意味・教訓
「踏んだり蹴ったり」とは、文字通り、人に踏まれた上に、さらに蹴られることを意味します。
転じて、ひどい目にばかりあうこと、不運や災難が重なることのたとえとして使われます。
肉体的な苦痛だけでなく、精神的な苦痛や経済的な損失など、さまざまな「ひどい目」を表すことができます。
語源・由来
「踏む」と「蹴る」という、どちらも足を使った暴力的な行為を並べることで、被害の甚大さを強調しています。
具体的な由来や初出は不明ですが、日常的な動作に基づく表現であるため、古くから使われていたと考えられます。
言葉の響きやリズム感が良く、覚えやすいことも、広く使われる理由の一つでしょう。
使用される場面と例文
「踏んだり蹴ったり」は、さまざまな種類の不運や災難が重なったときに使われます。
例文
- 「遅刻した上に、大事なプレゼンの資料を忘れて、上司にこっぴどく叱られた。今日は踏んだり蹴ったりだ。」
- 「財布を落とすわ、携帯電話は壊れるわ、おまけに自転車はパンクするわで、踏んだり蹴ったりの一日だった。」
- 「インフルエンザで寝込んでいたら、空き巣に入られた。全く踏んだり蹴ったりだよ。」
- 「株で大損した上に、詐欺にも遭ってしまった。まさに踏んだり蹴ったりだ。」
文学作品等での使用例
林芙美子の小説『放浪記』には、以下のような一節があります。
「私はもうへとへとになって、東京へ帰って来た。踏んだり蹴ったりの旅であった。」
これは、主人公が放浪の旅から帰ってきた場面での一文です。
「踏んだり蹴ったり」という表現は、旅の過酷さや苦労を端的に表しています。
類義語
- 泣きっ面に蜂:泣いている顔をさらに蜂が刺すこと。
不運や不幸が重なることのたとえ。 - 弱り目に祟り目:弱っているときに、さらに悪いことが重なること。
- 傷口に塩(きずぐちにしお):傷口に塩を塗ること。つらいこと、苦しいことの上に、さらに苦痛が加わることのたとえ。
- 二重苦:二つの苦しみが重なること。
- 追い打ちをかける:すでに打撃を受けているものに、さらに打撃を加えること。弱っているものに、さらに打撃を加えることのたとえ。
- 散々:ひどい状態、はなはだしい様子を表す言葉。
関連語
- 災難:思いがけない不幸な出来事。わざわい。
- 不運:運が悪いこと。めぐりあわせが悪いこと。
対義語
- 良いことずくめ:良いことばかりであること。
- 笑いが止まらない:喜びや楽しさで笑いが止まらない状態、幸運が続く状態を表す際に使う。
(不運の連続とは反対の状況。)
英語表現(類似の表現)
- When it rains, it pours.
直訳:雨が降るときは、土砂降りになる。
意味:悪いことは重なるものだ。 - To have a run of bad luck.
意味:不運が続く。 - To be down on one’s luck.
意味:運に見放されている。
まとめ
「踏んだり蹴ったり」は、人に踏まれた上に蹴られるという、非常にひどい状況を表す言葉から転じて、不運や災難が重なることを意味することわざです。
様々な種類の「ひどい目」を表現できる、汎用性の高い言葉です。
類義語も多く、日本語の表現の豊かさを感じさせる言葉の一つと言えるでしょう。
この言葉を使うことで、自身の不運を嘆いたり、相手の不幸に同情したりする気持ちを、より強く表現することができます。
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