「藪をつついて蛇を出す」の意味、語源・由来、短縮形
意味
「藪をつついて蛇を出す」とは、余計なことをして、かえって自分に災いを招くことのたとえです。
しなくてもよいことをわざわざして、思わぬ災難や面倒なことに巻き込まれることを意味します。
語源・由来
このことわざは、文字通り、藪(草むら)を棒などでつつくと、中に潜んでいた蛇が出てきて、かえって危険な目に遭う、という状況を表しています。
蛇は、予期せぬ危険や災いの象徴として用いられています。
藪をつつくという余計な行為が、思わぬ危険を招くという、教訓的な意味合いが込められています。
「やぶへび」という短縮形
「藪をつついて蛇を出す」は、日常会話では「やぶへび」と短縮されることがあります。意味は元のことわざと同じです。
「藪をつついて蛇を出す」「やぶへび」の使い方(例文)
- 「彼の過去を詮索するのはやめておけ。藪をつついて蛇を出すことになるかもしれない。」
- 「余計な口出しをして、上司の機嫌を損ねてしまった。藪をつついて蛇を出すとは、このことだ。」
- 「静かにしていれば良いものを、わざわざSNSで批判的なコメントをして炎上してしまった、まさに藪をつついて蛇を出したようなものだ。」
- 「余計なことして、やぶへびになっちゃったよ。」
- 「それはやぶへびになる可能性が高いから、やめておいた方がいい。」
注意! 間違った使い方
- 単に失敗した時に使うのは不適切です。
「余計なことをした」結果として、悪い状況になったときに使います。
「藪をつついて蛇を出す」の文学作品での使用例
余り慾を張ると藪をつついて蛇を出すと云うこともあるから、まあこの辺で思い止って置く方が利口だろう。
(夏目漱石「坊っちゃん」より)
「お前さんは藪をつついて蛇を出すようなことをなすった」
(芥川龍之介「アグニの神」より)
あんまりこせこせしたって、藪をつッついて蛇を出すようなこともあるからな。
(山本周五郎「さぶ」より)
「藪をつついて蛇を出す」の類義語
類義語(ことわざ・慣用句)
- 寝た子を起こす:収まっていることを、わざわざ問題にすること。
- 触らぬ神に祟りなし:余計な手出しをしなければ、災いを招くこともないということ。
- 覆水盆に返らず:一度してしまったことは、取り返しがつかないこと。
- 虎の尾を踏む:非常に危険なことをすること。
- 羮に懲りて膾を吹く(あつものにこりてなますをふく):一度の失敗に懲りて、用心しすぎること。
関連する概念・心理
- 余計なこと、おせっかい:「詮索」「口出し」「干渉」
- 危険、災難:「トラブル」「面倒」「災い」
- 後悔、反省:「悔やむ」「悔い改める」
「藪をつついて蛇を出す」の対義語
- 虎穴に入らずんば虎子を得ず:危険を冒さなければ、大きな成果は得られないこと。
- 当たって砕けろ:結果を恐れず、積極的に行動すること。
- 先んずれば人を制す:他人より先に行動を起こせば、有利な立場に立てること。
使用上の注意点
「藪をつついて蛇を出す」は、余計なことをして災いを招く、という意味で使われます。
相手の行動を非難したり、忠告したりする際に使うことが多いですが、言い方によっては失礼にあたる場合もあるので、注意が必要です。
「藪をつついて蛇を出す」に類似した英語表現
Let sleeping dogs lie.
直訳:寝ている犬は寝かせておけ。
意味:余計なことをして、問題を大きくするな。(「藪をつついて蛇を出す」に非常に近い)
例文:
Don’t ask him about his ex-girlfriend. Let sleeping dogs lie.
(彼の元カノについて聞くな。藪をつついて蛇を出すことになる。)
Don’t open a can of worms.
直訳:ミミズの缶を開けるな。
意味:面倒なことを引き起こすな。(「藪をつついて蛇を出す」に近い)
例文:
Don’t bring up that topic. It’s like opening a can of worms.
(その話題は持ち出すな。藪をつついて蛇を出すようなものだ。)
Poke a hornet’s nest.
直訳:スズメバチの巣をつつく
意味:面倒ごとを自ら招く
例文:
Talking about his ex-wife is like poking a hornet’s nest.
(彼の元妻の話をするなんて、藪をつついて蛇を出すようなものだ)
まとめ
「藪をつついて蛇を出す」は、余計なことをして、かえって自分に災いを招くことのたとえです。
このことわざは、私たちに、慎重に行動すること、そして、余計な干渉や詮索は控えることの大切さを教えてくれます。
「藪をつついて蛇を出す」ような状況に陥らないためには、行動する前に、その結果をよく考えることが重要です。
また、他人の問題に深入りしすぎないことも、トラブルを避けるための賢明な方法と言えるでしょう。
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