「金科玉条」の意味 – 絶対的な規則や信条
「金科玉条」とは、この上なく大切にすべき、絶対的な決まりや法律、または個人や組織が最も重要だと考える信条などを指す四字熟語です。
金や玉(宝石)のように価値があり、決して変えてはならない最上の規則や考え方、という意味合いです。
肯定的に使われることも、融通が利かない様子を批判的に示す場合もあります。
「金科玉条」の語源 – 黄金や宝石にたとえられた法
漢字の意味は以下の通りです。
- 金(きん):黄金。価値あるものの象徴。
- 科(か):法律、規則。
- 玉(ぎょく):宝石。価値が高いもののたとえ。
- 条(じょう):法律などの条項。
これらから「金のように価値のある法律、玉のように貴重な条文」という意味になります。
由来は、中国・前漢時代の学者、揚雄(ようゆう)が、漢王朝の優れた法を「金科玉条」と表現したことによるとされています。
よく似た言葉に「金科玉律(きんかぎょくりつ)」があり、「律」も法律や決まりを意味するため、こちらもほぼ同じ意味で使われます。
「金科玉条」が使われる場面と例文 – 守るべき大切な決まり
国の根本法から、組織の理念、家訓、個人の信条まで、絶対的な規則や考え方を指して使われます。
文脈により、尊重する意味にも、硬直的だと批判する意味にもなります。
例文
- 「わが社の『顧客第一』の理念は、創業以来の金科玉条だ。」(肯定的)
- 「彼はマニュアルを金科玉条のごとく守り、応用が利かない。」(批判的)
- 「祖父の『正直であれ』という言葉を、私は金科玉条としてきた。」(肯定的)
「金科玉条」の類義語 – 重要な原則や基準
- 根本原則(こんぽんげんそく):物事の基礎となる、最も重要な原則。
- 絶対的基準(ぜったいてききじゅん):他と比較せず、状況で変えない唯一の基準。
- 教義(きょうぎ):宗教などの根本的な教え。ドグマ。
「金科玉条」の対義語 – 柔軟性や例外を示す言葉
- 臨機応変(りんきおうへん):状況や変化に応じて、適切に対応すること。
- ケースバイケース:個々の事例ごとに判断・対応すること。
- 融通が利く(ゆうずうがきく):状況に合わせて柔軟に対応できること。
「金科玉条」の英語での表現 – Golden Rule(s)
「絶対的な規則や信条」のニュアンスを持つ英語表現です。
- golden rule(s):最も重要な規則や原則。
- the law / the gospel (truth):比喩的に、絶対的な権威を持つ規則や真実。
- hard and fast rule:厳格で変更されない規則。融通の利かなさを強調。
「金科玉条」を使う上でのヒント – 普遍性と硬直性の間で
「金科玉条」には二面性があります。一つは、普遍的で重要な価値を持つ原則という肯定的な面。
もう一つは、状況を考慮せず盲目的に従う、規則の硬直化という否定的な面です。
どちらのニュアンスで使われているかを文脈から読み取ることが大切です。
守るべき「軸」と、状況に応じた「柔軟性」。そのバランスを考えさせてくれる言葉でしょう。
「金科玉条」のまとめ – 大切な決まりと向き合う
「金科玉条」は、金や玉のように最も価値があり、絶対的なものとして守るべき規則や信条を指す、中国の古典に由来する四字熟語です。
大切な指針として肯定的に用いられる一方、融通の利かない態度を批判する際にも使われます。
身の回りのルールや考え方に対し、それが守るべき「金科玉条」か、見直すべきものか、考えるきっかけを与えてくれるかもしれません。
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