意味・教訓
「蛙の面に水」とは、どんな仕打ちを受けても全く平気で、少しもこたえない様子を表すことわざです。
蛙は、水がかかっても平然としていることから、厚かましく、ずうずうしい人を揶揄する際に使われます。
このことわざは、批判や嫌がらせをされても全く動じない、鈍感さや図太さを表しています。
反省の色が見えない人に対して、「まるで蛙の面に水のようだ」と表現することがあります。
語源・由来
正確な由来は不明ですが、蛙の生態に基づいた表現であることは確かです。
蛙は皮膚呼吸をしているため、水に濡れることは日常茶飯事です。
そのため、多少の水をかけられても気にする様子はありません。
この様子から、「蛙の面に水」ということわざが生まれたと考えられます。
また、「蛙の面に小便」という表現もあり、こちらはさらに強い侮蔑や嫌がらせを意味しますが、それでも蛙は平気であることから、同様の意味で使われます。
使用上の注意点
「蛙の面に水」は、人を揶揄する言葉であり、良い意味では使われません。
相手を不快にさせる可能性があるため、使用には注意が必要です。
特に、目上の人やビジネスシーンでの使用は避けるべきでしょう。
使用される場面と例文
「蛙の面に水」は、批判や注意をされても全く反省しない人や、厚かましい態度をとる人を非難する場面で使われます。
例文
- 「何度注意しても遅刻を繰り返すなんて、彼は蛙の面に水だ。」
- 「彼女は、他人の迷惑を顧みず、自分の意見ばかり主張する。まさに蛙の面に水だ。」
- 「上司にミスを指摘されても、彼は蛙の面に水で、全く改善しようとしない。」
- 「あんなに悪口を言われても平気な顔をしているなんて、蛙の面に水もいいところだ。」
文学作品等での使用例
夏目漱石の小説『吾輩は猫である』には、以下のような記述があります。
「全く蛙の面へ水と云う有様で、一向(いっこう)平気なものである。」
この一節では、周囲の騒ぎを全く気にしない猫の様子が、「蛙の面に水」という表現で描写されています。
類義語
- 馬の耳に念仏:いくらありがたい念仏を聞かせても、馬にはその意味が理解できない。何を言っても無駄なこと、効果がないことのたとえ。
- 犬に論語:犬に論語を聞かせても無意味であること。価値のわからない者に、ありがたい教えを説いても無駄であることのたとえ。
- 豚に真珠:豚に真珠を与えても、その価値がわからない。価値のわからない者に高価なものを与えても無駄であることのたとえ。
- 糠に釘:糠に釘を打っても手ごたえがないように、効果がないこと、無駄なことのたとえ。
- 暖簾に腕押し:のれんに腕押しをしても手ごたえがないように、張り合いがないこと、手ごたえがないことのたとえ。
関連語
- 厚顔無恥(こうがんむち):厚かましくて、恥知らずなさま。
- 面の皮が厚い(つらのかわがあつい):恥知らずで、ずうずうしいこと。
関連する心理学の概念
- 鈍感力: 些細なことを気にしない、あるいは気に留めない能力のこと。
対義語
英語表現(類似の表現)
- like water off a duck’s back
直訳:アヒルの背中から落ちる水のようだ。
意味:何の影響も受けないこと。 - It’s all lost on him [her].
意味:彼(彼女)には全く通じない。 - thick-skinned
意味:鈍感な、面の皮が厚い。
まとめ
「蛙の面に水」は、何を言われても、どんな仕打ちを受けても、全く平気でいる様子を表すことわざです。
蛙が水に濡れても平然としていることから、鈍感さや図太さを揶揄する際に使われます。
「蛙の面に小便」という表現もあり、同様の意味で使われます。
このことわざは、批判や注意をされても反省しない人や、厚かましい態度をとる人を非難する場面で用いられますが、相手を不快にさせる可能性があるため、使用には注意が必要です。
この言葉を使うときは、相手や状況をよく考えることが大切です。
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