雉も鳴かずば撃たれまい

ことわざ
雉も鳴かずば撃たれまい(きじもなかずばうたれまい)

12文字の言葉き・ぎ」から始まる言葉
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意味

「雉も鳴かずば撃たれまい」とは、余計なことを言わなければ、災いを招かずに済むという意味のことわざです。
キジは、鳴き声によって自分の居場所を人間に知らせてしまい、撃たれて(捕らえられて)しまうことから、この言葉が生まれました。

語源・由来

このことわざは、キジという鳥の習性に由来します。
キジは、縄張り争いやメスへの求愛のために、「ケーン」と大きな声で鳴きます。
この鳴き声は遠くまで響くため、猟師にとってはキジの居場所を知る手がかりとなります。
つまり、キジは自分で自分の居場所を知らせて、危険を招いてしまっているのです。
このことから、「余計なことを言わなければ、災いを避けられるのに」という意味で、「雉も鳴かずば撃たれまい」ということわざが生まれました。
初出は正確には不明ですが、江戸時代には広く使われていたようです。

使用される場面と例文

「雉も鳴かずば撃たれまい」は、主に以下のような場面で使われます。

  • 余計な一言で、問題が大きくなってしまったとき
  • 秘密をうっかり漏らしてしまったとき
  • 言わなくてもいいことを言って、相手を怒らせてしまったとき
  • 不用意な発言を慎むように、自分や他人を戒めるとき

例文

  • 「会議で余計なことを言って、上司に目をつけられてしまった。雉も鳴かずば撃たれまいだったのに…。」
  • 「彼女に秘密を話したら、あっという間に広まってしまった。雉も鳴かずば撃たれまいと言うから、黙っておけばよかった。」
  • 「彼の失言がきっかけで、取引先との関係が悪化した。まさに雉も鳴かずば撃たれまいだ。」
  • 雉も鳴かずば撃たれまい。これからは、余計なことは言わないように気をつけよう。」

文学作品等での使用例

浄瑠璃「傾城反魂香(けいせいはんごんこう)」

吃又(どもまた)「いや、この土佐どの、さてさて、ふびんな事を仰せらるゝ、雉も鳴かずば打たれまいに、さぞや無念でござらうず」

土佐将監が、言わなくてもいいことを言ってしまったがために、不遇な状況に陥るという文脈で使われています。

類義語

対義語

  • 言わねば聞こえぬ:言葉にしなければ伝わらない、の意。
  • 言うべきことは言う
  • 口は心の使い:言葉は心を表すものだから、思ったことは言うべきである、の意。(「口は心の門」とも言う)

使用上の注意点

「雉も鳴かずば撃たれまい」は、時と場合によっては、言うべきことを言わない、責任を回避する、という消極的な態度と受け取られることもあります。
状況に応じて、適切な発言を心がけることが大切です。

英語表現(類似の表現)

Silence is golden.

直訳:沈黙は金なり
意味:沈黙は雄弁よりも価値がある。

例文:
Sometimes, silence is golden.
(時には、沈黙は金なり。)

If you don’t say anything, you won’t be called on to repeat it.

直訳:何も言わなければ、それを繰り返すように言われることもない。
意味:余計なことを言わなければ、面倒なことにはならない。

例文:
Remember, if you don’t say anything, you won’t be called on to repeat it.
(いいかい、何も言わなければ、それを繰り返すように言われることもないんだ。)

まとめ

「雉も鳴かずば撃たれまい」は、雉が鳴き声で自分の居場所を知らせてしまうことから、余計なことを言わなければ災いを避けられる、という意味のことわざです。
不用意な発言を慎むようにという教訓ですが、時には言うべきことを言う勇気も必要です。

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