「鬼の目にも涙」の意味・語源・由来
意味
普段は冷酷で無慈悲な鬼でさえ、時には涙を流すほどの情けを持つことがあるという意味。
人間ならなおさら情けがあり、どんなに冷酷に見える人でも、時には感情的になることや、優しい心を持っていることを表す。
また、そのような人の意外な一面を見て驚いたり、感動したりする様子を表す際にも用いられる。
語源・由来
鬼は、日本の昔話や伝説に登場する恐ろしい存在として知られています。
一般的に、鬼は強く、冷酷で、人を襲うなど、情け容赦のない存在として描かれます。
しかし、そのような鬼でさえ涙を流すことがあるという表現は、鬼の持つ人間的な一面、つまり、鬼にも感情があることを示唆しています。
このことわざは、鬼という極端な存在を引き合いに出すことで、人間ならなおさら感情豊かであること、そして、外見や普段の行動だけでは人の内面を判断できないことを教えてくれます。
「鬼の目にも涙」の使い方(例文)
- 「普段は厳しい部長が、部下の結婚式で涙を流していた。まさに『鬼の目にも涙』というものだ。」
- 「あの冷酷な独裁者でさえ、戦争で荒れ果てた故郷を目の当たりにして涙を流したという。まさに、鬼の目にも涙とはこのことだ。」
- 「いつもは悪態ばかりついている彼が、捨て犬を拾って優しく世話をしていた。これこそ、鬼の目にも涙というやつだな。」
- 「彼女は鉄の女と呼ばれているが、子供の話になると涙ぐむことがある。まさに『鬼の目にも涙』というわけだ。」
「鬼の目にも涙」の類義語
- 仏の顔も三度(まで):温厚な人でも、何度もひどいことをされれば怒る。
- 慈悲の心:相手を思いやる優しい気持ち。
- 情け深い:他人に対して思いやりがある様子。
- 鉄石心腸にも涙:非常に意志が強く、冷酷な人でも時には感情を表に出すこと。
「鬼の目にも涙」の対義語
- 鬼畜:情け容赦のない残酷な人、またはそのような行為。
- 冷酷無比:この上なく冷たく、情がないこと。
- 非情:思いやりや感情がないこと。
- 血も涙もない:人間らしい感情や慈悲の心が全くないこと。
使用上の注意点
「鬼の目にも涙」は、普段は冷酷な人や、感情を表に出さない人が、珍しく感情的な一面を見せた時に使うことわざです。
そのため、日常的に涙もろい人に対して使うのは適切ではありません。
また、相手を「鬼」に例える表現であるため、使う相手や状況には注意が必要です。
「鬼の目にも涙」に類似した英語表現
Even the devil can cry.
直訳:悪魔でさえ泣くことができる
意味:鬼の目にも涙
例文:
He is known for his ruthless business tactics, but when he heard about his employee’s family tragedy, he showed genuine sympathy. Even the devil can cry.
(彼は冷酷なビジネス戦略で知られていますが、従業員の家族の悲劇を聞いたとき、彼は心からの同情を示しました。鬼の目にも涙、です。)
まとめ
「鬼の目にも涙」は、普段は冷酷に見える人でも、時には感情的な一面を見せたり、優しい心を持っていることを表すことわざです。
人の内面は外見だけでは判断できないこと、そして、どんな人にも感情があることを教えてくれる言葉です。
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