老いの木登り

ことわざ 慣用句
老いの木登り(おいのきのぼり)

7文字の言葉」から始まる言葉
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意味

「老いの木登り」とは、年老いた人が、自分の年齢や能力をわきまえず、無理をして危険なことや分不相応なことをすることのたとえです。
また、そのような行為を戒める意味も込められています。

語源・由来

このことわざの直接的な由来は定かではありません。
しかし、木登りという行為が、若さや体力、敏捷性を必要とするものであるのに対し、「老い」はそれらの衰えを意味することから、両者の対比によって、このことわざが生まれたと考えられます。
古くから、老人が無理をして体を壊したり、怪我をしたりする例は多く、そのような状況を戒めるために使われるようになったのでしょう。

使用上の注意点

このことわざは、高齢者に対する侮蔑や嘲笑の意味合いを含むことがあります。
そのため、使用する際には、相手や状況に十分配慮する必要があります。
特に、高齢者本人に対して直接使うことは避けるべきです。

使用される場面と例文

「老いの木登り」は、高齢者が、体力的に無理なことや、年齢にふさわしくないと思われる行動をしようとする場面で使われます。

例文

  • 定年退職後、急に世界一周旅行に出かけようとする父に、「老いの木登りにならないといいけど」と心配した。
  • 70歳を過ぎて、ロッククライミングを始めた祖父。「老いの木登り」だと親戚中に心配されている。
  • 若い頃の自慢話ばかりする上司。「昔の栄光にしがみつくのも、老いの木登りみたいなものだな」と陰口を言われている。
  • 若者に混じって、激しいダンスを踊る高齢者を見て、「老いの木登りにならなければいいが」と心配になった。

文学作品等での使用例

年寄の冷水、老いの木登り、とかく年寄は欲張ってろくなことはない。

(夏目漱石「坊っちゃん」)

この一節では、「年寄りの冷や水」と並べて使うことで、老人が無理をすることへの戒めをより強調しています。

注意点

繰り返しになりますが、この言葉は高齢者を揶揄するニュアンスを含むため、使用には注意が必要です。

類義語

  • 年寄りの冷や水:老人が、自分の年齢も考えずに、冷水を浴びるような無茶なことをすること。
  • 老いの一徹(おいのいってつ):老人が頑固で、人の言うことを聞かないこと。
  • 老耄の戯れ(ろうもうのたわむれ):老人が年齢にふさわしくないことをすること。
  • 枯れ木に花(かれきにはな):衰えたものが再び盛んになることのたとえ。
    (※文脈によっては類義語となる)

関連する心理学の概念

  • エイジズム: 年齢に基づく偏見や差別。

対義語

  • 分別盛り(ふんべつざかり):物事の道理をわきまえ、思慮分別のある年頃。

英語表現(類似の表現)

  • There’s no fool like an old fool.
    直訳:老いた愚か者ほど愚かな者はいない。
    意味:年を取ってからの愚かな行為は、より一層愚かに見えるということ。
  • Mutton dressed as lamb.
    直訳:羊肉が子羊の服を着ている。
    意味:若作りをしている年配の女性を揶揄する表現ですが、年齢に合わない行動をする人を指す場合にも使われます。

まとめ

「老いの木登り」は、年齢や能力を顧みずに無茶なことをする高齢者、またはそのような行為を指すことわざです。
危険な行為や分不相応な振る舞いを戒める意味合いがありますが、高齢者への侮蔑を含む表現でもあるため、使用には注意が必要です。
このことわざは、年齢を重ねても、自分の能力を客観的に見つめ、謙虚さを忘れないことの大切さを教えてくれます。
そして、周囲の人々は、高齢者の行動を見守り、必要な時には、優しく助言することも必要である…ということを示唆しているのかもしれません。


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