前車の覆るは後車の戒め

ことわざ
前車の覆るは後車の戒め(ぜんしゃのくつがえるはこうしゃのいましめ)
異形:前車覆轍

20文字の言葉せ・ぜ」から始まる言葉
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「前車の覆るは後車の戒め」の意味・語源・由来

意味

前の車がひっくり返るのを見たならば、後ろの車は同じ轍(わだち)を踏まないように注意すべきである、という意味です。
転じて、他人の失敗を見て、自分は同じ失敗をしないように教訓とすべきだ、というたとえとして使われます。

語源・由来

このことわざは、中国の歴史書『漢書』に由来します。
『漢書』の「賈誼伝(かぎでん)」の中に、「前車覆、後車戒(前車覆り、後車戒む)」という一節があります。
秦の時代、暴政によって滅びた秦の轍(わだち – 車輪の跡)を踏まないように、前漢の皇帝は政治を行うべきだ、という文脈で使われています。
「覆」はひっくり返る、「轍」は車輪の跡、わだちを意味します。
この故事から、他人の失敗を教訓にせよ、という意味のことわざとして使われるようになりました。

「前車の覆るは後車の戒め」の使い方(例文)

  • 「彼のプロジェクトが失敗したのは、計画が甘かったからだ。前車の覆るは後車の戒めとして、我々はしっかりと準備をしよう。」
  • 前車の覆るは後車の戒めと言う。先輩の失敗談を聞いて、自分は同じ過ちを犯さないように気をつけたい。」
  • 「あの会社は、顧客対応の悪さが原因で倒産した。前車の覆るは後車の戒めとして、当社は顧客満足度向上に努めよう。」
  • 前車の覆轍を後車の戒めとするため、過去の失敗事例を分析し、対策を講じた。」

注意!間違った使い方

このことわざは、失敗を恐れて何もしないことを推奨するものではありません。
他人の失敗から学び、それを活かして成功を目指す、という積極的な意味合いで使うのが適切です。

「前車の覆るは後車の戒め」の類義語

  • 他山の石(たざんのいし):他人の良くない言動を見て、自分の戒めとすること。良い言動も参考にして、自身の行いを改めるという意味合いも持ちます。
  • 人の振り見て我が振り直せ(ひとのふりみてわがふりなおせ):他人の行動を見て、自分の行動を反省し改めよ。
  • 人の褌で相撲を取る(ひとのふんどしですもうをとる):他人のものを利用して、自分の利益を得る。
    (※他人のものを利用するという点で関連性がありますが、主体的な学びや教訓という意味合いは薄いです。)
  • 失敗は成功のもと(しっぱいはせいこうのもと):失敗を次に生かせば成功につながる。ただし、これは主に自身の経験からの学びを指すことが多く、「前車の覆るは後車の戒め」は他者の失敗から学ぶ点に重点があります。
  • 反面教師(はんめんきょうし):悪い見本として、反省や戒めの材料となる人や事例。

「前車の覆るは後車の戒め」の対義語

明確な対義語はありませんが、下記のような言葉が反対の意味合いを持ちます。

  • 成功は成功のもと:一度成功したことが、次の成功につながる。これは他者の失敗から学ぶのではなく、自身の成功体験を重視する点で対照的です。
  • 人の行く裏に道あり花の山:人が行かないような場所にこそ、素晴らしいものがある。これは既存の失敗例にとらわれず、独自の道を進むことの重要性を示す点で、「前車の覆るは後車の戒め」が示唆する他者の失敗からの学びとは異なる考え方です。

使用上の注意点

このことわざは、他人の失敗を教訓とする際に使われますが、失敗した人を非難したり、嘲笑したりするような文脈で使うのは不適切です。
あくまで、自分自身の成長のために、他者の経験を活かすという姿勢が大切です。

「前車の覆るは後車の戒め」に類似した英語表現

Learn from the mistakes of others.

意味:他人の失敗から学べ。

例文:
You should learn from the mistakes of others, so you don’t repeat them.
(他人の失敗から学び、同じ過ちを繰り返さないようにすべきだ。)

A wise man learns by the mistakes of others, a fool by his own.

意味:賢者は他人の失敗から学び、愚か者は自分の失敗から学ぶ。
(※この表現は、時に愚か者を批判するような、やや辛辣なニュアンスを含むことがあります。)

例文:
Remember, a wise man learns by the mistakes of others, a fool by his own.
(覚えておきなさい、賢者は他人の失敗から学び、愚か者は自分の失敗から学ぶものだ。)

まとめ

「前車の覆るは後車の戒め」は、他人の失敗を教訓とし、自分は同じ過ちを繰り返さないようにすべきだ、という意味のことわざです。
他人の失敗を非難するのではなく、自分自身の成長のために、他者の経験を活かすという姿勢が大切です。

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