去り跡へは行くとも死に跡へは行くな

ことわざ
去り跡へは行くとも死に跡へは行くな(さりあとへはいくともしにあとへはいくな)

19文字の言葉さ・ざ」から始まる言葉
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「去り跡へは行くとも死に跡へは行くな」の意味・語源・由来

意味

人が去っていった場所(家や土地など)には行ってもよいが、人が亡くなった場所には行ってはいけない、という意味のことわざです。
この言葉は、主に以下の3つの意味合いを持ちます。

  1. 心霊的なタブー
    人が亡くなった場所には、故人の霊や負のエネルギーが残存している可能性があるため、不用意に近づくべきではない、という考え方。
  2. 現実的な危険回避
    人が亡くなった場所には、事故、災害、犯罪など、何らかの危険な原因が存在した可能性があり、同様の危険を避けるために近づくべきではない、という教え。
  3. 経済的に破綻
    人が去った場所、特に「去り跡」と呼ばれる場所は、単なる不在だけでなく、経済的な破綻や事業の失敗など、負の連鎖を招く要因が残っている可能性があるため、関わるべきではない、という意味合い。

語源・由来

「去り跡へは行くとも死に跡へは行くな」の正確な起源は特定されていませんが、日本で古くから伝わる言い伝えです。
このことわざの背景には、以下のような複合的な要因が考えられます。

  1. 原因不明の死と心霊観
    現代とは異なり、昔は死因が特定できないことが少なくありませんでした。
    原因不明の死や不幸が続くと、人々はそれを「祟り」や「障り」といった、目に見えない霊的な原因と結びつけて考える傾向がありました。
  2. 衛生観念と感染症リスク
    伝染病などによって人が亡くなった場合、その場所は衛生的に危険であると認識されていました。
    特に、死体からの感染症のリスクは、現代よりもはるかに深刻な問題であり、「死に跡」への接近を避ける大きな理由となっていました。
  3. 「跡」の持つ多義性
    「跡」という言葉は、単なる場所を示すだけでなく、「痕跡」や「残されたもの」といった意味も持ち合わせています。
    「死に跡」は、死そのものだけでなく、死の原因となった病気、事故、事件などの「痕跡」が残る場所、という解釈もできます。

これらの要因が複合的に絡み合い、「去り跡へは行くとも死に跡へは行くな」という、危険回避の知恵としてのことわざが生まれたと推測されます。

「去り跡へは行くとも死に跡へは行くな」の使い方(例文)

  • 「あそこは、一家が夜逃げした家らしいけど、去り跡へは行くとも死に跡へは行くなと言うから、あまり近づかない方がいい。」
  • 去り跡へは行くとも死に跡へは行くなと言うけれど、あの事故現場は、どうしても通らなければならない道なんだ。」
  • 「昔の人は、去り跡へは行くとも死に跡へは行くなと、子供たちに言い聞かせていたそうだ。」

「去り跡へは行くとも死に跡へは行くな」の類義語

  • 近寄らば祟り目(ちかよらばたたりめ):障りがあるから、むやみに近づいてはいけない。
  • 触らぬ神に祟りなし(さわらぬかみにたたりなし):関係しなければ災いも受けない。
  • 君子危うきに近寄らず(くんしあやうきにちかよらず):賢い人は危険なところには初めから近づかないものだ
  • ばばを引く:良くない事柄に関わりあって、ひどい目に合う。
    (余計なことをして災いを招くという点が共通するが、ことわざは既にある危険を避けるのに対し、「藪をつついて蛇を出す」は自ら危険を作り出すニュアンスがある。)
  • 藪をつついて蛇を出す:余計なことをして、かえって災いを招くこと。
    (余計なことをして災いを招くという点が共通するが、ことわざは既にある危険を避けるのに対し、「藪をつついて蛇を出す」は自ら危険を作り出すニュアンスがある。)

「去り跡へは行くとも死に跡へは行くな」の対義語

明確な対義語はありません。
敢えて挙げるなら、「危険を冒してでも挑戦する」というような意味合いの言葉が対照的ですが、ことわざとしては存在しません。

使用上の注意点

このことわざは、現代では心霊的なタブーよりも、現実的な危険回避の意味合いで使われることが多いです。
しかし、人が亡くなった場所や、その関係者に対して使う場合は、デリケートな問題に関わる可能性があるため、十分な配慮が必要です。

「去り跡へは行くとも死に跡へは行くな」に類似した英語表現

このことわざに完全に一致する英語表現はありませんが、近い意味合いを持つ表現をいくつか紹介します。

Better safe than sorry.

意味:後で後悔するより、安全策を取る方が良い。

例文:
It might be a shortcut, but it looks dangerous. Better safe than sorry.
(近道かもしれないけど、危なそうだ。後で後悔するより、安全策を取る方が良い。)

Don’t tempt fate.

意味:運を試すようなことはするな。

例文:
I wouldn’t go near that abandoned house. Don’t tempt fate.
(あの廃屋には近づかない方がいい。運を試すようなことはするな。)

Forewarned is forearmed.

意味:備えあれば憂いなし

Let sleeping dogs lie.

意味:寝た子を起こすな 触らぬ神に祟りなし。

まとめ

「去り跡へは行くとも死に跡へは行くな」は、人が亡くなった場所には近づかない方が良いという、心霊的なタブーと現実的な危険回避の両方の意味合いを持つことわざです。
現代では、主に危険を避けるための教訓として使われますが、使用する際には、状況や相手への配慮が必要です。

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