沈黙は金、雄弁は銀

ことわざ
沈黙は金、雄弁は銀(ちんもくはきんゆうべんはぎん)
異形:沈黙は金なり、雄弁は銀なり

14文字の言葉ち・ぢ」から始まる言葉
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意味

「沈黙は金、雄弁は銀」とは、沈黙は金のように価値があり、雄弁は銀のように価値があるという意味です。
雄弁であること(言葉巧みに話すこと)も素晴らしいが、沈黙することの方が、さらに価値がある場合もある、ということを表しています。
言葉を慎むこと、軽々しく発言しないことの重要性を示す教訓です。
「沈黙は金なり雄弁は銀なり」という形でも使われます。

由来・語源

このことわざの正確な由来ははっきりとしていません。
しかし、多くの言語に似た表現があることから、世界中で古くから認識されてきた考え方であると言えます。

有力な説としては、以下の2つがあります。

  • 古代ギリシャの哲学者ソクラテスの言葉が由来であるという説
  • イギリスの歴史家・思想家トーマス・カーライルの著書『衣装哲学』の一節「沈黙は金、雄弁は銀」(“Speech is silver, silence is golden.”)が由来という説

ただし、ソクラテス自身の著作にこの言葉は直接的には見当たらず、カーライルの著書が初出というわけでもありません。
いずれにしても、古くからの知恵が、ことわざとして定着したと考えられます。

使用される場面と例文

「沈黙は金、雄弁は銀」は、主に以下のような場面で使われます。

  • 軽々しく発言しないよう、戒める時
  • 言葉よりも沈黙が重要な意味を持つ状況を説明する時
  • 口数の少ない人を、肯定的に評価する時

例文

  • 「会議で不用意な発言をして、上司に叱られてしまった。沈黙は金、雄弁は銀、ということを忘れていた。」
  • 「秘密を守るためには、沈黙が必要なこともある。まさに、沈黙は金、だ。」
  • 「彼は口数が少ないが、いつも的確な判断をする。沈黙は金、雄弁は銀、を体現しているようだ。」
  • 「交渉の場では、必ずしも多くを語る必要はない。時には、沈黙は金、となることもある。」
  • 「彼女は、あまり自分のことを話さない。沈黙は金、という考え方なのだろう。」

文学作品での使用例

沈黙は金である。雄弁は銀である。

太宰治 『津軽』

類義語

むやみに喋るべきではないという戒めのことわざは多く存在します。

  • 口は禍の門:言葉は災いを招く原因となるので、慎むべきであるという意味。
  • 言わぬが花:はっきり言わない方が、趣があり、差し障りもないという意味。
  • 能ある鷹は爪を隠す:実力のある人は、それをひけらかさないという意味。
  • 口は災いの元:口は、とかく災いを招きやすいもののたとえ。

関連する概念・心理

  • カリギュラ効果:禁止されるとかえってその行為をやってみたくなる心理現象。

対義語

「沈黙は金、雄弁は銀」の対義語は、積極的に発言することの重要性を示す言葉です。

  • 言わぬは言わぬに劣る:言うべきことを言わないのは、言うべきことを言えないのと同じように良くないという意味。
  • 言うべきことは言う:主張すべきことは、遠慮せずに言うべきであるという意味。
  • 沈黙は同意:異議を唱えなければ、同意したとみなされるという意味。

使用上の注意点

「沈黙は金、雄弁は銀」は、常に沈黙していることが良い、という意味ではありません。
言うべきことを言わないのは、かえって誤解を招いたり、問題を悪化させたりすることもあります。
状況に応じて、適切なコミュニケーションを取ることが大切です。

英語表現(類似の表現)

Speech is silver, silence is golden.

直訳:雄弁は銀、沈黙は金。
意味:「沈黙は金、雄弁は銀」とほぼ同じ意味。

例文:
I didn’t say anything at the meeting. Speech is silver, silence is golden.
(会議では何も発言しなかった。
沈黙は金、雄弁は銀、だからね。)

Silence is golden.

直訳:沈黙は金
意味:「沈黙は金、雄弁は銀」とほぼ同じ意味。

例文:
You don’t have to tell everything. Silence is golden.
(全てを話す必要はありません。沈黙は金です。)

まとめ

「沈黙は金、雄弁は銀」は、沈黙は金のように価値があり、雄弁は銀のように価値があるという意味のことわざです。
言葉を慎むことの重要性を示す教訓として、広く使われています。

最も重要なのは、このことわざを「何も言わないこと」の正当化として使うのではなく、「言葉の重み」を理解するための指針として捉えることです。
状況に応じて、沈黙と雄弁を使い分け、より良いコミュニケーションを目指すことが大切です。

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