「馬の耳に念仏」の意味・語源・由来
意味
馬にありがたい念仏を聞かせても、全く理解できず効果がないことのたとえです。
転じて、いくら意見や忠告をしても全く効き目がないこと、無駄であることを意味します。
価値がわからない人に、貴重なものを与えても意味がないという状況にも用いられます。
語源・由来:
馬は人間の言葉を理解できません。
そのため、ありがたい念仏を聞かせても、馬にとっては単なる音にすぎません。
このことから、理解できないもの、価値がわからないものに対して、いくら働きかけても無駄であるという意味で使われるようになりました。
直接的な由来となった特定の説話などはありません。
「馬の耳に念仏」の使い方(例文)
- 「健康のために運動しろと何度言っても、娘には馬の耳に念仏だ。」
- 「先生がどんなに丁寧に説明しても、彼には馬の耳に念仏だ。」
- 「彼にいくら投資の重要性を説いても、馬の耳に念仏だよ。」
- 「環境問題について熱弁したが、聴衆には馬の耳に念仏だったようだ。」
- 「何度説明しても理解してもらえず、まるで馬の耳に念仏だった。」
注意! 間違った使い方
- 「彼のスピーチは馬の耳に念仏で、とても感動した。」
(この使い方は誤りです。「馬の耳に念仏」は、効果がない、無駄であるという意味なので、感動したという文脈では使いません。)
「馬の耳に念仏」の文学作品などの用例
夏目漱石の『吾輩は猫である』の一節に「いくら意見を述べても馬の耳に念仏の状態で…」とあります。
いくら意見を述べても馬の耳に念仏の状態で一向(いっこう)要領を得ない。
「馬の耳に念仏」の類義語
- 猫に小判:価値のわからない者に高価なものを与えても無駄なこと。
- 豚に真珠:価値のわからない者に貴重なものを与えても無駄なこと。
- 犬に論語:犬に論語を聞かせても無駄であること。
- 糠に釘:手ごたえがなく、効果がないこと。
- 暖簾に腕押し:手ごたえがなく、効果がないこと。
- 焼け石に水:わずかなもので、効果がないこと。
- 馬の耳に風/馬耳東風:馬の耳に風が吹き抜けるように、少しの間だけ心にとどめるが、すぐに忘れてしまうこと。
使用上の注意点
「馬の耳に念仏」は、相手に意見や忠告が伝わらない時に使うことわざです。
しかし、相手に対して直接使うと失礼にあたる可能性があります。
使う場面や相手には注意しましょう。
「馬の耳に念仏」の英語表現
Preaching to deaf ears
直訳:聞こえない耳に説教する
意味:話を聞かない人に話す、無駄な努力をする
例文:
Trying to convince him is like preaching to deaf ears.
(彼を説得しようとするのは、馬の耳に念仏のようなものだ。)
Casting pearls before swine
直訳:豚の前に真珠を投げる
意味:価値のわからない人に貴重なものを与えても無駄なこと(豚に真珠)
例文:
Giving him that rare book is like casting pearls before swine.
(彼にその珍しい本をあげるのは、豚に真珠(馬の耳に念仏)のようなものだ。)
まとめ
「馬の耳に念仏」は、いくら意見や忠告をしても全く効果がない、無駄であることを意味することわざです。
相手に直接言うと失礼になる場合があるので、使用する際は注意が必要です。
類義語や英語表現も覚えて、表現の幅を広げましょう。
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