「一挙両得」とは? – 意味と教え
「一挙両得」とは、一つの行動によって、同時に二つの利益や目的を達成することを意味する四字熟語です。
何かをするとき、どうせなら効率よく、複数のメリットを得たいと考えるのは自然なことでしょう。
この言葉は、まさにそのような賢い選択や行動がもたらす好結果を表しています。
単に得をするという意味だけでなく、工夫次第で物事をより有利に進められるという教えも含んでいると言えます。
「一挙両得」の背景 – 由来と漢字の意味
「一挙両得」の由来にはいくつかの説がありますが、中国の歴史書『晋書』の中の「束皙伝」に見られる記述が有力とされています。
そこには、才能ある人物が一度の行動で二つの獲物を得た功績を称える文脈で「一挙両得之功有り」と記されています。
また、卞荘子という人物が、二頭の虎が争って弱ったところを両方とも仕留めようとした故事(『韓非子』などに見られる)も、結果的に一つの行動で二つの利益を得る例として関連付けられることがあります。
それぞれの漢字の意味を見てみましょう。
- 一挙:一つ(一)の行動(挙)。一度の行為。
- 両得:二つ(両)の利益を得る(得)こと。
これらを組み合わせることで、「一度の行動で、二つの利益を得る」という意味が成り立ちます。
「一挙両得」が使われる場面と例文 – 日常からビジネスまで
「一挙両得」は、日常生活のちょっとした工夫から、仕事の効率化、学習計画、旅行のプランニングまで、幅広い場面で使うことができます。
一つのアクションで複数のメリットが見込める状況や、そのような計画を立てる際にぴったりの言葉です。
例文
- 「通勤を自転車に変えたら、交通費が節約できて運動にもなり、まさに一挙両得だ。」
- 「資格の勉強を始めたら、専門知識が身につき、キャリアアップにも繋がって一挙両得だった。」
- 「出張のついでに観光も楽しむなんて、一挙両得な計画ですね。」
- 「この料理教室は、レシピを学べるうえに、作った料理を持ち帰れるので一挙両得です。」
「一挙両得」に似た言葉 – 類義語
- 一石二鳥(いっせきにちょう):一つの石を投げて、二羽の鳥を同時に打ち落とすこと。
「一挙両得」とほぼ同じ意味で、最も一般的に使われる類義語です。 - 一挙双擒(いっきょそうきん):一度の行動で、二つのものを捕らえること。
「擒」は捕らえるという意味。「一挙両得」や「一石二鳥」と同様の意味合いで使われますが、やや硬い表現です。
「一挙両得」と反対の状況を表す言葉 – 対義的な表現
「一挙両得」と完全に反対の意味を持つ決まった四字熟語やことわざは多くありませんが、一つの行動が望ましい結果に繋がらない、あるいは複数の目的を達成しようとして失敗するような状況を表す言葉はあります。
- 二兎を追う者は一兎をも得ず:同時に二つのことを追い求めると、結局どちらも失敗に終わるという戒め。
※複数の利益を狙う点で似ていますが、「一挙両得」が成功を表すのに対し、こちらは失敗の可能性を示唆します。 - 骨折り損のくたびれ儲け:苦労したにもかかわらず、利益がなく、ただ疲れただけであること。
※一つの行動に対する結果が、利益どころか徒労に終わる状況を表します。 - 一利一害(いちりいちがい):利益が一つあれば、害も一つあること。
※メリットとデメリットが同時に存在することを示します。
「一挙両得」の英語表現 – Kill two birds with one stone
「一挙両得」の状況を英語で表現する際、最もよく使われるのが以下の表現です。
- kill two birds with one stone
意味:一つの石で二羽の鳥を殺す。
日本語の「一石二鳥」と全く同じ発想の表現で、「一挙両得」の英語表現として広く使われます。
他にも、状況によっては以下のような表現も可能です。
- get two for the price of one
意味:一つ分の値段で二つ手に入れる。
主に買い物などでお得感を表す際に使われます。
「一挙両得」を使う上でのヒント
「一挙両得」は、効率性や賢明さを肯定的に表す便利な言葉です。
ただし、使い方や文脈によっては、少しずる賢い、あるいは自分の利益ばかりを考えているような印象を与えてしまう可能性もゼロではありません。
相手への配慮を忘れず、状況に合わせて使うことで、計画性や工夫をポジティブに伝えることができるでしょう。
単なるラッキーではなく、知恵や努力によって「一挙両得」の状況を作り出すというニュアンスで使うと、より建設的な響きになります。
「一挙両得」のまとめ
「一挙両得」は、一つの行動から二つの利益を得る、効率的で賢い選択を表す四字熟語です。
その由来は中国の古典に遡り、古くから効率を重視する考え方があったことがうかがえます。
私たちの身の回りには、工夫次第で「一挙両得」となるチャンスが意外と多く隠れているかもしれません。
時間や労力を有効に活用し、より多くの成果を得るためのヒントとして、この言葉を心に留めておくのも良いでしょう。
賢い選択は、日々の生活や仕事をより豊かにしてくれるはずです。
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