「歳月人を待たず」の意味・語源・由来
意味
歳月人を待たずとは、時間は人の都合に関係なく、刻々と過ぎていく、という意味のことわざです。
時間の大切さを説き、機会を逃さず、今できることを精一杯やるべきだ、という教えです。
時間は、誰にとっても平等に流れています。
しかし、その時間の使い方によって、人生は大きく変わってきます。
時間を無駄にせず、有効に使うことの重要性を表しています。
語源・由来
「歳月人を待たず」は、中国の詩人、陶淵明(とうえんめい)の『雑詩(ざっし)』という詩の一節に由来します。
盛年重ねて来たらず、一日再び晨になり難し。 時を及んで当に勉励すべし、歳月は人を待たず。
(若い時は二度と来ない、一日の朝は再び来ない。 時を逃さず勉学に励むべきだ、歳月は人を待ってくれない。)
この詩は、時間の大切さを説き、若いうちに努力することの重要性を訴えています。
この「歳月不待人」という部分が、「歳月人を待たず」として日本に伝わり、広く使われるようになりました。
「歳月人を待たず」の使い方(例文)
- 歳月人を待たずと言うから、やりたいことは先延ばしにせず、今すぐ始めよう。
- 若い頃は時間が無限にあるように感じていたが、歳月人を待たず、あっという間に過ぎてしまった。
- 彼は、歳月人を待たずという言葉を胸に、日々努力を続けている。
- 時間は誰にも平等に与えられているが、歳月人を待たず。その使い方によって、人生は大きく変わる。
- 締め切りまであとわずかだ。歳月人を待たず、急がなければ。
注意! 間違った使い方
このことわざは、基本的には誤用されにくいですが、時間の流れの速さを強調する際に、以下のような使い方は不適切です。
- のんびりと過ごしていたら、「歳月人を待たず」だった。
(「のんびり」と「歳月人を待たず」は矛盾する)
「歳月人を待たず」の文学作品などの用例
陶淵明の『雑詩』以外にも、時間の大切さをテーマにした文学作品や格言は数多く存在します。
- 『論語』:
孔子は、「逝く者は斯くの如きか、昼夜を舎かず(過ぎ去るものは、この川の流れのようなものだ。昼も夜も休むことがない)」と述べ、時間の大切さを説いています。
「歳月人を待たず」の類義語
- 光陰矢の如し(こういんやのごとし):時間が過ぎるのは、矢が飛ぶように速い。
- 時は金なり(ときはかねなり):時間はお金と同じように貴重である。
- 一刻千金(いっこくせんきん):わずかな時間も千金にも値するほど貴重である。
- 少年老い易く学成り難し(しょうねんおいやすくがくなりがたし):若い時はすぐに過ぎ去り、学問はなかなか成就しない。
「歳月人を待たず」の対義語
このことわざに明確な対義語はありません。
「時間がゆっくりと過ぎること」や、「時間を持て余すこと」を表す言葉が、対照的な意味合いを持つと言えるでしょう。
- 一日千秋(いちじつせんしゅう):一日が千年に感じられるほど、待ち焦がれる気持ちが強いこと。
- 度日(どじつ):時間をもてあますこと。
使用上の注意点
「歳月人を待たず」は、時間の大切さを説くことわざですが、「常に時間に追われて生きるべきだ」という意味ではありません。
時間を有効に使いながらも、時にはゆったりと過ごすことも大切です。
「歳月人を待たず」の英語表現
Time and tide wait for no man.
直訳:時間と潮の流れは誰も待ってくれない
意味:歳月人を待たず。
※ 英語のことわざで、最も「歳月人を待たず」に近い意味を持つ表現です。
例文:
Let’s start the project now. Time and tide wait for no man.
(今すぐプロジェクトを始めよう。歳月人を待たず、だ。)
Time flies.
時は飛ぶように過ぎる。
「光陰矢の如し」に近い表現です。
Time is fleeting.
時は束の間である。 時間のはかなさを表す表現です。
まとめ
「歳月人を待たず」は、時間は人の都合に関係なく過ぎていく、という意味のことわざです。
時間の大切さを説き、機会を逃さず、今できることを精一杯やるべきだ、という教えです。
この言葉を胸に、一日一日を大切に過ごしたいものです。
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