こること。

「寝耳に水」の対義語

このことわざに明確な対義語はありません。「予想通り」や、「想定内」を表す言葉が、対照的な意味合いを持つと言えるでしょう。

  • 想定内:予想していた範囲内であること。
  • 予想通り:予想した通りであること。
  • 織り込み済み:予想される事態を、あらかじめ考慮に入れていること。

使用上の注意点

「寝耳に水」は、悪い知らせに対して使われることが多いですが、良い知らせに対しても使うことができます。
ただし、良い知らせに対して使う場合は、「嬉しい寝耳に水」のように、形容詞を付け加えることが多いです。

「寝耳に水」の英語表現

out of the blue

思いがけず、突然に

例文:
The news came to me completely out of the blue.
(その知らせは、私にとって完全に寝耳に水だった。)

like a bolt from the blue

青天の霹靂のように

all of a sudden

突然に

unexpectedly

思いがけず

まとめ

「寝耳に水」は、思いがけない出来事や知らせに、びっくりすることのたとえです。
寝ている時に、耳に水が入ってくるような、全く予期していなかったことが突然起こる、という状況を表しています。
この言葉を胸に、突然の出来事にも冷静に対応できるよう、日頃から心構えをしておきたいものです。

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