もくじ
「五里霧中」の意味・本質 – 先が見えない状況
「五里霧中」とは、物事の状況が全く分からず、どう進むべきか、何を手がかりにすれば良いか見当もつかない状態を指す四字熟語です。
深い霧の中にいるように、周囲の様子も進むべき方向も見えず、途方に暮れている様子を表します。
単に道に迷うだけでなく、精神的に混乱していたり、問題解決の糸口が見つからなかったりする状況にも使われます。
「五里霧中」の語源 – 張楷が起こした不思議な霧
「五里霧中」の語源は、中国の後漢時代(25年~220年)に記された歴史書『後漢書』の「張楷伝」にある故事に由来します。
「五里霧中」の語源は、中国・後漢時代の歴史書『後漢書』にある故事です。
学者であった張楷が道術(不思議な術)を使って、五里にもわたる濃い霧を起こし、人々を迷わせたことから来ています。
この「深い霧の中で方向を見失う」という本来の様子が転じて、「物事の状況がまったく分からず、どう進むべきか判断に迷う状態」を意味するようになりました。
- 五里(ごり):古代中国の距離の単位。一里は約400mですが、ここでは「広範囲」を意味します。
- 霧中(むちゅう):深い霧の中。
「五里霧中」の使用される場面と例文 – 迷いや混乱を表す
「五里霧中」は、個人的な悩みから社会的な問題、ビジネスシーンにおける複雑な状況まで、先行きが不透明でどう対処すべきか分からない、手探りの状態を表す際に広く使われます。
例文
- 「新しいプロジェクトが始まったばかりで、まだ手探りの状態だ。まさに五里霧中だよ。」
- 「原因不明のシステムトラブルに見舞われ、復旧の目処が立たず、担当者は五里霧中の状態だった。」
- 「将来の進路について、具体的な目標が見えず、今は五里霧中といった心境だ。」
- 「捜査は難航し、有力な手がかりも得られず、事件は五里霧中の様相を呈している。」
類義語 – 迷いを表す言葉
- 暗中模索(あんちゅうもさく):暗闇の中で手探りするように、手がかりのないまま色々と試してみること。五里霧中が「状態」を指すのに対し、こちらは「行動」を含むニュアンスがあります。
- 雲をつかむよう:実体や手がかりがなく、漠然としていて捉えどころのない様子。
- 途方に暮れる:どうしていいか手段や方法が全く思い浮かばず、困り果てる様子。
- 迷宮入り:事件などが解決の糸口を失い、真相が分からなくなること。主に捜査などの文脈で使われます。
- 方針がつかない:どう進むべきか、具体的な方向性が定まらないこと。
「五里霧中」の対義語 – 明確さを示す言葉
- 一目瞭然(いちもくりょうぜん):一度見ただけで、はっきりとわかること。
※ 霧が晴れて視界が開けるように、状況が明確になる様子を表します。 - 明々白々(めいめいはくはく):疑う余地もなく、極めて明らかであること。
- 雲散霧消(うんさんむしょう):雲や霧が消え去るように、物事が跡形もなく消え失せること。転じて、心配や疑いなどがすっかりなくなること。
※ 霧が晴れるという点で、五里霧中の状態が終わることを示唆します。 - 視界良好(しかいりょうこう):見通しがよく、はっきりと見えること。比喩的に、物事の先行きが明るいこと。
英語での表現 – 五里霧中を表すフレーズ
「五里霧中」のニュアンスに近い英語表現には、以下のようなものがあります。
- in a fog
意味:霧の中にいるように、混乱している、ぼうっとしている。 - at sea
意味:途方に暮れて、どうしていいか分からなくて。大海原で方向を見失った船のようなイメージです。 - (completely) lost
意味:(完全に)道に迷っている、どうしていいか分からない。 - groping in the dark
意味:暗闇で手探りしている。暗中模索に近い表現です。
「五里霧中」のまとめ
「五里霧中」とは、物事の状況や進むべき方向が全く分からず、手探りの状態にあることを指す四字熟語です。
まるで深い霧の中にいるかのように、見通しが立たず途方に暮れている様子を表します。
個人的な悩みからビジネス上の課題まで、先行きが不透明な様々な場面で使われる言葉です。
この言葉が示すような状況に陥った際は、焦らず情報を集め、小さな手がかりから解決の糸口を探ることが重要になるでしょう。
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