一石二鳥

ことわざ 四字熟語
一石二鳥(いっせきにちょう)

8文字の言葉」から始まる言葉
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「一石二鳥」の意味・教訓 – 効率よく二つの利益を得る

「一石二鳥」とは、文字通りには一つの石を投げて二羽の鳥を同時に仕留めることを意味し、そこから転じて、一つの行動や労力によって、同時に二つの利益や目的を達成することのたとえです。

何かをする際に、思いがけず別の良い結果もついてくるような、非常に効率が良い状況や、賢いやり方を肯定的に表現する際に用いられます。

「一石二鳥」の語源・由来 – 英語のことわざから

この「一石二鳥」という言葉は、英語のことわざ “Kill two birds with one stone.”(一つの石で二羽の鳥を殺す)を翻訳し、それが日本に定着したものとされています。

実際に一つの石で二羽の鳥を仕留めるのは極めて難しいことから、この表現は文字通りの意味ではなく、一つの行為で二つの目的を達成する「効率の良さ」や「賢さ」を強調する比喩として使われるようになりました。

「一石二鳥」の使用される場面と例文 – 賢く成果を出すとき

「一石二鳥」は、日常生活やビジネスシーンなどで、効率的に複数の目的を達成できた、またはできそうな状況で使われます。

例文

  • 「出張のついでに観光も楽しめて、まさに一石二鳥だった」
  • 「通勤時間にウォーキングをすれば、運動不足解消と交通費節約で一石二鳥だ」
  • 「料理教室に通い始めたら、美味しいものが食べられるし、新しい友達もできて一石二鳥だった」
  • 「休日にボランティア活動をすれば、社会貢献と自己成長の一石二鳥になる」

文学作品での使用例 – 芥川龍之介『芋粥』より

近代文学にも「一石二鳥」の使用例が見られます。
例えば、芥川龍之介の短編小説『芋粥』には、以下のような一節があります。

…利仁は芋粥を飲んで、長年の宿望を達すると同時に、天下第一の英雄になれるのだから、全く一石二鳥の妙計である。

ここでは、主人公が「芋粥を飲む」という一つの行為によって、「長年の願いを叶える」と「英雄になる」という二つの目的を達成できることを、「一石二鳥の妙計」と表現しています。

「一石二鳥」の類義語 – 似た意味を持つ言葉

  • 一挙両得(いっきょりょうとく):一つの行動で、同時に二つの利益を得ること。「一石二鳥」とほぼ同じ意味で使われます。
  • 一箭双雕(いっせんそうちょう):中国の故事に由来し、一本の矢で二羽の鵰(ワシ)を射落とすことから、一つの行為で二つの利益を得ることのたとえ。
  • 一挙二得(いっきょにとく):「一挙両得」と同じ意味です。
  • 漁夫の利(ぎょふのり):二者が争っている隙に、第三者が労せず利益を得ること。※「一石二鳥」が自身の効率的な行動で利益を得るのに対し、こちらは他者の争いを利用する点が異なりますが、「労少なくして利を得る」という点で関連付けて語られることがあります。

「一石二鳥」の対義語 – 対照的な意味を持つ言葉

  • 二兎を追う者は一兎をも得ず(にとをおうものはいっとをもえず):同時に二つの目標を欲張って追いかけると、結局どちらも達成できないことのたとえ。
  • 虻蜂取らず(あぶはちとらず):虻(あぶ)と蜂(はち)を同時に捕まえようとして、結局どちらも逃してしまうこと。欲張りすぎて失敗することのたとえ。

※ これらの言葉は、「一石二鳥」が示す「一つの行動で二つの成功」とは対照的に、「二つの目標を追うことによる失敗」を表します。

「一石二鳥」の英語での類似表現 – 英語で伝える「効率性」

「一石二鳥」の元となった英語表現は以下の通りです。

  • Kill two birds with one stone
    意味:一つの石で二羽の鳥を殺す(= 一石二鳥)

使用上の注意点

「一石二鳥」は、一つの行動から二つの良い結果が得られることを表す、基本的にポジティブなことわざです。
使う際は、必ず「一つの行動」であることを確認しましょう。「二つの行動で二つの利益」を得ようとする状況は、「一石二鳥」とは言いません。

また、効率を求めるあまり欲張りすぎると、「二兎を追う者は一兎をも得ず」の結果になりかねません。
何事もバランス感覚が重要である、という側面も心に留めておくと良いでしょう。

「一石二鳥」のまとめ

「一石二鳥」は、一つの行動で同時に二つの利益や目的を達成するという、非常に効率的な状況を表すことわざです。
英語の “Kill two birds with one stone.” に由来し、少ない労力で大きな成果を得る賢さを示します。

日常生活や仕事において、「これは一石二鳥かもしれない」と思える工夫を見つけることは、物事をより良く進めるヒントになるかもしれません。
ただし、欲張りすぎは禁物。対義語の「二兎を追う者は一兎をも得ず」の教訓も忘れずにいたいものです。

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