「青天の霹靂」の意味 – 予期せぬ衝撃
「青天の霹靂」とは、晴れ渡った青空に突然、雷が鳴り響くように、思いがけない出来事や事件が突然起こることを指すことわざです。
予想もしていなかった事態に遭遇し、強い驚きや衝撃を受ける様子を表します。
多くの場合、悪い知らせや衝撃的な出来事に対して使われますが、文脈によっては非常に喜ばしい、予想外の良い出来事に対しても使われることがあります。
この言葉は、人生において予測できない出来事が起こりうるという側面も示唆しています。
「青天の霹靂」の語源 – 陸游の詩に由来
まず、「青天の霹靂」を構成する言葉の意味を見てみましょう。
- 青天(せいてん):雲一つなく晴れ渡った青空。
- 霹靂(へきれき):雷、特に激しい雷鳴や落雷のこと。
この印象的な言葉の由来は、中国の詩人、陸游(りくゆう)が詠んだ以下の詩の一節とされています。
放翁病過秋 忽起作醉墨
正如久蟄龍 青天飛霹靂
この詩は、病み上がりの作者が突然創作を始めた激しい様子を、まるで龍が「青天に霹靂」を轟かせ飛び立つようだと表現したものです。
この「静寂から激動への変化」を描いた詩的な表現が日本に伝わり、「予期せぬ突然の出来事」や「思いがけない衝撃」を広く指すことわざとして定着しました。
「青天の霹靂」が使われる場面と例文 – 驚きを表す時
「青天の霹靂」は、個人的な出来事から社会的なニュースまで、予期せぬ衝撃的な事態が発生した際に幅広く使われます。
その出来事が良いことか悪いことかは、文脈で判断します。
例文
- 「彼の突然の辞任は、会社にとって青天の霹靂だった。」
- 「親友からの結婚の知らせは、嬉しいけれど青天の霹靂だった。」
- 「青天の霹靂の出来事で、一瞬何が起こったのか理解できなかった。」
- 「検査の結果、深刻な病気が見つかった。まさに青天の霹靂だった。」
文学作品等での使用例
全く青天の霹靂である。
上記は、夏目漱石の「吾輩は猫である」の一節です。
主人公である猫が、飼い主の家で起こった予期せぬ出来事に対する驚きを表現しています。
「青天の霹靂」の類義語 – 突然の出来事を表す言葉
- 寝耳に水:寝ているときに突然耳に水が入るように、不意の出来事に驚くことのたとえ。
- 藪から棒(やぶからぼう):藪の中から突然棒を突き出すように、物事や言動が唐突なさま。
- 急転直下(きゅうてんちょっか):事態が急に変化し、一気に結末に向かうこと。突然の変化という点は共通しますが、「青天の霹靂」ほどの「衝撃」のニュアンスは薄い場合があります。
- 降って湧いたよう(ふってわいたよう):思いがけないことが突然起こるさま。
- 出し抜け(だしぬけ):前触れもなく、突然であるさま。
- 不意打ち(ふいうち):相手が予期しないときに、突然何かを行うこと。
- 唐突(とうとつ):突然で、思いがけないさま。
- サプライズ:英語由来の言葉で、驚きや意外な出来事を指します。
「青天の霹靂」の対義語 – 予測できた事態を表す言葉
- 想定内(そうていない):あらかじめ予測していた範囲内であること。
- 予定調和(よていちょうわ):まるで初めから決まっていたかのように、物事が順当に進み、予想通りの結果になること。
- 織り込み済み(おりこみずみ):その事態が起こることをあらかじめ予測し、計算や計画に入れていること。
- 順当(じゅんとう):物事が道理にかない、あるべき順序で進むさま。
「青天の霹靂」の英語での表現 – Bolt from the blue
英語で「青天の霹靂」に相当する表現はいくつかあります。
- a bolt from the blue
直訳:「青空からの稲妻(雷)」で、「青天の霹靂」と非常に近い表現です。
意味:予期せぬ出来事、突然の衝撃。 - out of the blue
意味:突然に、予期せずに、前触れなく。より口語的な表現です。 - a complete surprise
意味:まったくの驚き、完全に予想外のこと。
「青天の霹靂」のまとめ – 衝撃と人生の予測不可能性
「青天の霹靂」は、晴れ渡った空に突然雷が鳴り響くように、予期せぬ出来事が起こり、強い衝撃を受ける様子を鮮やかに描いたことわざです。
中国の詩に由来するとされ、人生で時に遭遇する予測不可能な出来事を象徴しているとも言えるでしょう。
この言葉が持つ衝撃の大きさから、日常の些細な驚きではなく、人生を左右するような重大な出来事に対して使うのがふさわしい表現です。
多くは予期せぬ不幸や悪い知らせに対して使われますが、予想外の幸運や抜擢など、良い意味での強い驚きを表す場合もあります。
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