一進一退

四字熟語
一進一退(いっしんいったい)

8文字の言葉」から始まる言葉
スポンサーリンク

「一進一退」の意味・教訓 – 状況は進みつ戻りつ

「一進一退」とは、物事が進んだり、また元に戻ったりして、なかなか前進しない状況を指す言葉です。

状況が良くなったかと思えば悪くなり、また少し持ち直すといった、はかばかしくない状態や、攻めたり守ったりを繰り返すような状況を表します。
病状の回復具合や、交渉、試合の展開など、様々な場面で用いられます。
決定的な進展が見られない、もどかしい状況を示すことが多いでしょう。

「一進一退」の語源・由来 – 文字が示す意味

「一進一退」は、文字通り「一つ進み、一つ退く」ことを意味する四字熟語です。

  • (いち):ひとつ。
  • (しん):前進する、進むこと。
  • (いち):ひとつ。
  • 退(たい):後退する、退くこと。

この四つの漢字が組み合わさることで、状況が一歩進んでは一歩後退する、つまり前進と後退を繰り返してはっきりとした進展がない様子を表しています。
古くから戦況や交渉の場面などで使われてきましたが、現代では病状や景気、スポーツの試合展開など、より広い範囲で使われるようになりました。

「一進一退」の使用される場面と例文 – はかどらない状況

「一進一退」は、物事が順調に進まず、進捗と後退を繰り返している様々な状況で使われます。
例えば、病気が良くなったり悪くなったりを繰り返す時や、交渉がなかなかまとまらない時、スポーツの試合で点を取りつ取られつする展開などが挙げられます。

例文

  • 「祖父の病状は一進一退を繰り返している」
  • 「両チームの実力は互角で、試合は序盤から一進一退の攻防が続いた」
  • 「粘り強い交渉が続いているが、合意には至らず一進一退の状況だ」
  • 「円相場は一進一退の値動きとなっている」

「一進一退」の類義語 – 似た意味を持つ言葉

  • 膠着状態(こうちゃくじょうたい):状況が固定して動きが取れない状態。停滞している点では似ていますが、「一進一退」が多少の動きを含むのに対し、「膠着状態」は動きが完全に止まっているニュアンスが強いです。
  • 足踏み状態(あしぶみじょうたい):その場で足踏みするように、物事が少しも前進しない状態。
  • シーソーゲーム: スポーツの試合などで、両チームが点を取り合い、形勢が何度も入れ替わる展開を指す和製英語。
  • 拮抗(きっこう):互いの力がほぼ同じで、優劣がつけにくい状態。

「一進一退」の対義語 – 対照的な意味を持つ言葉

  • 日進月歩(にっしんげっぽ):日に日に、また月ごとに、絶え間なく進歩すること。技術や学問などが急速に進歩する様子を表します。
  • 順風満帆(じゅんぷうまんぱん):追い風を受けて船が帆をいっぱいに張って進むように、物事が非常に順調に進むこと。
  • 破竹の勢い(はちくのいきおい):竹が割れるように、止めることのできない激しい勢いで進むこと。
  • 一直線(いっちょくせん):わき目もふらず、まっすぐに進むこと。
  • 右肩上がり(みぎかたあがり):グラフなどで線が右に向かって上がっていくように、数値や業績などがどんどん良くなっていくこと。

※ これらの言葉は、「一進一退」が示す停滞や行きつ戻りつの状況とは対照的に、物事が順調に進展する様子を表します。

「一進一退」の英語での類似表現 – 状況を伝える英語

「一進一退」のニュアンスに近い英語表現はいくつかあります。

  • Back and forth
    意味:行ったり来たり、進んだり戻ったり。交渉や議論がまとまらない様子などにも使われます。
  • Stalemate / Deadlock
    意味:膠着状態、手詰まり。特に交渉や争いごとで動きが取れなくなった状況を指します。
  • Ups and downs
    意味:浮き沈み、好調と不調の波。病状や景気、人生など、変動する状況全般に使えます。
  • Seesaw
    意味:(名詞)シーソー、(動詞)シーソーのように揺れ動く。シーソーゲームのように、状況が有利になったり不利になったりすることを表します。
  • Two steps forward, one step back
    意味:二歩進んで一歩下がる。少しずつは前進しているものの、後退も伴う状況。完全に停滞している「一進一退」とは少し異なり、わずかながらも前進するニュアンスを含むことがあります。

「一進一退」のまとめ

「一進一退」は、物事が進んだかと思えば後退し、なかなかはっきりとした方向へ進まない状況を的確に表す四字熟語です。

病状の回復、交渉の行方、スポーツの試合展開など、私たちの周りでも「一進一退」と表現できる場面は少なくありません。
この言葉は、停滞やもどかしさを感じさせる一方で、状況が完全に止まっているわけではなく、変化が続いていることを示唆しています。
どちらに転ぶかわからない、そんな状況の全体像を捉える際に便利な言葉と言えるでしょう。

コメント