身から出た錆

ことわざ
身から出た錆(みからでたさび)

7文字の言葉」から始まる言葉
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「身から出た錆」の意味・語源・由来

意味

「身から出た錆」とは、自分の犯した過ちや悪行が原因で、自分自身が苦しい状況に陥ったり、不幸な結果を招いたりすることのたとえです。
自分の行いが、自分に返ってくるという因果応報の考え方を示しています。

語源・由来

このことわざは、日本刀の「身」(刀身の金属部分)から発生する「錆(さび)」を、人間の行いに見立てたものです。

手入れを怠ると、「身」から錆が発生し、刀は切れ味を失い、価値を損ないます。この錆が、人の不摂生や悪行がもたらす災いや苦しみを象徴しています。

つまり、「身から出た錆」とは、刀の「身」から出る錆のように、自分の行いが原因で自らが苦しむことになる、という教訓です。
武士にとって刀の手入れは自己管理の象徴でもあり、このことわざは自己責任の重要性を示唆しています。

錆びた日本刀
錆びた日本刀。金属の部分が「身」

「身から出た錆」の使い方(例文)

  • 「彼が会社をクビになったのは、日頃の勤務態度が悪かったからだ。身から出た錆だな。」
  • 「彼女が彼氏に振られたのは、嘘ばかりついていたからだ。身から出た錆としか言いようがない。」
  • 「試験に落ちたのは、勉強を怠っていたからだ。身から出た錆だと思って、来年また頑張る。」
  • 「借金で苦しむのは、ギャンブルに手を出したからだ。身から出た錆だ。」
  • 「生活習慣病になったのは、不摂生を続けてきた自分の身から出た錆だ。」

注意! 間違った使い方

「身から出た錆」は、自分自身の過ちが原因で悪い結果を招いた場合に使うことわざです。
他人の過ちや、不可抗力による不幸に対しては使いません。

  • (✕)「彼は交通事故に遭った。身から出た錆だ」(本人の過失ではない場合)

「身から出た錆」の文学作品での使用例

当時おれは其の女房をば、命にかけても離すまいと、堅く心に誓ったものだが、こうなったのも畢竟 身から出た錆、仕様のない事だと諦めなくっちゃならない。

(国木田独歩「酒中日記」より)

「……全く己惚(うぬぼれ)も 恥も何もかも、一切を忘却して居った。
……併(しか)し此れも亦(また)身から出た錆、仕方のない事じゃアないか。……」

(夏目漱石「吾輩は猫である」より)

「身から出た錆」の類義語

類義語(ことわざ・慣用句)

  • 自業自得(じごうじとく):自分の行いの報いを、自分自身が受けること。
  • 因果応報(いんがおうほう):過去の善悪の行いによって、必ずそれに応じた報いがあること。
  • 自縄自縛(じじょうじばく):自分の言動によって、自分自身が動きが取れなくなり、苦しむこと。
  • 天に唾する(てんにつばする):人に害を与えようとすると、結局は自分に返ってくること。
  • 墓穴を掘る(ぼけつをほる):自分の滅亡の原因を、自分で作ること。

関連する概念・心理

  • 後悔、反省:「悔やむ」「悔い改める」「自責の念」
  • 責任、報い:「責任を取る」「報いを受ける」「償う」
  • 因果応報、自業自得:「悪因悪果」「善因善果」

「身から出た錆」の対義語

使用上の注意点

「身から出た錆」は、相手の不幸を非難するニュアンスを含むことがあるため、使う場面や相手には注意が必要です。
反省を促す意味で使う場合でも、言い方には気をつけましょう。

「身から出た錆」に類似した英語表現

You’ve made your bed, now lie in it.

直訳:自分でベッドを整えたのだから、そこで寝なさい。
意味:自分で招いた結果なのだから、甘んじて受け入れなさい。(「身から出た錆」に非常に近い)

例文:
You didn’t study, so you failed the exam. You’ve made your bed, now lie in it.
(勉強しなかったから、試験に落ちたんだ。身から出た錆だよ。)

What goes around comes around.

直訳:回るものは回ってくる。
意味:良いことも悪いことも、自分の行いは自分に返ってくる。(因果応報のニュアンスが強い)

例文:
He cheated on his wife, and now she’s left him. What goes around comes around.
(彼は妻を裏切った、そして今、彼女は彼のもとを去った。身から出た錆だ。)

まとめ

「身から出た錆」は、自分の行いが原因で、自分自身が苦しむことになるという教訓を表すことわざです。
このことわざは、私たちに「日々の言動を慎み、常に自分を律することは大切」という教訓を、私たちに思い起こさせてくれます。
「身から出た錆」という状況に陥らないためには、常に自分の行動に責任を持ち、後悔のない選択をすることが重要です。
もし過ちを犯してしまった場合は、その結果を真摯に受け止め、反省し、同じ過ちを繰り返さないように努めることが大切です。

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