意味・教訓
「追い打ちをかける」とは、すでに打撃を受けているものに対して、さらに打撃を加えることを意味します。
転じて、弱っている人や困っている人に対して、さらに追い詰めるような言動をすることのたとえとして使われます。
単に攻撃を加えるだけでなく、「すでに不利な状況にある相手に、容赦なく攻撃を加える」というニュアンスが含まれます。
語源・由来
「追い打ち」とは、元々は戦場で、敗走する敵を追撃することを指す言葉でした。
逃げる敵にさらに攻撃を加える様子から、現在の意味で使われるようになりました。
具体的な初出は不明ですが、戦(いくさ)の様子を表す言葉であることから、武士が存在した時代には既に使われていた可能性があります。
使用上の注意点
「追い打ちをかける」は、相手を非難したり、批判したりする文脈で使われることが多い言葉です。
そのため、使用する際には、相手の状況や立場に配慮する必要があります。
不用意に使うと、相手を傷つけたり、不快な思いをさせたりする可能性があるため、注意が必要です。
使用される場面と例文
「追い打ちをかける」は、相手がすでに弱っている状況で、さらに精神的、肉体的、または経済的な打撃を与えるような言動があった場合に用いられます。
例文
- 「失業したばかりの友人に、『だからお前はダメなんだ』と言うなんて、追い打ちをかけるようなものだ。」
- 「業績不振で給料が減った上に、リストラ候補になっていると聞かされた。追い打ちをかけるような仕打ちだ。」
- 「試合に負けた選手を、監督がさらに厳しく叱責するのは、追い打ちをかける行為だ。」
- 「病気で苦しんでいる人に、心ない言葉をかけるのは、追い打ちをかけるようなものだ。」
類義語
- 傷口に塩:傷口に塩を塗ること。つらいこと、苦しいことの上に、さらに苦痛が加わることのたとえ。
- 泣きっ面に蜂:泣いている顔をさらに蜂が刺すこと。不運や不幸が重なることのたとえ。
- 弱り目に祟り目:弱っているときに、さらに悪いことが重なること。
- 踏んだり蹴ったり:人に踏まれた上に蹴られること。ひどい目にばかりあうことのたとえ。
- とどめを刺す: 致命傷を与えること。 相手が再起不能になるようにすること。
関連語
- 攻撃:相手を攻めること。
- 非難:相手の欠点や過失などを指摘して責めること。
対義語
- 火中の栗を拾う:自分の利益にならないのに、他人のために危険を冒すこと。(「追い打ちをかける」が相手を攻撃するのに対し、こちらは危険を冒す行為である。)
- 手を差し伸べる:困っている人などに救いの手を与える。(「追い打ちをかける」の行為とは正反対。)
- 助け舟を出す:苦境にある人を救うこと。(「追い打ちをかける」の行為とは正反対。)
英語表現(類似の表現)
- To kick a man when he is down
意味:倒れている人を蹴る。 - To add insult to injury
意味:侮辱に加えて怪我を負わせる。 - To rub salt into the wound
直訳:傷口に塩をすり込む。
意味:傷口に塩を塗るように、人の苦痛をさらに大きくする。
まとめ
「追い打ちをかける」とは、すでに弱っている人や困っている人に対して、さらに追い詰めるような言動をすることを意味します。
元々は戦場で、敗走する敵を追撃することを指す言葉でした。
不用意に使うと、相手を傷つけたり、不快な思いをさせたりする可能性があるため、注意が必要です。
このことわざは、相手の状況を理解し、思いやりのある言動を心がけることの大切さを教えてくれます。
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